148話 呻き声───
錯綜神森の上空にて───
ゆっくりと過ぎ去る景色に驚き、声が漏れる。
「壮観ですね……」
私の声にジャックが返事をする。
「……団長の言う通り」
ジャックの発言にラプラスとアルセーヌが頷く。
「えぇ。ですが……これは不敬なのでは、と思えてきます」
アーテル様と同格であるウィリデ様に乗っているのは如何なものか───という意味を含ませて、ラプラスが言う。
それに対して、アルセーヌは……
「別に良いでしょう。アーテル様の親友であるネクロ様と一緒にウィー様に乗っているのですから」
今更、気にする事でもないだろう───とでも言っている様に聞こえる。
いや……そういう意味を含ませてアルセーヌは言っているとは思うのですが……はぁ、いい加減アルセーヌの───他者を見下す態度を改めて貰いたいものです。
今はそんな事、どうでも良いですね。
「アルセーヌ、やめなさい」
「はっ! 申し訳ありません、団長」
アルセーヌはそう言って、頭を下げる。
これは、彼なりに謝っている。
でも、普段の態度の所為で、信用されてない可能性がある。
ですが、基本的にジャックは無関心。
問題はラプラスですが……別に問題ないでしょう。
ラプラスには、心の声など意味をなさないのですから……。
「謝るのは、私ではありません。ウィリ───ウィー様ですよ」
『ジョーカーがまたウィリデって呼ぼうとしたの~』
「そ、それは、申し訳ありません……」
『なら良いの~ アルセーヌはもっと、自制するべきなの~ 言っていい時と悪い時があるの~ それは一番、セーレが知っていると思うから、今度訊いてみる事をおすすめするの~』
「は、はい。今度、訊いてみます……」
ウィリデ様にアドバイスされ、委縮している。
はぁ、委縮するなら最初からやらなければ───ッ!!
この力は一体……!?
私は強大な力の気配を感じ、辺りを見回す。
私達が話している間に、砂漠へ来ていた。
「まさか……ッ! 先程の強大な力は……」
『そう、フーラのもの~ また、暴走したワーム達と戦ってる~』
いや、違う。
あの力の波動は……何か別の───
刹那、天が漆黒に染まる。
『な、何なの~!?』
ウィリデ様の声に全員が反応し、皆が身構える。
『グルルルル……』
動物の───それも、獰猛な獣の呻き声が聴こえた。
「ッ!? 団長! 今の声は……!!」
ラプラスが私に訊いてくる。
……と云う事は、皆にも聴こえていた?
その場合だと、魔力の波長を変化させながら超広範囲に広げた?
でも、そんな高度な……
「今の声は、念話によるもの!? 一体、何が……」
アルセーヌが大声を上げる。
一旦、置いて措きましょう。
今するべき事は周囲の安全確認!
「ベータ、ガンマ、デルタ!! 周囲を警戒!! ネクロ様は───」
そう言いながら、振り向くと……ネクロ様は本のページを急いで捲っていた。
ネクロ様!?
って、その書は───いや、それよりも!
何故、今そのような物を!?
「……少しだけ待って頂きたい。あと少し、あと少しで……! やはり、お前だったか。だが……何故、礫地域から砂地域に?」
正体が分かった、という意味を含んだその発言の後、独り言のように呟き始める。
先程の呻き声、それに……ネクロ様が口にした礫地域という言葉───あ。
まさかッ……!!
でも、そう仮定すると全てが繋がる……!
「今の呻き声の主は……冥界神によって保護され、礫地域の守護を任されている───スフィンクスのものです」
スフィンクスの呻き声───
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