146話 天空の覇王
「うわぁああああああああああああ!!」
その叫び声をあげているのは俺。
だって、仕方ないじゃん。
狼に変身したリルがめっちゃ速く走ってるんだもん。
まぁ……冷静な判断が出来てる時点でもう俺はおかしいんだな、という自覚はある。
俺が「最速で」なんて言うからこんな事になったんだけどね……。
うん、これが自業自得って事か。
身に染みて理解した、出来れば理解したくなかったけど……。
「もっと、スピード上げるのです!」
リルの声が脳内に届いた瞬間、ふわっと体が浮いた。
「ぇ───」
俺が驚愕し、思わず声が漏れる。
その声が、自分の耳に届いた瞬間……ガクンと体が沈む。
刹那、リルとテオスの姿が掻き消えた。
───正確には、速過ぎて見えなくなった。
そう、それこそが“神速”にも匹敵する速さ───超速。
その砂漠には、テオスの叫びもリルの高笑いも聞こえない。
* * *
テオスの家にて───
「───うん、じゃあ……そろそろ出発しよっか〜」
ウィー様はそう言う。
「そ、そうですね……ウィリデ様」
私がそう言うと、拗ねた様に顔を膨らませた。
「酷いの〜 ジョーカーがウィーの事、ウィーって読んでくれないの〜 これじゃあ、ウィーは行きたく無いの〜」
「わ、わかりました! 早速行きましょう! ウィ、ウィー様!」
私が、ぎこちなくもそう言うと……満面の笑みを浮かべた。
「わかったの〜 じゃあ───」
刹那、虹色の炎がウィリデ様を包み込んだ。
その炎の塊はまるで鳥の卵。
そして、卵自体が鳥そのものと勘違いしてしまう程、自然にソレは形を変えた。
孵化した鳥が翼を広げ、綺麗に眩く輝き───ゆっくりと瞳を開ける。
緑色の瞳に、吸い込まれそうになる。
その瞳は、この世界全てを見透かしている、と言われても信じてしまう程に……美しい。
あぁ───これが天空の覇王!
ルフス様やカエルラ様と並ぶ者と私達との格の違い!!
これ程までとは……流石は、アーテル様が実力を認める訳だ。
だからこそ、“ 天煌神鳥”という称号は強大と言う事か。
「───! ───う! ───団長!!」
「ん?」
ずっと呼びかけてくれていたのか。
ウィリデ様の御姿に見惚れてしまっていた様だ。
「ん、じゃ無いですよ! 急に無言になるから吃驚したじゃないですか!」
そうアルセーヌが私を叱る。
それを快く思わないジャックやラプラスが今にも首をへし折らんと、じーっとアルセーヌを睨んでいる。
「本当にすまない。では、行くか」
私のその一声で、ジャックとラプラスの表情が緩む。
そして、三者三様の返事が返ってくる。
アルセーヌが「えぇ!」と。
ラプラスが「分かりました。団長」と。
ジャックが「ん、了解した」と。
「じゃあ、ウィーの背に乗って〜! そしたら、出発〜!!」
ウィリデ様は私達へ背を向け、少し屈んだ。
いよいよ港へ出発〜!!
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