140話 大賢者
マニュス帝国付近にある港にて───
「ヤバいぞ! あの大賢者様がそれはそれは大きな船を造り上げたらしい!」
「それは……本当の事ですか? 正確な”情報“なんですよね?」
「あぁ! 俺を疑うなら、あっちに行ってみろよ! 旅人!!」
そう言って、その男は海岸を指差す。
……まぁ、このワタシが”情報“に踊らされる事などあり得ない。
ワタシが、情報を踊らせる事はあっても……逆の事はあってはならない。
そう考え、ワタシは絶対的な自信を持って決意した───
視察も兼ねて、アイツに挨拶でもしておくとしましょうか。
「わかりました。情報提供、感謝します……フォンス」
「あぁ! またな、旅人!!」
そう言って彼は手を振る。
「はい。また、何処かでお会い出来るかもしれませんしね……」
ワタシはそう言って、フォンスに軽く頭を下げる。
そして、ワタシは彼の元から離れ……海岸へ向かって歩を進める。
その去り際を見ながら、フォンスはふと疑問に思った事を呟く。
「俺……あの旅人に名乗ったか? 俺はあの旅人の名前を知らないんだが……」
此の港は、人が多く行き交う場所───
フォンスのその呟きは、この場に満ちる活気によって掻き消された。
「さて……何処に───あぁ、あそこですか」
海岸には大きな船がある。
その近くに、大勢の人が集まっている。
「……おい! 今は俺が大賢者様に質問しているんだ! 割り込むな!!」
「黙れ!! お前こそ、俺の邪魔をするな!」
大の大人が喧嘩か……。
いや、これは……喧嘩ではないな。
揉めている、と言ったところか。
醜い……おっと、今はそんな事どうでもいい。
ワタシは、少しずつ歩を進め……少し大きい声で問う。
「少し良いですか? 大賢者……アルヴィス殿」
すると、大賢者アルヴィスを囲んでいた者達の視線が、一斉にワタシに向いた。
「おい!! 勝手に入ってくるな! 今は、俺が大賢者様に質問をしているんだ!! お前は黙って……」
「お前こそ黙れよ!! 大賢者様が迷惑しているだろ!! ですよね? アルヴィス様……?」
ソイツの声に同調するように、アルヴィスはこくりと頷いた。
はぁ、ここでもですか……。
知恵者の癖に、人見知りとは……困ったものです。
『仲間と一緒に助け合い、協力し合う』とアーテル様が言わなければ……ワタシは絶対にコイツを見捨ててますよ。
いい加減、気付いて欲しいものだが……。
「分かりました。……では、出直すとしましょう」
そう言って、彼の元へ向かって歩く。
「明日はもっと記者が来るんだ! お前如き平民が───……いや、旅人風情が話せる御方ではないのだ!!」
何でこんなにも他者を見下すのやら……。
いつか、オルトゥスに聞いてみるとするか。
まぁ、早く用件を伝えて……残りは本体に押しつ───任せるとしましょう。
そして、すれ違う瞬間……こう囁いた。
「今夜、戦艦についての話をしましょう」と。
その瞬間……小声で返事が返ってくる。
「……承知した。オメガ」と。
フッ、そうですか……。
分かりました。
では……“摂理”の名に掛けて絶対に守らせますよ。
例え、貴方が此処に来る事が出来なくなったとしても───………
戦艦とは───!?
最後まで読んで頂き有難う御座います!
「面白い」 「次の話が気になる」と思って頂けましたら、下の☆☆☆☆☆から応援宜しくお願いします!
感想やいいね、ブクマ登録などして頂けると嬉しいです!




