138話 準備
イリスが去って暫く経つと……続々と皆がやって来た。
最初に来たのは、フギンとムニン。
次にシルとルフスとリル。
その後はイアやライム、ラス達。
最後にアーテルの配下達。
あれ?
クロートーとレアが居ない?
あ、そういえば暫くはレアと一緒に“深淵”に行くって言ってたな。
いつ戻って来るんだろう?
後で連絡してみるか。
俺は皆が長いテーブルに座っていくのを確認しながら料理を人数分の器に入れる。
賑わう食卓……いつも通りだな。
じゃあ、俺は海へ行く為の支度をして来るか。
魔法使えば一瞬だし。
「テオス様ッ!」
ん?
この声は───
「アーテルか?」
「はい、支度をしに行くのですよね?」
アーテルは軽く頭を下げ、俺にそう問う。
「うん、そうだよ。何か問題があるの?」
「いえ、その様な事は……! ですが……帰りは別として、行きは極力、魔法は使わない様にしたいので……」
「あぁ、そう言う事か。分かった。じゃあ、皆に説明お願いね」
「はい、お任せ下さい。テオス様!」
そう言って、アーテルは恭しくお辞儀をした。
俺は、それを見てどう反応して良いか分からず、頷いて部屋へと戻る。
* * *
俺は、扉を開けて部屋へと入る。
あれ?
リリスの気配がない?
俺の気の所為か……?
いや、違う。
居ない!
急いで扉を閉める。
「誰か、居るのか?」
『ふむ、誘惑魔女───……お嬢には姿を見せるな、と言われていたが……此処の部屋の主だ。挨拶くらいは許してくれるだろう』
少女のそんな独り言が聞こえた気がした。
何だ?
今の声……は!?
何だ、これ……黒い霧……?
『これすらも視認出来るとは……尚更だな』
またこの声……。
誰かがここに居るのか?
さっきは何となくだった気配が、今はしっかりと感じる。
何かが居る。
『お初にお目に掛かります。偉大なる神よ……』
その声が聞こえると、一瞬で霧が晴れた。
部屋全体がよく見えるな。
まぁ、太陽が少ししか出てないから薄暗いんだけど……ッ!?
『私はナハト。人類からは……そうだな、バステトと呼ばれている』
目の前に小さい黒猫が居た。
ナハト……?
バステト……?
何だ、それ?
ってか、この声って絶対にこの黒猫のだよな。
本当にこの世界……何でもありだな。
それもそうか、此処は異世界だもんな。
俺はこの世界が“異世界”だと再認識して、目の前の黒猫に声を掛ける。
「ナハト……って言うの?」
『はい、その通りで御座います。流石は、お嬢が好いている殿方なだけはある』
「さっきから言ってるけど、お嬢って誰のこと?」
『勿論、フクシ───リリス様のことです』
リリス!?
でも、リリスは今居ない───!
リリス本人が居ない……だけど、リリスの事を知っている黒猫が居る。
もしかして……この黒猫は───……
「リリスの配下?」
『はい、そうで御座います。我が主、リリス様は現在……リル様の姉君である───フラーウス様に会いに外出されております。私は……その事を御身に伝える為に、遣わされた者で御座います』
そう言って子猫が頭を下げる。
え?
リルの姉……?
リルに姉が居るの!?
「フラーウスがリルの姉の名前って事?」
『はい。流石は、神々を創り出した万物の支配者───“帝王神”テオス様であらせられる』
ナハトの正体、判明!!
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【報告】
11/9(水)〜11/16(水)までの間、お休みさせて頂きます。
11/17(木)からの再連載になりますので、その際には読んで頂けると幸いです。




