128話 炎鳥
俺は、ピウスに万解書庫へ連れて行って貰い、イリスにシルの居る“場所”へと案内された。
そして、俺はそこにある扉を開く。
そこに、シルが立っていた。
「……お久しぶりですね。アーテル」
「えぇ、そうですね。直ぐに本題に入っても?」
シルは首肯する。
「はい、良いですよ」
「有難う御座います。では……話しましょうか。アーダについて───」
そうして、シルに話した。
アーダが正体を隠蔽していた事について。
種族の限界を超えた能力について。
ステータスが俺達と同格という事について。
そして───裏で協力していた者に関する事について。
「そうですね……」
そう言って、シルは顎に手を添え思考を巡らせる。
(特出した隠蔽の力に、異様なほど強化された能力……誰が関与しているのでしょうか? もしかして、あの本に載っていた可能性があった……!? でも、アレに頼り過ぎてはいけません。そもそも、私達にはこの能力を完全に扱いこなす事など出来ないのですから……)
「それらの件は、彼女にお願いしてみましょう」
そう言って、シルは歩いていく。
俺は「彼女とは……誰の事だ?」と問いながら、ついていく。
すると、返事が返ってきた。
「貴方もよく知っている人物ですよ。怠け癖があって面倒臭がりでありながら莫大な知識を有し、策を練るという一点においては私達の中で最も長けている者───」
何だと……!?
それでは、まるで……アイツが此処に居る、もしくは呼んだ、と言う事に他ならないのでは……
その瞬間、シルの姿が掻き消える。
は───?
まさかッ!
無詠唱で『転移』を使用しやがったな!!
探知が面倒なんだが……まぁ、いいか。
魔力もそろそろ完全に回復するから、少しくらいは使用しても問題は無いだろう。
ただ一つ、問題があるとするのなら……この回復量で慣れてしまって、魔法を連発しない様に心掛けないといけない事ですね。
───『転移』!
俺も無詠唱で、シルの居る場所へと転移した。
※ ※ ※
テオスの家の遥か上空にて───
私は最大限、力を抑えて滞空飛行する。
私は、世界が滅ぶ刻に彼女達と一緒に“贄”となる者。
天空・大地・海淵を治める3柱が1柱───“怠惰”のウィリデ。
「はぁ……このまま、ずっと世界が滅ばなければ良いのに。そしたら、ウィーも全力でだらけられるんだけどなぁ……」
もう、いいよ!
どうせ、どれだけ訴えかけても……この“制約”は消えないんだから!
誰か……この永遠の縛りから解放してくれないかなぁ……。
はぁ、どうせ無理なんでしょ!
ネロやアーテルの兄にして神───“神帝”テオス……ウィーを解放して欲しいな……。
いや、そんな事言ってら、あの人は絶対に助けてしまう。
ウィーを、皆を……あの人は、とても優しいから……。
『ウィリデ、そろそろ降りてきて良いですよ』
シルが念話で話しかけてくる。
やっと降りて良いんだ。
よし、じゃあ……
私はゆっくりと手を動かして少しずつ滑翔する。
ゆっくり力を込めないようにしないと、また嵐を生み出してしまう。
もし、少しでも意識してしまったら、樹々が巻き込まれて……4割が舞い上がる。
そうなったら、ネロに怒られる。
そしたら、貴重な睡眠時間が削られる。
それは絶対にイヤ!
だから、ウィーは気をつける!
少しずつ脚が、大理石の床に近づいていく。
ウィーは、同時に身体の内から放出されている魔力を使って肉体を変化させる。
炎に覆われた翼は人間の腕へ、鳥の足や爪は人間の素足へ、嘴は凹み、人間の唇へ、艶やかな羽は人間の裸体へと変貌する。
そして、ウィーは、テオス様の城に舞い降りた───
……って、裸だぁ〜
どうにかしないと、捕まっちゃうね〜
あ、ここ日本じゃないから……別に───いや、シルに見つかったら怒られそうだなぁ〜
【変異】……いや、ここはちゃんと正式名称を使うか〜
【身体変異】───翼衣装!
突然、炎がウィーの体を覆う。
その瞬間、炎は閃光を放つ───
そして、朱色を基調とし黄色、緑色、青色、紫色などが混じった服を着ていた。
やった〜!
成功したね〜!
久しぶりに人間の姿になったから、あまり慣れてないんだけど……。
……ちょっと、ブカブカだけどこれくらいでいいかなぁ〜!
この感じ、良いねぇ〜!!
ウィーは上機嫌でシル達と待ち合わせをしている場所へ向かう。
炎を纏いし神鳥───
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