124話 牢獄
ここは奈落の最下層───深淵と呼ばれし場所。
深淵は6階層に分かれている。
そして、最下層である6階層目には最も厳重な牢獄がある。
「何の用や? アーテルはん」
石で造られた部屋に俺へ問う声が聞こえる。
俺は驚きを隠しながら、彼女に問う。
『おや、流石はタルタロ───いえ、レア。【影移動Ⅵ】を使用してもバレるとは……【気配感知Ⅶ】でも所有しているのですか?』
レアに問い掛けながら、俺はその辺りで1番面積の広い影から頭を出す。
「そないな能力持ってへんよ」
少し呆れた様な視線を俺に向けてくる。
何故だ。
何故、そのような視線を向けて来るんだ?
そう思いながらも、レアに返事をする。
「そうですか……。では、どうやって───おっと、話が逸れてしまいましたね」
「何の話や?」
首を傾げながらそう訊いてくる。
「地獄……いえ、ヘルヘイムに存在する樹木───ザックームを尋問して欲しいのです」
「ザックームやて!? アーテルはん、そら流石に冗談やろ?」
「いえ、冗談では無いですよ。その証拠に……」
俺は証拠としてアーダを見せようとして魔法陣を描く。
刹那、バチッという音が聞こえた。
「───は?」
気が付くと、右腕が爆ぜていた。
あり得ない。
一瞬で俺の腕が爆ぜるなんて……。
まさか───ッ!
「お前の仕業か! レア!!」
檻と接触するかしないか、というギリギリまで近づき、檻を掴んで大声を上げる。
檻の向こうに居るレアは大きな溜息を吐く。
「並列存在はうち。ほんで、その最深部たる深淵は……うちと最も深くリンクしとる。アーテルはん、あんたならこの意味よぉわかっとるよね?」
あぁ、そういう事か。
此処は……異界などで、罪を犯した存在が閉じ込められる空間。
人類からすれば高次元の世界で大罪を犯した者が閉じ込められる場所。
幾ら神人であっても閉じ込められればただでは済まない、だったな。
ん?
待てよ……という事は、何故あの時タンタロスは───
「熟考しとる暇があるんやったら、はよ説明してくれへん? うちかて暇やないし」
「あぁ、それは済まなかった。なら、ここから出してくれないか?」
「嫌や」
そう言って、俺を揶揄う様に笑う。
その笑みは普段の幼い笑みなどでは無い、大人の女性の微笑み。
一瞬、ドキッとしたのは内緒だ。
絶対に、誰にも言わないようにしよう。
そう決意し、話しかける。
「冗談はよせ、レア。お前はまだ子供なんだ……もっと───」
「ほんまにそう思うてるの? アーテルはん……」
その声が聞こえた瞬間、百合の香りが鼻に達する。
あ、百合の匂い───って、近っ……!
気が付くと、レアの顔がとても近くにあった。
俺が驚くと共に、レアの瞳が真紅色へと変わる。
その瞳の色は───正気を失っているのか……?
だとしたら、何故?
精神が安定しない原因がこの空間にあるというのか!?
俺は直様、周りの景色を見渡す。
だが、前来た時と変わらないと結論づける。
此処は変わっていない……という事は、原因は───俺?
いや、まさかな。
「アーテルはん……」
「待て待て待て!」
俺はそう言い、手を振りながらたじろぐ。
この瞳は絶対にヤバいヤツだ!
フ───ではなく、リリスが魔力を使った時の様な……
ん?
待てよ、リリスだと?
この魔力は───……リリスのものじゃないか!!
通りでこの檻を開けようとしない訳だ。
それもそうだな、レア本人が此処にいる訳ではないのだから……。
でも、待てよ……リリスにしては魔力量が少ない様な……って、まさかッ!
並列存在か!?
「おい、よくも俺を揶揄ってくれたなぁ……! リリス!!」
「あ……バレちゃいました?」
てへっ、と頭に右手を当てるリリス。
よし、ここ一帯を魔力を解放してブチ壊し───
「アーテルはん。ここで魔力を使うんやったら地獄を見る事になるけどええな?」
その時だった、リリスの背後からレアの声が聞こえたのは。
ご本人登場───!!
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