68話目・パーティーハウスを買ってやったぞ
本日3話目の更新となります。ご注意ください。
ということで俺は、協会からの紹介と俺のツテを使ってパーティーハウスを買うことにした。
場所は白黒赤青緑ダンのちょうど中間ぐらいで、大きめの通りに面しているものの中からなるべく建物が大きい物件を選んだ。
パーティーハウスの購入と清掃整備及び家財道具の購入だけで辺境伯家からもらったカネの8割が飛んだが、まぁ、使ってくれと言われたものなのでパァーっと使うことにする。
その甲斐もあってなかなかの広さと便利さを兼ね備えたハウスを買えたし、軽めの運動(ツバサがキャッチボールしたり、モコウがクンフーの鍛錬をしたり)ができる広い庭や地下室、錬金術室もついている。
部屋数が多過ぎて空き部屋がいくつもあるのが気になるといえば気になるが、まぁそのあたりは気にしても仕方のないことだしな。
とか思っていると。
「やァやァ、セリー! 良い家を買ったじゃあないか! 今日からよろしく頼むよ!」
と、訳の分からないことをヌカしながら、姉貴とモルモッティーアさんが大荷物とともにやって来た。
おい、なんだその大量の荷物は。
「なにって、セリーがとうとうパーティーハウスを買ったと聞きつけてねェ。せっかくだからお姉ちゃんも一緒に住まわせてもらうことにしたのさ!」
初耳だぞ、そんな戯言。
「今初めて伝えたからねェ。さ、モルモ君。荷物を運び込もうじゃないか」
「はい、ステラさん」
と勝手に居座ろうとする姉貴に怒った俺は、門扉の前で1時間ぐらい姉貴と姉弟喧嘩を繰り広げたが、
最後は姉貴が「セリー、一生のお願いだ! 私もここに住まわせてくれよォ〜!」と泣きながら一生のお願い(もう何度目になるか分からないやつだ)を使ってきたのと、
モルモさんが「私を住み込み家政婦として雇っていただけるなら、この家の家事と維持管理とパーティーの会計等事務処理を全て行いますし、ステラさんの面倒も全て見ますよ?」と悪魔の囁きをしてきたので、
最後は俺が折れた。
しょーがねーなー!!
「分かったよ、2人とも住んでいいよ。そのかわり、姉貴たちも俺のダンジョン検証とかに付き合えよ?」
「良いとも。私の灰ダンマップ検証の記録なんかも、見せてやろうじゃないか」
お、マジか。
それは非常に助かる。
灰ダンこと「灰の坑道グレーメイズラン」は、階層を移動するたびにランダムな形状の洞窟が現れるタイプのダンジョンで、
何度完全踏破してみてもフルマッピングクリア扱いにならないので、フルマッピングクリアが不可能なダンジョンなんじゃないかと考えているところなんだが、
「実はあれ、階段降りてすぐの最初の通路のとある部分を見ると、記号表記があってね。私が確認しただけで200を超えるものの、記号表記の種類ごとできちんとダンジョン構造のパターンが決まっているんだよ」
……ほほぅ。
つまりそれは、一回の探索で全てのパターンを出させて完全踏破すれば、フルマッピングクリアが可能かもしれないということだな……?
と、俺が姉貴の話を聞いて考えを巡らせていると、
「ふふふ。セリーさんは、ステラさんと同じ顔をされるんですね」
と、モルモッティーアさん、……もういいか、……モルモさんに言われた。
「まぁ、姉弟だからな」
「まぁ、姉弟だからねェ」
と、姉貴とハモってしまい、俺は少しだけ恥ずかしかった。
その後、買い物から帰ってきた弟子たちに確認を取ったら満場一致でオーケーが出たので、皆で姉貴たちの荷物をハウスに運び込んだのだった。
それから数日後に、知り合いたちをたくさん呼んでパーティーハウス購入祝い会をしたのだが、それはもうしっちゃかめっちゃかの大騒ぎになり、翌日ご近所さんからやんわり怒られたりもしたのだが、
それはまぁ、別の話ということで。
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