表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第5話 都の交易網と初めての大規模取引

「今日は重要な取引よ」

綾乃は帳面を手に、商会本部の窓から王都の街を見渡す。

「小麦と鉄鉱石は順調。でも次は魔具や希少鉱石も扱うわ」


カナが書類を整理しながら尋ねる。

「お嬢様、冒険者たちと連携するんですか?」

「ええ。彼らの力を借りれば、希少鉱石の輸送や安全確保ができる。信用だけでは届かない領域を補うのよ」


ミサが剣を背負いながら、商会の入口で立っていた。

「……戦闘は私に任せろ。都での警護もできる」

綾乃は微笑む。

「頼もしいわ。私の計画を妨げる者がいても、あなたがいれば安心」


午前中、都内の市場を回り、綾乃は新たな取引先と交渉を開始。

「こちらの魔具、都内では需要があるはず。安全に輸送できる条件で購入させてほしい」

商人たちは眉をひそめるが、帳面に記された数字と供給予測を見て、納得する。

「なるほど……条件が明確だ。了承しよう」


取引成立の知らせを受け、冒険者ギルドから数名が商会本部に現れる。

「……お嬢様、運搬任務の依頼ですね」

ギルドの代表が報告する。

「ええ、都内で希少鉱石や魔具を安全に運ぶために協力してほしい」

冒険者たちは小声で互いにうなずき、準備を始める。


午後、綾乃は帳面を開き、輸送ルートと必要人数、報酬を計算する。

「都内の巡回ルートを確保すれば、最小限の人員で安全に運べる」

ミサが手綱を握りながら、荷物の状態を確認する。

「なるほど……頭脳戦だな」


取引当日、商会本部は忙しさでざわめく。

「お嬢様、全ての準備が整いました」

カナが報告する。

「よし、いよいよ本番ね」


綾乃は冒険者たちに指示を出す。

「鉱石の搬出は慎重に。途中でトラブルがあっても、信用を失わないように」

冒険者たちは無言でうなずき、荷物を搬出する。


途中、市場で小さな妨害があったが、ミサが鋭い目つきで対処し、問題は最小限に抑えられた。

「戦わずして問題を解決……これも計算通り」

綾乃は心の中で微笑む。


荷物を都の商人に届けた後、取引成立の証として銀貨と契約書が手渡される。

「やった……初めての大規模取引、成功ね」

カナが目を輝かせる。

「お嬢様、これで商会の信用がさらに広がります!」


その夜、商会本部で三人は帳面を囲む。

「小さな信用を積み重ね、ついに大規模取引に成功……でも、これからもっと大きな挑戦が待っている」

ミサが笑いながら言う。

「……楽しみだな、頭脳戦の世界」

綾乃は帳面を閉じ、星空を見上げる。

「銀貨一枚から始まった挑戦は、商会設立、都内での取引拡大と進化した。次は海外交易や他国との交渉……世界規模での挑戦になるわ」


馬車の外、王都の夜景がきらめく。

「私たちの小さな商会が、都の信用と交易網を動かす……これが私のやり方」

カナが静かに頷く。

「お嬢様、私もずっとそばで支えます」


綾乃は微笑み、銀貨一枚を掌で転がした。

「小さな一歩が、大きな未来を作る……さあ、次の一手を考えましょうか」


こうして、綾乃の交易成り上がりは着実に進み、商会の信用と力は都内で確立されつつあった。銀貨一枚から始まった物語は、今や都全体を揺さぶる力となり──次の舞台、海外交易と国家規模の策略へと続くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ