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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第2章 おっさん躍動を始める

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第76話

「それにしてもケンタ様の国には不思議な物が多いですな」


 ステンカがコーヒーメーカーを眺めながら感心したように頷いていた。そんな様子に、健太は嬉しそうにしつつコーヒーメーカーの使い方を説明する。


「まずは豆を入れて、このボタンを押します。そしてタンクに水が入っているのを確認して、このボタンを押すと……。このように自動的にお湯を沸かしてコーヒーを淹れてくれるのです」


「素晴らしい。それで機械でしたかな? このバッテリーとの魔道具を使う事で私でも、初めての人間でも量さえ間違えなければ、同じ味のコーヒーが淹れられると」


 健太から説明を受けたステンカが感心した面持ちでコーヒーメーカーを再度眺める。王都で飲んだコーヒーは熟練の技術を持った職人が淹れていたが、この機械を使えば簡単にコーヒーが淹れられるのである。しかも技術がなくとも、誰が淹れても同じ味になるとの事で感心を通り越して感動した表情になっていた。


「どうです? これを購入されませんか? 初めての購入特典でお安くしておきますよ。今ならコーヒー豆も5袋プレゼント! さらに砂糖も一緒に付けましょう!」


「買った! ケンタ様は商売が上手ですな。して、金額はいかほどで? 金貨20枚までならなんとか出せますぞ?」


「お、おお? 金貨20枚? それほどの価値がありますか?」


 ステンカが提示してきた金額に健太が仰天した表情になる。購入金額は15000円であり、コーヒーや砂糖を付けても金貨売却料金からすれば大黒字であった。


「ステンカ殿との間柄ですので、特別にこのバッテリーも付けましょう。毎回、持って帰って充電する必要がありますが、その分もサービスしますよ」


「素晴らしい! ありがとうございます! このような魔道具を金貨20枚で売って頂けるとは! ですが注意してください。私は転売しませんが、この金額で今後は売ってはダメですよ。私が商人なら王家に金貨200枚で交渉します」


 健太が唖然としていると、人の悪そうな笑顔を浮かべてステンカが話を続ける。


「ケンタ様の国では安いかもしれませんが、こちらでは未知の魔道具です。貴族なら珍しい物を何としてでも手に入れようとするでしょう。それがステータスですから。ケンタ様は十分に気を付けてください。それと今後も色々と面倒な事は起こると思っておかれた方がいい」


「ありがとうございます。気を付けましょう。そうすると金貨20枚でステンカ殿に売ったのは失敗ですね」


「はっはっは。授業料だと思って頂ければ。私からすれば天にも昇る気持ちになれる素晴らしい買い物ですがね。2度とないチャンスだったと思っておりますよ」


 健太の軽口にステンカは嬉しそうに笑うのだった。


 ◇□◇□◇□


「お父様? なにを?」


「おお。エルミ。食事の用意が出来たのかい?」


 エルミが震える声でステンカに話しかけてきた。いつもと違う娘の表情に首を傾げながら問い掛けると、エルミが引き攣った顔で話し出した。


「お父様が飲んでいるのはケンタ様が淹れたコーヒーですか? それと食べているお菓子は見た事がないのですが」


「ああ。そうなんだよ。ケンタ様がコーヒーを淹れて下さってな。これも見て欲しい。周りに砂糖が結晶になってくっついているんだ。それと、このお菓子はチョコレートで中にはコーヒー豆が入っているんだよ。それに驚かないでおくれ。この魔道具のコーヒーメーカーをケンタ様が売ってくれたんだよ。それも金貨20枚で! コーヒー豆も水も融通して下さるとの事だし、それに魔道具を動かすためのバッテリーも定期的に魔力を充填してくださるそうだ。これだけの魔道具で金貨20枚……。どうした? エルミ?」


 エルミの問いかけに、ステンカがテンション高く話し始める。しばらくは無表情で話を聞いていたエルミだったが、徐々に体が震えだした。その様子にステンカが心配そうに近付くと不気味な笑い声が聞こえてくる。


「ふっふっふ。私がケンタ様のために一所懸命に食事の支度をしている最中にお父様はケンタ様と楽しいコーヒータイムをしていたと。それに私が見た事もない道具で淹れてもらい、見た事のない砂糖を使ってもらい、見た事のないお菓子を食べていたと。それに金貨20枚? そのような素晴らしい魔道具を金貨20枚? 私なら金貨200枚の評価を付けますが?」


「ああ。それはステンカ殿への授業料を込みで金貨20枚にしたんだよ。これからは安売りをしないので安心してくれたらいい。いい勉強になったよ」


 エルミの背景に暗闇が見えるような気がした健太が、それとなくフォローをする。しかしエルミの表情は固まった笑顔のままであり、なにかに気付いたステンカが徐々に後ずさりをしながら逃げようとしていた。


「どこに行かれるのですか? お父様? まだ話は終わっておりませんよ。ケンタ様を騙した件と、私よりも先にコーヒーを満喫していた件について、あちらでユックリと話をしましょう」


 エルミの話しが終わった瞬間に踵を返して逃げ出そうとしたステンカだったが、一瞬で間合いを詰めたエルミに首根っこを押さえられると引きずられていった。

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