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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第1章 おっさん異世界に召喚される

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第39話

「取りあえず、これだけあればしばらくは持つだろう。容量もまだ余裕がありそうだし他にも買い物が出来そうだな。――。それにしても、異世界側の容量が無駄に広く感じるな。向こうからこっちに持ってくるのがあればいいんだが……」


 健太はパン屋で大量に買い込んだのをアイテムボックスに収納しながら呟いていた。紙袋に入れているため個数としては1つと換算されており、まだ個数と容量の両方ともに余裕があった。


「パンは紙袋に入っているから1個と数えるのか。取り出すときも1個で出せるかを確認する必要はあるな」


 検証する項目をスマホにメモしながら健太はふと気づく。


「ん? ひょっとして、塩も一括りにしたら個数に余裕が出るのか? こっちは異世界側のアイテムボックスで試してみよう。検証用の塩でも買っておくか? 空箱も用意をしておこう。それ以外にも買う物はたくさんあるな」


 途中で食品格安スーパーに立ち寄った健太は、調味料やカップめん、冷凍食品などを大量購入した。


「これからは現金よりカードで買った方がいいな。毎回、何十万も持ち運ぶのは精神的に落ち着かない」


 レジ支払時に財布から現金を取り出す祭に、財布の中身を見てしまった店員が羨ましそうにしていたのを思い出し、健太は次回からはカードを使おうと決めた。


「うーん。エルミに召喚されるまでに、出来るだけ確認をしておくか。塩は大量に買っているから大丈夫だろ。コーヒーも粉と砂糖も入れた。そうだ! 道具を持って行こう。取り出した後は馬車に置いといたら問題ないしな。それとも新しい器具を買うか? そうだ買おう! 予算はあるからな!」


 急にテンションが上がった健太はPCを起動すると、ネットショップにアクセスして器具の選定を始める。


「アルコールランプを使うタイプなら、あっちでも使えるな。サイフォン式を使ってみたかったんだよな。おっ! エスプレッソもいいのがあるじゃないか。えっ? これで1万円? 安い! 思ったより安かったからミルは電池式のやつにしよう。豆も種類を揃えられるだけ集めてみようか」


 今までなら予算の都合で諦めていたのが、金貨の販売で懐が潤っている上に、今後も定期的な収入が見込めるめどが付いている健太は、物欲センサーが最大限に振り切った状態で次々とカートに放り込んでいった。


「ちょっと、やりすぎたかもしれん」


 勢いよく購入ボタンをクリックした瞬間に、健太は少しだけ冷静になった。


「ま、まあ。買った物を後悔してもダメだからな! 気にしないでおこう! お急ぎ配達にしたから明日には届くぞ!」


 メールに届いた配達予定時間を見て、召喚までには問題なく到着する事を確認しながら、細々とした物を入れる道具を探し始めた。


「ん? なおからメッセージ?」


 しばらくして直章(なおあき)からのメッセージが届いた。何気に確認すると、そこにはリンクだけが貼られており、それ以外はなにも届かなかった。


「このリンクをクリックしろって事か? ――。ぶっ!」


 リンク先は個人が自由に小説をアップできる「なろう小説家に!」と呼ばれるサイトであり、そこにはペンネーム『なお』で作品が掲載されていた。


「おいおい。この主人公って俺のことだろう」


 そこには異世界に召喚された『(けん)』がエルミと一緒に旅をする物語が書かれていた。


「あんな断片的な情報だけで、よくここまで書けたな。ん? なおからまたメッセージ? 『読みましたー(=_=)?』だと? 『ああ。読んだぞ! なんで俺が主人公になってるんだよ!』っと」


 健太がメッセージを送ると、すぐに返信がやってきた。


「なんだ? 『リア充爆ぜろ!』だと? ははっ。なおからみたらそう見えるよな。エルミにミズキは本当に可愛いからな。それがコスプレをしているように見えたら、なおもそりゃあ怒るよな。『やらん!』っと」


 健太はなおからのメッセージに返事をすると、召喚されても問題ないように準備を始めるのだった。




「よし。荷物もOK! 台車に色々積んで、アイテムボックスに入れたら1個とカウントしてくれるのは本当に助かるな。今度から、細かいのは全部台車に入れてしまおう」


 何度も出し入れする物は大きめのアタッシュケースに入れ、健太はいつでも召喚されても大丈夫な体勢になっていた。


「時間的にはそろそろだと思うんだが……。おぉ。き、きた」


 3度目になる感覚に健太は目を閉じながらその身を任せた。相変わらずの三半規管をかき乱す回転と、網膜を焼くような閃光に辟易しながら意識が一瞬途切れるのだった。


 ◇□◇□◇□


「ううっぅっ……。相変わらず気持ちが悪い……」


「大丈夫ですか? ケンタ様?」


 魔法陣の上でうずくまっている健太を心配そうにエルミが近付いてきた。しばらく吐き気と戦っていた健太だったが、なんとか気分を落ち着かせるとユックリと立ち上がった。


「ああ。なんとかな。5日ぶりだが元気だったか?」


「はい。大丈夫です。ケンタ様はお元気でしたか?」


 健太に水の入ったコップを渡しながら、こちらを気遣っているエルミに感謝を伝えつつ現状確認をする。


「今のところインナーゴウは落ち着いています。たまに出てくる分については私達で抑えていますから」


『私も頑張ってるー。ケンタ様ほめてー』


「本当にミナヅキは頑張ってますよ。インナーゴウは水魔法に弱いみたいですからね」


 エルミの報告を聞いていると、扉からゲンナディーと水無月(ミナヅキ)が入ってきながら一緒に報告を始めた。

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