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若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!  作者: 森田季節
黒魔法業界の新人研修編

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69 コカトリス探し

「アリエノール、もっともっとコカトリスについて教えてくれ!」


「なっ……。どうして、私がお前なんかの頼みを聞かねばならんのだ……。お前だってそれは選ぶ相手として不適切だということぐらいはわかるだろうが……」

 俺の態度にアリエノールは困惑を示している。ずっと、俺に負け続けてきたから無理もないか。


「俺、コカトリスの性質も特徴もよくわかってないからさ。けど、少なくともコカトリスを倒すところまでは協力しないと、そっちも損するだろ。コカトリスがなかったら、まともなメシにありつけないんだぞ!」


「む、むう……それはそうだな……」

 アリエノールも焼肉が硬いパンになるのは嫌らしい。


「コカトリスは単体で行動することが多い。そして自分のテリトリー内でカエルとかネズミとか小さい鳥とかを食べている。食べているものはフクロウなどに近い。石化させたら自分も食えなくなるからな。夜はだいたい寝てしまうが、昼から夕方にかけて、エサを探して、がっつり食べる」


「じゃあ、今が遭遇するチャンスってことだな」

「逆に言えば、で眠られてしまったら、まず見つけられない。なので夜に捕まえるのは絶望的だな。日暮れまでが勝負だ」

 なるほど、見事に焼肉大会向けの食材だ。


「ありがとう! やっぱりアリエノールは森生まれだけあって詳しいな!」

「よ、余計なことを言わなくていい……。お前に褒められても一切うれしくない! むしろ、お前が無知なだけだ!」

 アリエノールはもちろん素直にありがとうとは言わないが、まんざらでもなさそうだ。褒められたせいか、顔もちょっとだけ赤い。


「こんなもの、モルコの森で黒魔法を生業としている我が一族なら、自明のことだ……。コカトリスに誤って石にされたものを元に戻すのも仕事のうちだしな……」


 そっか。黒魔法使いといっても、仕事をする環境によって得意分野も違うんだ。

 都市部にはコカトリスなんてものは出没しない。だから、それへの知識も必要ないし、深まらない。


 けど、森を本拠地にしている黒魔法使いは、当然森の生物について詳しくならざるをえない。

 これまでアリエノールが空回りしてたのは、自分の得意分野を把握してなかったせいじゃないか。森の知識を使える課題なんてほぼ出ないから、生かせないってのもあるけど。


「よし、役割分担を決めよう。アリエノールはコカトリスの居場所を調べてくれ。その代わり、危険が伴う仕留める役は俺がやる」

「本当にいいのか? 石化して回復したとしても、後遺症が残ることもあるんだぞ。肩こりが無茶苦茶ひどくなるとか」

 地味に嫌な後遺症だな……。

「それに石化の回復も100パーセントではないからな。そのまま死ぬ奴だっている。だから、あんまりお勧めはできない」


「アリエノール、やさしいんだな」


 変な間が空いた。

 直後にアリエノールの顔が一気に真っ赤に変わる。

 俺も言い方がまずかったかなと少し反省した。煽ってる感じになってないかな……。


「何を変なことを言う! 誇り高い黒魔法使いの私が、敵であるお前にやさしさを示すとか、あ、ありえないし! 正気の沙汰じゃないし!」

「うん、別にアリエノールの感情とかはわからないし、そこでは恨まれてるのかもしれない」


「じゃあ、やさしくなどないじゃないか!」

「けど、客観的に見て、それは危険だぞって、ちゃんと言えるのは大事なことだと思う。こう、本音じゃ絶対許せない奴でも、一応最低限の手は差し伸べようとしてるっていうか……。そういうのもやさしさの一つじゃないか?」


 俺なりの弁明は通じただろうか。とにかく、アリエノールは普通にいい奴かもしれないのだ。そりゃ、いい奴だとしても敵認定されてるわけだから、そこは厄介だけど。


「お前は……変な奴だな……。ますます嫌いになったぞ……」

 どうやら、俺の発言はいろいろと失敗だったらしい。でも、元が最低に近い評価だったから、今更気にはしない。だって、これ以上下がらないし。


「わかった。そこまで死にたいのなら、その役を止めはしない。だが、こっちが動けと言うまでは絶対に仕留めようとするなよ? コカトリスは警戒心が強いからな。中途半端に飛び出すのが一番危ないのだ。過信すると、ベテランのコカトリス捕りでも石になる」


 それって安全ってわかるまでは動くなってことだよな。

 やっぱり、こっちの身を案じてくれてるじゃないか。それを言ったら否定されるだろうから言わないけど。


 俺たちは少しずつ慎重に森の中に入った。といっても、ほかのペアと比べると、かなり手前だったと思う。コカトリスはどこかに固まっているわけではないらしいので、密度は同じ森なら大差ないのだ。


「ここもないな。よし、次。次に行く!」

 アリエノールは途中からダウジング用の棒を二本取り出している。

「それって魔法なのか? あと、鉱脈とか水脈を見つけるやつで、動物は無理だろ……」

「黙っていろ! これは先祖代々続く方法なのだ!」


 俺は半信半疑だったが、どこにコカトリスがいそうか判断つかないので、従うしかない。


 けれど、二十分ほど歩いていると、ダウジングの曲がった棒がぐるぐる回りだした。


「近い、近いぞ!」

「それってそんな高速で回転するものなのか!?」

「とにかく、このへんにいる! 少し黙っていろ!」


 そして、本当にコカトリスのヘビみたいな尻尾があったのだ。

 こっちにはまだ気づいていない。尻尾を向けてる状態だ。


「よし、ここからは俺の仕事だ」


 俺はそうっと杖で魔法陣を描いていく。


「精神支配(中度)」を使う。以前はもう一ランク下の威力でも蜂を使役できた。今回も効いてくれれば!


 くるっと、コカトリスがこちらを向く。

 なんで、こっちに来ているかわからないという顔をしている。よし、効いている!

 あとは自分の真ん前まで接近させて、そこをナイフで仕留めればいい。


 しかしこちらも精神力を使う。なにせ、口でかぷりとやられたら石になるのに、その口を近づけているわけだ。


 なんとかとか集中、集中……。あと、せいぜい三十秒ほどのことだ……。


 その時、がつんと何かが杖にぶつかって、吹き飛んだ。


「わ、悪い! ダウジングの棒が回転しすぎて吹き飛んだのだ!」

 たしかにアリエノールの片手では残ったダウジングロッドがぶんぶん回っている。


「それ、何かおかしいぞ!」


 しかし、まずいことになった。

 コカトリスがこっちをにらんでいる。精神支配の魔法も解けたよな……。


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