リル4
そろそろ本気で次の就職先を探さないといけない。
貞操の危機から免れた私は、現在、屋敷の裏口をくぐり抜けていた。
「・・・くっそぉ・・・、あんの変態ご主人めぇ・・・・」
口が悪いのはご愛嬌ということで見逃してください。
だ、だって、いきなり服を剥ぎ取られそうになったら誰でも悪態つきたくなりますよね?ね?
・・・・え?そこはか弱く泣く場面?
し、知りません。
私、強い子なんです!!
と、とにかく、てくてく歩いているうちに再び町に舞い戻って参りました!!
仕事放棄!?・・・上司からセクハラされたのです。多めに見てください。
「おかみさぁ~ん!!」
はい、またまた例のごとく果物屋さんにやってきました。
「ん?リルかい?どうしたんだい?さっきお屋敷に戻ったんじゃなかったのかい?」
「・・・・はい。だけど、やっぱり私・・・ご主人様に嫌われてるみたいなんです。いきなり制服をはぎ取ろうとしたんですよ。これっていますぐ出て行けってことですよね?」
「え!?」
おかみさんの目が2倍の大きさにまで広がってます。
「だから、おかみさん!!私に再就職先の紹介してください!!」
以前、仕事をクビになるかもしれないと相談したら、仕事を探してあげるよとおっしゃてくださったおかみさんに甘えて私はここへ来てしまった。あれから状況は聞いていないけれども、もしかしたらどこかでメイドを募集してるかもと思っておかみさんに訪ねてみたのだけど、私の言葉になんだか慌ててます。
「あ、うん。あー・・・。その、それがね・・・そう!今のところリルが働けそうな仕事がなくてね・・・」
おかみさんの言葉に期待していただけ、思わず肩から力が抜けてしまいます。
「そうですか・・・・」
やはり仕事はそう簡単に見つかりませんね。
だからといって今のところにいつまでいられるかもわかりませんし・・・・。
「私も本格的に仕事さがさないとなぁ・・」
ぼそりと行った言葉におかみさん、なにやらりんごをおっことしました。
ど、どうしたんですか!?商品落としたらダメじゃないですか!
「り、リル!と、とにかく、一旦お屋敷に戻っておいで。仕事の方は私にまかせて。うん。そうそう。仕事だって残ってるんだろう?」
・・・慌てすぎです。おかみさん。
商品落としたくらいでいつも凛としているおかみさんがそんなに慌てるなんて、やはり店を持つ人は心根が違いますね!うん、私もくよくよしてないでおかみさん見習って、仕事はきちんとしなければ!!
「そうですね!やはり仕事をサボっていて、そんな情報が流れてしまったら再就職も危ういですもんね!さすが、おかみさんです!私、とっても嫌ですが、お屋敷に戻って仕事をきっちりしてきますね!」
そうと決まれば、ご主人様に見つかる前になんとかお屋敷に戻らなきゃいけませんね!
急がばまわれです!ん?使いどころが違う?
と、とにかくいそいで屋敷に戻るんですよ!!
「あ、いや・・・そういう意味じゃなくてね・・・・って、聞こえてないね。あれは・・・・」
深い深いため息を落としていたおかみさんの事など、露知らず。
私は、急いで再び来た道を戻って行きました!
「そうよ!仕事をまずはきっちりして、私は出来る女なんだって事をちゃんとアピールしないと、新しい就職だって決まらないわ!さすが、おかみさんね!」
おかみさんの心根を見習って私、張り切ってお屋敷に帰りました。
・・・・すぐに後悔しましたけどねっ!!!怒!!!




