リル15
荷物をまとめ、きちんとおかみさんに挨拶をして店を後にした私は、少し町をぶらぶらと歩いて帰る事に決めました!!
だ、だって、せっかくの休日ですし、べ、別にいいですよね!!
なんて、一人心の中でいい訳をしていると、ふと見た事のある姿が前を歩いていました。
「あれは・・・・・シュリさん!!!!」
大きな声で前を歩くシュリさんを呼びました。
ですが、なぜでしょう?全く反応がありません。
おかしいですね?お仕事の時と比べて髪を下ろしていたり、素敵な服を着られていてもあの漂うオーラはシュリさんの者だと私は確信できます。
え?変態ではありませんよ?
と、とにかく、私はシュリさんの元へ駆け寄りました。
「シュ~リ~さぁ~ん!!」
ん?なかなか距離が縮まりませんがなぜでしょう?
「シュリさーん!!シュリさんってばぁ!!シュリさんシュリサンシュりさぁん「うるさい!!」
あぁ、やっと反応してくれました。
にっこりと笑ってシュリサンを見るとシュリさんは額に青筋らしきものを浮かべていらっしゃるようですが、なにかあったのでしょうか?
「・・・・・もうっ!!恥ずかしいじゃない!!やめてよね!!」
だったら、すぐにお返事してくれればいいものを・・・。なんて考えながら頬を膨らませるとシュリさんにその頬の空気を抜くように頬を抑えられました。
「いい加減にしてよ!!どうして休みの日まで貴方の面倒をみなくちゃいけないの!!ゆっくり休んだって罰はあたらないでしょう!?」
・・・どうやら、クールビューティは本日お休みの様ですね?
「いひゃいびぇす。ひゃなしちぇくりゃひゃい」
「はぁ?・・・・あぁ。ちょっと、あなた、私の後をついてこないでよね?私は用事があるの。貴方に構っている暇はないのよ」
離してもらった頬はちょっと痛かったです。
さすさすと頬をさすっていると、シュリさんは鬼の様な眼で私を睨んだ後、そう言ってどこかに行ってしまわれました。
・・・・・・もしや、デートでしょうか?
ついてくるなと言われると、ついていきたくなるのが人の性というものではないでしょうか。
しかし、怒られた手前堂々とはついていけません。
では、どうするか。
はい、こっそりついていきましょう!!
え?人として最低だって?・・・・・そこの貴方!!本当にそれでいいのですか!!いくらなんでも私が後を着けるなんて下品な真似するわけないじゃないですか!?
は?え?ついていくと言った?・・・・ごほん。
ついていくのではないのです。たまたま、私が行く方向にシュリさんがいるだけです。そう、たまたま!ですよ。
「・・・・って、見失っちゃう」
一目見たら大人しく帰りますよ。
この背負っている荷物もさっさと持って帰って片付けなければいけませんしね。
一目、シュリさんのお相手を拝見するだけですよ。
そう思って、こっそりとシュリさんの後をつけていると、シュリさんはデートとは相応しくない路地裏へとどんどん足を進めて行きます。
「・・・・あまり、人目についてはまずいお相手なのでしょうか・・・・」
も、もしかして、身分差の恋!?きゃぁ!!素敵ですね!
私そういう話に目がありません!!
なんて、浮かれてたら、シュリさんは路地の突きあたりにくると辺りをきょろきょろしながらどこかの建物の中に入って行かれました。
「あの中に身分差のお相手が!?」
私もこっそり後をついてその建物に入りました。




