リル1
リル目線です
私の名はまだない。なんて事はない。
生まれた時からあります。
はい、普通にありますよ。
まぁ、平凡なんですがね。
リール・グランダ。
みなさん私の事をリルと呼んでくれます。
「リル!!リル!!」
おっと、早速御呼びですよ。
って、一体私は誰に向かって話しているんだか・・・。はぁ・・・。
またあの方に呼ばれてしまった。
どうして、毎回毎回ご指名なんだ。
私以外にもメイドはたくさんいるだろうに・・・。
「リル!!!!!!」
・・・・はいはい、すぐ行きますよ~・・・・・。
「どっこいしょ・・・・」
あぁ、誤解のないように言っときますが、私16歳です!!
くれぐれも腰が重くてこんな言葉をつぶやいたのではないのですよ!!
現在、私の両手には今にも崩れ落ちんばかりの本が積み重ねられているのです。
えぇ・・・。これがご主人様が私を呼んでいる理由なんですけどね。
って、だから自分、誰に向かって言っているんだ・・・・orz
「失礼します。って・・・・ド、ドアが開けられない・・・・・」
しまった!!
両手いっぱいに本抱えてりゃそりゃドア開けられないって!!
ど、どうすれば・・・・。
「ご主人さま!!ご主人様!!」
とりあえず叫んでみました。
だ、だって、手が・・・・・
ギィ・・・・
あ、扉開きましたよ。
やったね!
「失礼します!・・・・よいしょぉぉぉ!っと」
どぉん!!
そんな音が聞こえました。
「・・・・リル。本はもっと丁寧に扱ってくれないか」
後ろからご主人様の低くて良く通る素敵なお声とやらが(私はそう思っていないのだが、他のメイドたちはこぞってそう言う。私的にはどちらかというと、地を這う魔王のごとく・・・・)聞こえました。
そうっと後ろを振り返るとそこには、目がつぶれんばかりのキラキラ光る銀髪に整ったお顔(再び他のメイド情報。私的には白髪?年?と思う銀髪なんだが・・・、しかも顔も下手に整ってるからこ、こわ・・・・・)がありました。
「き、気をつけます。それでは、失礼しまぁぁぁす!!」
脱兎のごとく部屋を飛び出しました。
さて、ここまで話したら、お気づきの方もいらっしゃると思います。
そうです。私・・・・、このご主人超苦手なんですぅ!!!!!!
何が苦手かって?
まず、声の低さ?どうしてそんなに凄むんですか?私何か悪い事しましたか!?
次に切れ長の目。ど、どうしてそんなに睨むんですか!?私やっぱり何かしましたか!?
そして最後に、気配なく私の後ろに立たないでください!!
わかります、わかりますよ?騎士なんてやってると敵に居場所ばれたら厄介なんですよね?で、でも、私は普通のメイドです!!敵ではありません!!
はっ!!もしかして、ご主人・・・私の事を敵だと・・・・!?
ぬぉぉぉぉ!!もしかして、私クビにされる!?
なんて事を、ご主人とお会いした後毎回思ってしまうのです。
最近は、再就職先を探さなきゃなぁと、お使いに外に出るたび皆に聞きまわっていると言う事はご主人には内緒です。




