人間椅子
人間椅子。
それは私が追い掛け続けて二十年を超え、酒と共にこよなく愛する、スリーピースの、正当派津軽産ハードロック色物バンドである。
色物と言われても袈裟を止めないベース。
どこの文豪だ?と揶揄られてもおかしくないギター。
ロックンロールでひた走るドラム。
大好きである。
デビュー当時のメンバーは以下だ。
和嶋慎治 - ギター、ボーカル
鈴木研一 - ベース、ボーカル
上館徳芳 - ドラムス
このうち和嶋、鈴木は不動のメンバーである。
ドラマーが変わってしまうのが人間椅子の特徴でもある。
ドラマーな私的には残念だが、人間関係や音楽性の相違など、色々あるんだろう、と思っている。
デビュー時は文学ロックと言われるような歌詞やタイトルであり、猟奇をモチ-フとした楽曲群がある。
メジャーデビューアルバム『人間失格』も
1. 「鉄格子黙示録」
2. 「針の山」
3. 「あやかしの鼓」
4. 「りんごの泪」
5. 「賽の河原」
6. 「天国に結ぶ恋」
7. 「悪魔の手毬歌」
8. 「人間失格」
9. 「ヘヴィ・メタルの逆襲」
10. 「アルンハイムの泉」
11. 「桜の森の満開の下」
物々しいタイトルである。
このうち「りんごの泪」は有名であろう。
歌詞を書くと怒られるので書かないが、歌えば「あー、聞いたことある」となるだろう。
「天国に結ぶ恋」はプログレッシブロックと狂気と猟奇が混ざりあっている複雑な曲だ。
金田一シリーズのタイトルが曲名であったりと、このころは文学ロック万歳と言える時代だ。
個人的には「桜の森の満開の下」が大好きだ。転調もあり、展開も豊富で聞いていて飽きない。
盛り上がりもあり、この構成は小説にも使えるのではないかとさえ思う。
唯一の欠点は録音設備が古く、音がこもりがちな点だ。
残念だ。リマスター盤でも、そもそもが悪いのであまり期待できない。
セカンドアルバム『桜の森の満開の下』は
1. 「爆弾行進曲」
2. 「遺言状放送」
3. 「心の火事」
4. 「憂鬱時代」
5. 「夜叉ヶ池」
6. 「東京ボンデージ」
7. 「盗人讃歌」
8. 「相撲の唄」
9. 「甲状腺上のマリア」
10. 「太陽黒点」
結構マイナーというか、有名どころは「爆弾行進曲」 「夜叉ヶ池」だろうか。
逝っちゃってる曲、「相撲の唄」を是非聞いていただきたいところだ。 前作の「ヘヴィ・メタルの逆襲」にも共通する、お遊び的な曲だと思っている。
「憂鬱時代」なんかは聞いてるとホントに憂鬱になる。
曲調も、歌詞も。
サードアルバム『黄金の夜明け』は名盤だ!
人間椅子の中でも屈指の名盤である。
心して聞くのだ!
1. 「黄金の夜明け」
2. 「独裁者最後の夢」
3. 「平成朝ぼらけ」
4. 「わ、ガンでねべが」
5. 「水没都市」
6. 「幸福のねじ」
7. 「マンドラゴラの花」
8. 「素晴らしき日曜日」
9. 「審判の日」
10. 「無言電話」
11. 「狂気山脈」
なんというか、無我曲無し、全部聞け!な構成である。
壮大な「黄金の夜明け」 に始まり、揶揄った「独裁者最後の夢」、自らをバンドのガンと認識していた鈴木による「わ、ガンでねべが」、もの悲しい「水没都市」。
どれも素晴らしい!
不気味な「幸福のねじ」、 気味の悪い「無言電話」、そして猟奇の「狂気山脈」だ!
人間椅子のお勧めはと聞かれればこのアルバムを推す。
そして初期メンバーもこのアルバムが最後だ。
4thアルバム「羅生門」。
ショギョウムッジョがコンセプトか。
メンバーもドラムが変わって後藤マスヒロが入った。
暫定的ではあったが、後に正式メンバーになる。
和嶋慎治 - ギター、ボーカル
鈴木研一 - ベース、ボーカル
後藤マスヒロ - ドラムス、ボーカル
マスヒロ氏。めっちゃうまい。
彼のおかげで人間椅子の楽曲の演奏レベルが上がったと思う。
1. 「もっと光を!」
2. 「人間椅子倶楽部」
3. 「なまけ者の人生 (Album Version)」
4. 「埋葬蟲の唄」
5. 「青森ロック大臣」
6. 「ナニャドヤラ」
7. 「ブラウン管の花嫁」
8. 「憧れのアリラン」
9. 「羅生門」
やはり「羅生門」がお勧めだ。津軽三味線が悲しく響くこの曲は、静から動へと変化していく。カッコイイの一言だ。
「埋葬蟲の唄」にも共通してるのだが、人間椅子の楽曲は転調が多い。これは以後の人間椅子の楽曲にも当てはまる。
変化大好きな私にはご褒美なのだ。
そしてこの後ベストアルバムを発売してインディーズに行ってしまう。
5thアルバム『踊る一寸法師』
6thアルバム『無限の住人 』
はドラムが土屋巌氏に変わった。
正直、上手くない……
5thで聞くべきは「モスラ」「エイズルコトナキシロモノ」「ダイナマイト」「踊る一寸法師」
6thは「黒猫」
くらいだ。
ともかく、暗く引きずる曲が多い。
私がその手の曲が好きなだけなのだが。
ちな6thのアルバムタイトルは有名なあの漫画だ。
「ダイナマイト」は鈴木が作曲する速い曲シリーズの鏑矢だ。
今後、鈴木氏による速い曲がクレジットされていくのだ!
7thアルバム『頽廃芸術展』から後藤マスヒロが正式メンバーとなる。やっほい!
そして、だらだらドロドロの人間椅子復活である!
這い寄る闇を連想させる曲バンザイ!
1. 「胎内巡り」
2. 「戦慄する木魂」
3. 「九相図のスキャット」
4. 「血塗られたひな祭り」
5. 「菊人形の呪い」
6. 「天体嗜好症」
7. 「村の外れでビッグバン」
8. 「ED75」
9. 「エキサイト」
10. 「阿片窟の男」
11. 「銀河鉄道777」
12. 「ダンウィッチの怪」
黙って「ダンウィッチの怪」を聞くのだ。混沌とクトゥルフに身を委ねるのだぁ!
そして「エキサイト」
パチンコ大好きな鈴木氏の速い曲だ。
ライブでは爆速になる。
8thアルバムは「二十世紀葬送曲」だ。
録音機材が良くなったのか音がクリアになった半面、ドロドロ具合が減った。
人間椅子の音楽性も、若干変わっているのだ。
ハードロックが顔をのぞかせてくるのが、この辺からだ。
1. 「幽霊列車」
2. 「蟲」
3. 「恋は三角木馬の上で」
4. 「都会の童話」
5. 「暁の断頭台」
6. 「少女地獄」
7. 「春の海」
8. 「不眠症ブルース」
9. 「サバス・スラッシュ・サバス」
10. 「黒い太陽」
やはり「サバス・スラッシュ・サバス」が(・∀・)イイ!!
こんな歌詞でも良いのかと思ってしまうがw
「暁の断頭台」「春の海」 「黒い太陽」のどろりとした曲調と歌詞は、小説を書く上でいい刺激になる。
9thアルバムは『怪人二十面相』だ。
言わずと知れた江戸川乱歩のアレだ。
1. 「怪人二十面相」
2. 「みなしごのシャッフル」
3. 「蛭田博士の発明」
4. 「刑務所はいっぱい」
5. 「あしながぐも」
6. 「亜麻色のスカーフ」
7. 「芋虫」
8. 「名探偵登場」
9. 「屋根裏のねぷた祭り」
10. 「楽しい夏休み」
11. 「地獄風景」
12. 「大団円」
まずは黙って「芋虫」だ。エロゲーのエンディング曲になった、もの悲しいベースの音から始まる曲だ。
お約束の静から動へ、そして動から静へ。絞り出す鈴木のボーカルがまた良いのだ。
これは推さねばならない。
そして「地獄風景」
ひと言で言うと、三々七拍子、だ。もう、それしかない。
猟奇と狂気がせめぎ合う歌詞に三々七拍子が高速で発動する。
括目して聞くのだ!
10thアルバム『見知らぬ世界』
11thアルバム『修羅囃子』
ではハードロック色がかなり強くなる。
ドロドロ具合が姿を顰め、ストレートな曲が台頭してくる。
「棺桶ロック」「蛇性の淫」の鈴木曲は外せない。
私は鈴木のあの声色が好きなので「月に彷徨う」も外せない。
残念なことに、後藤マスヒロ氏がこれを最後に脱退してしまう。
12thアルバム『三悪道中膝栗毛』
13thアルバム『瘋痴狂』
はあまり好きではない。ロック色が強すぎるのだ。
この時のメンバーだが。
和嶋慎治 - ギター、ボーカル
鈴木研一 - ベース、ボーカル
ナカジマノブ - ドラムス、ボーカル
ドラムがナカジマノブ氏に変わった。
彼がロックンロール親父なのだ。
よってこの二枚はあまり聞かない。
14thアルバム『真夏の夜の夢』
そうはいっても人間椅子。戻ってきましたヘヴィメタルに!
お帰りなさいヘヴィメタァァァァァル!!
1. 「夜が哭く」
2. 「転落の楽典」
3. 「青年は荒野を目指す」
4. 「空飛ぶ円盤」
5. 「猿の船団」
6. 「閻魔帳」
7. 「白日夢」
8. 「牡丹燈籠」
9. 「世界に花束を」
10. 「膿物語」
11. 「肥満天使」
12. 「どっとはらい」
お勧めは「牡丹燈籠」だ。元ネタは落語の怪談噺。
これも展開が激しく、わたし好みなのだ!
もちろん歌詞も、イイゾ!
創作の刺激にはもってこいだ!
15thアルバム『未来浪漫派』
もはやタイトルは意味不明だw
だがそれが良い。
1. 「太陽の没落」
2. 「輝ける意志」
3. 「浪漫派宣言」
4. 「至福のロックンロール」
5. 「愛の法則」
6. 「赤と黒」
7. 「冥土喫茶」
8. 「塔の中の男」
9. 「月下に捧ぐ舞踏曲」
10. 「ヤマさん」
11. 「秋の夜長のミステリー」
12. 「ばっちりいきたい子守唄」
13. 「深淵」
ドコのパープルだと言われそうな「赤と黒」
やっぱり鈴木だ、な「冥土喫茶」
これぞ人間椅子、な「深淵」
深淵を覗くものは深淵から見られているのだ。
16thアルバム『此岸礼讃』
17thアルバム『萬燈籠』
18thアルバム『無頼豊饒』
と続いていく。
このころから人間椅子が再ブレイクして、売れ始めた。
ライブも盛況だ(誰か一緒にいきませんか?)
曲も年齢も円熟味を増しているってこったね。
「人生万歳」「蜘蛛の糸」「胡蝶蘭」「地獄のロックバンド」「なまはげ」 「迷信」などなど。
お勧めしたい曲は沢山だ。
19thアルバム『怪談 そして死とエロス』
エロスですよ、エロスw
1. 「恐怖の大王」
2. 「芳一受難」
3. 「菊花の数え唄」
4. 「狼の黄昏」
5. 「眠り男」
6. 「黄泉がえりの街」
7. 「雪女」
8. 「三途の川」
9. 「泥の雨」
10. 「超能力があったなら」
11. 「地獄の球宴」
12. 「マダム・エドワルダ」
今までちょっと洋にお出かけしてた人間椅子が戻ってきましたよ「和」に!!
お帰りぃぃぃぃ!
やったぜぇぇぇ!!
「芳一受難」「黄泉がえりの街」「雪女」「三途の川」「泥の雨」なんていうヘヴィーな曲も!
「泥の雨」なんかはニンジャスレイヤーのエンディング曲にもなりましたぁぁ!
私の黒歴史ともいえる処女作にも、この辺をモチーフにした話があります。
ぶっちゃけ曲名が話のタイトルにもなってたり。
あ、もちろん黒歴史は非公開にしちゃてます。
そして最新作20thアルバム『異次元からの咆哮』!!
1. 「虚無の声」
2. 「風神」
3. 「超自然現象」
4. 「月夜の鬼踊り」
5. 「もののけフィーバー」
6. 「宇宙のシンフォニー」
7. 「太陽がいっぱい」
8. 「痴人のモノローグ」
9. 「悪魔祈祷書」
10. 「悪夢の添乗員」
11. 「地獄のヘビーライダー」
12. 「異端者の悲しみ」
通勤電車のお供であり、私の脳内麻薬の源泉でもある。
アドとかエンドルとかレナリンとかフィンがついちゃうヤバイ物質がダダ漏れさぁ!
ヘヴィロックとでもいうのか、ハードロックよりもよりハードでメタルで黒い曲がぎっしりさ!
スラッシュな「地獄のヘビーライダー」はたまらないのであります!!!
津軽三味線のマイナーコードをひっさげ、ひたすらに我が道を行く人間椅子。
このエッセイ『音楽は我が脳内物質』を締めくくるにはこのバンドしかないのである。
私がもっとも好きなバンドであり、追っかけも二十年を超える。
学生時代に曲をコピーをし、それからはまり込んだ二十歳前の俺。
良くやった!
演奏してても楽しかった人間椅子の曲達。
アルバム、シングル、ビデオ、DVD。
全て買った。三枚くらい買ってしまったアルバムもあるw
いまじゃ良く訓練されたフリークスさ。
死ぬまで追っかけてやんぞ!
人間椅子、ばんざぁぁぁい!!
気が向いたら追加するかもしれないけどもw




