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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第二十一章 レギュラー達の守備練習

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第91話 貸し切り時間終了のお知らせ

 それからもかなめのノックは続いた。アメリアのわざとのエラーは別として、パーラの言う通りカウラと島田の守備と送球は見事なものだった。他のレギュラーは足を引っ張ることが確定なサラは別として、野球未経験者にしてはよくやる程度の守備だと誠は思っていた。


「そう言えばパーラさんはなんでレギュラーじゃ無いんですか?ファーストの人、さっきから何回もアメリアさんとカウラさんの送球を落としてるじゃないですか。パーラさんの方が上手いんじゃ無いですか?」


 野球未経験者らしくミットの近くの球は捕れるものの、少し外れた送球を後ろにそらすファーストの守備を見て誠はそうつぶやいた。


「私は……ツイてないから」


 悲しげにパーラはそう言った。


「ツイてない?そんなギャンブルじゃあるまいし関係無いでしょ」


 誠は自分の前にかなめが転がしたボテボテのゴロを処理すると、パーラの言う言葉の意味が理解できずにそう答えた。


「それが関係あるのよ。私ってここぞって時に限ってエラーするの。それと打つ方もそう。ワンアウト満塁でセカンドに併殺打打ったり、一点差で負けててノーアウトで前のランナーがファーボールを選んでかなめちゃんがバントのサインを出すと、二球ど真ん中のストライクを見逃してスリーバント失敗したり……だから、『ツイてない奴は使えねえ』ってかなめちゃんに言われて……だから万年控えな訳」


 かなめの理不尽なパーラの扱いに誠は憤りを感じた。ただ、自分の思う通りに行かないとすぐに銃を持ち出すかなめらしいと言えばそれまでだった。


 ノックをするかなめに守るレギュラー達から返球されてきた球を渡していた菰田が何やらささやきかける。


「時間だ!片付けるぞ!」


 ノックを止めてかなめがそう叫んだ。


「もう時間ですか……確かにピッチングマシンの件で無駄な時間を使いましたからね」


 誠はそう言うとかなめの足下に転がる多くの軟球を拾い集めている菰田を手伝おうと駆け寄った。ファールグラウンドでキャッチボールをしながらレギュラーの守備を見守っていた補欠の部員達も球拾いの輪に加わった。


「でもさすがサイボーグよね。一時間、ずっと打ちっぱなしでも息も切らさないなんて」


 特にかなめに目の敵にされて連続で難しい打球を浴びせられて息が上がっているアメリアはそう言いながら涼しい顔をしているかなめに感心していた。


「便利だろ?この身体も。アメリア、テメエも改造するか?ああ、うちのリーグではサイボーグは試合に出れねえルールだったな。今の言葉取り消し」


 かなめはそう言うとノックに使っていたバットを取りに来たマネージャーの菰田に渡した。


「スーパープレーができるのは良いけど、試合に出れないんじゃねえ……サイボーグ化は遠慮しとくわ」


 手伝いに来たアメリアとかなめのやり取りを聞きながら誠は久しぶりの練習を愉しんでいる自分に気が付いた。


 ボールをすべてこの球場まで運んで来たかごに入れるとかなめは満足げに頷く。


「それじゃあシャワーを浴びて着替えてホテルまでランニング!早く昼飯が食いてえだろ?急げよ」


 かなめのこの言葉で野球部員達は速足でこの田舎の町が所有するには豪華すぎる球場の真新しげなシャワー室に向かった。




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