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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第二十章 誠のピッチング

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第87話 急造キャッチャーの意地

「さっきから急造キャッチャー扱いされて……俺達にも意地があるんですよ」


 そう言って誠の投球を見守っていた野球部員達を割って出てきたのは誠が部隊について最初に出会った大男の技術部員だった。


「先輩名前は?」


「大野だ。それより、クラウゼ中佐、代わってください」


 大野はそう言うとレガースを脱ぎ始めたアメリアに声をかけた。


「本当に大野君に捕れるかしら?あのスライダー。初速はストレートと一緒なのにかなり落ちるわよ」


 挑発するようにそう言うアメリアに怒り心頭の表情で大野はレガースを付ける。


「それじゃあ、得意のスライダー。投げてみろ!」


 レガースを付け終えマスクをした大野はそう言って誠を挑発した。


「行きますよ!」


 誠はそう言うと大野に分かりやすいようにゆっくりと振りかぶってスライダーを投げ込んだ。


 誠の投げた球はそれほど変化することも無く大野のミットに収まった。


「神前!手加減してるな!さっき見たのと落差が全然違うじゃないか!」


 大野は誠に手加減されたことに自分が馬鹿にされているように感じてそう叫んだ。


「少しは慣れてもらおうと思って……いきなり僕のスライダーを捕るのはかなり上級者じゃないと無理ですよ」


「手加減は良い!本気で投げろ!」


 大野にそう言われるとムキになった誠は今度はクイックモーションで得意のスライダーを投げ込んだ。


 ホームベース上で落下を開始した球は大野の目の前でワンバウンドするが、それを大野は止めることができずに後ろに後逸する。


「やっぱだめだな。だから急造キャッチャーって言われるんだ。アメリアはさっきアレをミットで抑えたぞ」


 かなめは不機嫌そうにそう言うとぼろぼろのレガースを付けている控えのキャッチャー陣に目を向けた。


「オメエ等じゃ神前の相手は務まらねえ。決め球のスライダーが投げられなきゃ菱川重工豊川は抑えられないぞ……大野。オメエは隊に帰ったら残業代わりに神前とスライダーを捕る練習だ。ちゃんと捕れるまで帰らせねえからな」


 残酷にそう言い放つかなめを見ながら誠はマウンドを降りて投球練習場へと足を向けた。


「望むところですよ、なあ神前」


 かなめの挑発に乗って大野は誠にそう言った。


「僕も帰れないんですか……そんなの聞いてませんよ……」


 誠は残業代わりに投球練習をさせられると聞いて肩を落とすしかなかった。




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