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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第二十章 誠のピッチング

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第86話 変幻自在な変化球投手

「それはいい。オメエが器用なのはよくわかった。で、球種は何がある?」


 ご機嫌なかなめは誠にそう尋ねてくる。


「そうですね。縦に落ちるカーブとブレーキのかかるあまり曲がらないカーブ。それにスライダーが縦と横の二種類。それにフォークなんですが……」


「そんなに投げられるのか?」


 ストレート一本勝負の島田が驚いたような声を上げる。


「最後まで聞いてくださいよ。フォークは投げられるんですが、落ちすぎるんで上手なキャッチャーじゃないとパスボールをしますよ。都立の三回戦で負けたのは急造キャッチャーがフォークと縦のスライダーをエラーしてばかりだったのが原因ですから」


 誠にとってフォークボールはあの時封印した球だった。


「確かにな……アメリアなら捕れるかもしれねえけど、うちのキャッチャーはどこ行くか分からないストレートしか投げない島田とアンダースローで横への変化しかないカウラの球しか受けたことがねえからな……」


 がっかりした調子でかなめはそう言った。


「カウラさんってショートじゃ無かったんですか?」


 少し離れたところで感心しきりの表情を浮かべて誠の投球を見守っていたカウラに誠は驚いた調子で尋ねた。


「私は身体が柔らかいからな。それを生かしてアンダースローで投げることにしたんだ。島田がストライクが入らなくなって一杯一杯になった時はリリーフでマウンドに上がる。島田が正統派の速球ピッチャーだから私はアンダースローでカーブやシンカーを投げる軟投派になろうと練習した。まあ貴様から言わせればお遊び程度かも知れないがな」


 カウラは謙遜半分でそう言って誠を見つめてくる。


「なんだ。僕一人で完投させられるものと思ってましたが……」


 エースを任せられる。誠はそれが完投を強制されることだとずっと思いこんでいた。


「私と島田が後ろにいる。安心しろ。それより、貴様の変化球を見てみたい」


 いつもの無表情でなく笑顔のカウラがそこに立っていた。


「じゃあ、僕自慢の縦に落ちるスライダーから!」


 そう言うと誠は再び大きなモーションでミットを構えるアメリアに向けて投球を開始した。


 放たれた球のスピードは最初に本気ではないと誠が言ったストレートと同じ速度で進み、ホームベース手前で大きな落差で落ちるとワンバウンドしてアメリアのミットに収まった。


「すげえ落差。あの投げ方じゃストレートが来るかスライダーが来るか相手には分からねえぞ」


 驚きを隠せないという表情を浮かべるかなめの隣で誠はアメリアが投げ返してきたボールを受取った。


「じゃあ次はカーブ。これも落ちる奴で」


 そう言うと誠は今度はクイックで投げ込んだ。


 球速を殺した落差のあるカーブがアメリアのミットへと入る。


「これは上級者なら腕の振りでカーブが来るって分かるかもないわね。でも、最高スピードがあれだけ出るんだからその差で面食らって打ちにくいかも」


 誠の球を受けることに慣れてきたアメリアはそう言って受けた球を誠に投げ返した。


「じゃあ次は久しぶりに……フォークを」


 覚悟を決めたかのようにそう言うと、誠は静かに大きく振りかぶった。


 ゆっくりとした誠独特のモーションから投げられた球は、ストレートとほとんど変わらぬ速度でホームベース上まで進むと縦のスライダーを超える落差で落ちてワンバウンドした。さすがのその落差にキャッチングに定評のあるアメリアも捕り損ねて身体で球を止める。


「確かにこれはうちの急造キャッチャー相手ではパスボール連発になるな」


「使えねえのかよ……この球があれば菱川重工豊川に一泡吹かせることもできるのに」


 急造キャッチャーしかいないこのチームで再び封印されることになるフォークを見たカウラの言葉に、監督のかなめは悔しそうに唇を噛んだ。



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