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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第二十章 誠のピッチング

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第84話 肩慣らしのウォーミングアップ

「やっぱ、安くあげようとすると駄目か。来年は菰田に東都まで行ってもらってちゃんとしたの借りるわ。打撃練習は取りやめだ!こいつを運び出すまでそれぞれキャッチボール!特に神前は島田と組んでみっちりとキャッチボールだ!神前!ちゃんと肩作っとけよ!」


 さすがのかなめも菰田の事故でピッチングマシンをあきらめてそう言った。部員達は一連の騒動がまるで想像通りだったというように平然とグラウンドに散らばってキャッチボールを始めた。


「島田先輩、よろしくお願いします!」


 誠は前エースである島田に向って敬意をこめてそう頭を下げた。


「新旧エースの投げ合いか。こっちこそよろしくな」


 誠はサラとじゃれあっていた島田に声をかけるとさすがの島田も真面目な顔をしてそう返してくる。


 二人は町営のグラウンドとは思えない両翼122メートルの広い外野を球を投げあいながら進んだ。


「しかし、そんなに違うのか?硬式と軟式って……肩壊したことあんだろ?大丈夫か?」


 キャッチボールを始めると野球は軟式しかしたことが無い島田が硬式野球の経験の長い誠に尋ねてきた。


「そうですね。球が軟式の方が軽いですから。硬式は今投げたら120キロも出ないと思いますよ」


 誠は久しぶりに握るボールの感触を楽しみながら島田に向けて軽く球を投げた。


「だって芸能人が始球式の時120キロ出たら大騒ぎだろ……それなりに凄いんじゃねえの?」


 次第に間隔を広げながら島田はそう言った。


「そりゃあいつもは練習してない人がそのスピード出せたら凄いですけど、僕は本式で野球の練習してたんですから。非公式ですけど都の大会では155キロ出てたみたいですよ、僕」


 ここは先輩の意地を見せようと鋭い球を投げてくる島田に誠はそう返事をした。


「155キロ?高校生で?それこそプロ並みじゃねえか!スカウトとか来ただろ」


 島田は驚いた様子を浮かべて誠の投げた球を器用に捕球する。


「でも、高校生でも全国大会出るようなバッターには球速だけじゃ通用しませんよ。僕が負けた対戦相手のピッチャーも同じくらいの球速出してましたし……彼は今は社会人で野球を続けてるんじゃ無かったかな?」


 投げ込む球の力が入っているのか、島田の投げるボールに誠のグラブをした右手が痛んだ。


「じゃあ、もっと距離取るか。俺、外野だから。肩を壊したオメエでも軟球なら遠投もできるんだろ?」


 挑発するような調子で島田が言ってくる。


「はい、いい感じで温まってきましたから大丈夫ですよ」


 そう言うと誠はそのままの格好で後ろに走り出した。


「そんなもんで良い!じゃあ行くぞ!」


 ライトとレフトの守備位置に陣取った二人は遠投を開始した。最初は山なりでゆっくりしたペースで行われた遠投合戦だが次第に熱を帯びて鋭い球が飛び交うようになる。


「なんだ、神前の肩は壊れてるんじゃねえのか?」


 キャッチボールをする部員達を見回ってきたかなめはそう言って誠の隣に立った。


「軟式だからできるんですよ。それより肩の筋肉の損傷よりメンタルの問題だって高校の時に受診したスポーツ医の先生は言ってました」


 誠は大きく振りかぶりながら島田へと水平で届く速い球を連続で投げた。


「メンタルの問題か……それはオメエの場合仕事でもそうだな。敵を撃つときに躊躇(ちゅうちょ)する。その癖、どうにかした方が良いぞ」


 強気が暴走するかなめにそう言われると誠はムッとした表情を浮かべた。


「言われなくても分かってます!」


 見守るかなめを横目に見ながら誠と島田は新旧エースらしい鋭い球を投げあった。



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