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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第十五章 『女大公殿下』の食事会

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第68話 誠の恋愛事情に興味を持つ女達

「でもなあ……神前よ」


 手つきは上品だが、かなめの口調は相変わらずぞんざいだった。


「少しは自分の話をした方が良いな……それがマナーと言うものだ。西園寺は話した。私も話した。アメリアは……くだらないことしか言わないから聞く必要はない」


 カウラは自分が8年しか生きていない事実を知られるのはあまり快く思っていないらしいことは誠にも彼女の口調で分かった。


「カウラちゃんひどいこと言うわね!アタシにだって秘密くらいたくさんあるのよ」


「くだらないことだろ?聞きたくない」


 カウラはそう言いながらエメラルドグリーンの瞳で誠を見つめた。


「僕ですか?僕は……」


 誠は戸惑いながら三人をまねて不器用にさじを容器に向けた。


「誠ちゃんって……今、彼女いるの?」


 突然のアメリアの問いに誠は思わず吹き出しかけた。


「いませんよ!僕は……その……胃腸が弱いんで……デートとか行くとすぐ吐くし……緊張すると……また吐くし……」


 好奇の視線を浴びせてくるアメリアに耐えながら誠はなんとかアイスクリームを口に運んだ。


「その程度で付き合いをやめるような女なら付き合わない方が良いな……私なら耐えられる」


 突如、カウラが自信をもってそう言ってのけた。


「本当?……まあ、確かに誠ちゃんが吐くたびにかたずけてるのカウラちゃんだもんね……もしかして変態?」


「違う!小隊長として、先輩として世話をしているんだ!」


 アメリアの冷やかしにカウラが顔を朱に染めてそう抗議した。


「まあ……猫とかよく毛玉を吐くじゃん。そんな感じかな……」


 かなめの言葉に誠はなんだか複雑な心境でアイスクリームのさじを口にくわえた。


「僕は猫扱いですか……」


 猫扱いされた誠は苦笑いを浮かべてそう言った。


「おいしかったわねえ……まあ、誠ちゃんはあんまり乗り気じゃないみたいだけど」


 アメリアはそう言ってかなめに目をやった。テーブルの上のデザートのケーキもいつの間にか消えていた。誠は一人取り残されたようにその最後のひとかけらを口に運ぶ。


「まあ……しゃあねえだろうな。何事も経験だ」


 かなめがどうやら誠の表情が気に入らないことは分かった。そのはけ口がどこに向かうか、それは考えるまでも無く自分だろう。覚悟を決めて顔を上げた誠だったが、その視線の正面にはいつの間にか島田達が立っていた。


 どこか借りてきた猫のような表情を浮かべる島田達。黄色いワンピース姿のひよこは緊張したような表情を浮かべていた。


「うーん……俺さあ、根が庶民だからよくわかんねえけど……いいんじゃねえかな……旨かったし……それとフォークとナイフで食うの……俺とひよこは慣れてねえからめんどくさくて……」 


 頭を掻きながら島田はそう言ってサラとパーラに目をやった。


「確かにおいしかったわねえ……正人は『なんで肉じゃねえんだよ!』とか言ってたけど」


 サラは島田が料理に文句をつけていたことをこの晩餐会の主催者であるかなめに暴露した。かなめの冷たい視線が島田に向けられる。


「馬鹿!魚は魚なりの旨さがある……ってことにしておいてもらえます?西園寺さん」


 島田もかなめを怒らせるとろくなことにならないことは経験上知っているのでなんとかその場を切り抜けようと、そう心にもないことを言った。


「そうですね!釣りでよく見るお魚がこんなに美味しくなるなんて……素敵です!釣り部の人達にも作り方教えてあげたいですね!」


 ひよこのそんな微笑みが場の雰囲気を一気に和ませ島田を安堵させた。さすがに腕っぷしには自信がありそうな島田でも軍用サイボーグを怒らすほど無謀では無かった。


「まあ、島田君には他の連中みたいにバーベキューの方がお似合いよね」


 パーラはさらりとそう言って笑った。パーラはと言えばそれなりにこの雰囲気を楽しんでいたようで、いつもにはない笑顔を浮かべていた。


「けどな……ここではアタシはこのコースを食わねえといけねえんだよ……支配人が『何か粗相でもあったんですか!』とか聞いてくるから」


 ここのオーナーが頭が上がらない領主であるかなめにもそれなりに悩みはある。その事実を知って誠は少しかなめに同情した。


「それならかなめちゃんだけが食べればいいじゃないの……私も宴会場の方がリラックスできていいわよ」


 アメリアにまでそう言われてかなめは少しばかり不機嫌そうな表情を浮かべた。


「仕方が無いな……神前と私が付き合う」


「カウラちゃん無理しちゃって……それに誠ちゃんまで引っ張り込むこと無いじゃないの」


 気を利かせたカウラの言葉に誠は静かに同意するように頷いた。


「はいはい、だから貴族なんぞに生まれると面倒なんだ」


 かなめはそう言うと苦笑いを浮かべて先頭に立って桔梗の間を後にした。




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