表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第十四章 大浴場での『出会い』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/201

第53話 会いたくない出会い

「これは……かなーり損をしたような……遼州人はモテない宇宙人なんだから。こういうチャンスは滅多にあるもんじゃないだろうし……いや、アメリアさんが噛んでたってことはどうせろくなことにならないんだから……」


 誠は一童貞として女性の裸を見る機会を喪失したことに、後悔の念を抱きながらそうつぶやいた。廊下から外の窓を見れば沈みつつある夕暮れが見える。


『確かに危なかったかもしれないな。今回の旅行には菰田さん達『ヒンヌー教徒』の人達がついてきている。カウラさんと一緒にお風呂に入ったなんてバレたら……最悪殺されるよな』 


 常に痛い視線を投げてくるカウラを神とあがめる三白眼の野郎共を思い出しながら自室に入った。


 島田も菰田もはまだ帰ってきてはいなかった。誠はアメリアの言った大浴場に行こうと着替えとタオルを持つとそのまま廊下を出た。


 知り合いがそれぞれ仲間と一緒にいる事実を知るとどうにも寂しい。


『やはり断らない方が……どうせこんな機会滅多にないんだから……いや、しかし命は欲しいし、命ほどじゃなくてもこれ以上トラブルに巻き込まれるのは沢山だ』


 誠は後悔の念に思考を支配されながらエレベータで一階のロビーに降りる。


「神前曹長!」 


 ロビーで手を振るのは司法局実働部隊技術部の秘蔵っ子で技術部整備班で唯一の未成年者の西高志兵長だった。後ろでそれを小突いているのは、菰田主計曹長だった。いつものことながら威圧するような視線を誠に浴びせてくる。それぞれの手には手ぬぐいと着替えが握られていた。


「もう行ってきたんですか?露天風呂」 


 誠の言葉に西がニヤニヤ笑いながらうなづく。


「はい、行ってきました。僕は産まれも育ちも甲武の軌道上の宇宙コロニーなんで温泉なんて滅多に来れないんで本当に感動しました!ありがとうございます」


 宇宙の国である甲武国の平民出身の西にとっては温泉など高嶺の花どころか、本来であれば一生体験することのできない経験だったに違いない。誠は西と同じくその『もんじゃ焼き製造マシン』体質から旅行とは無縁だった自分の境遇を思うと先ほどまでの後悔の念を忘れて西と同じくうれしい気分になれた。


「いやいや西君。お礼を言うのは僕じゃないでしょ。西園寺さんに言ってよ。このホテルのオーナーの主君は西園寺さんなんだから」


 本当にうれしそうな西を見ながら誠はそう言って笑顔を浮かべて見せた。


「ここら辺は相当深く掘らなきゃ温泉なんて出ないのに……結構いい風呂だったぞ」 


 先ほどのかなめの貴賓室でのやり取りをまるで知らない菰田がそう言って笑っていた。おそらく先ほどまで誠がカウラと一緒にいたなどと言う事実を菰田が知ったら殺されるに違いない。誠はそう思うと背筋が寒くなるのを感じた。


「そう言えば島田さんは?まだサラさんと一緒に『青春ごっこ』してるのかな?」 


 誠は西にそう尋ねてみた。もう夕暮れも沈みかけて二人のキスもしない甘酸っぱい恋愛を楽しむ『青春ごっこ』も終了している時間である。ロビーに帰ってきていてもおかしくない。


「僕は見てませんよ。それに野暮なこと言っちゃだめですよ!きっとまだグリファン少尉と夕陽を見て『青春ごっこ』を愉しんでるんですよ」 


 西はそう言うとにんまりと笑う。男子下士官寮の恋愛禁止の鉄の掟の中にあって寮長の島田はその寮長特権でサラとのラブラブ生活をエンジョイしていた。


「餓鬼の癖につまらんことを言うな!それにあんなものは子供の遊びだ。なんでも二人はキスさえしたことが無いらしいぞ。『硬派』も考え物だな!全く馬鹿馬鹿しい」 


 そう言って菰田は天敵の島田を笑い飛ばした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ