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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第四十六章 新しい日々

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第198話 いつもの『特殊な部隊』

 車は工場の中を順調に進み、部隊の警備担当者のいるゲートへとたどり着いた。


「意外に早く着いたんじゃないの?」 


 カウラの車を見つけて振り返った警備の隊員が形ばかりの敬礼をしてくる。かなめは誠の身分証を受け取ると自分のものと一緒にカウラに渡した。


「すいません……身分証を……」


 その小柄な隊員がカウラのいる運転席をのぞき込んだ。


「おい!顔見てわからねえのか?このぼんくら!」


 最後に配属された誠はともかく、とにかくその問題行動で目立ちまくっているかなめ達の顔を覚えていないと言う隊員は一人もいなかった。


「すいません。この前の正体不明の敵に神前が襲われた一件で警備はしっかりとの本部からのお達しがあって……。手間をとらせてすいません。一応私達も公務員なんで上の指示が出たら……すいません」 


 カウラはそばかすの隊員に四人の身分証を詰め所の部下に渡す。彼が言うことが海で出たアロハシャツの襲撃者のことだと思い出して誠は苦笑いを浮かべた。


「しかし、大変よね、技術部も。全員チェックするようになったの?」 


 アメリアが身分証を取り出しながらそう言った。


「まあ……。同盟機構の政治屋さん達に一応姿勢だけは見せとかないと……菰田さんがうるさいんで」 


 アメリアの問いに警備任務中の技術部員はそう答えた。ゲートが開き、そのまま車が滑り込む。カウラはそのまま隊員の車が並ぶ駐車場の奥に進み停車した。


「もう来てるんだ、茜ちゃん……几帳面ねえ……親父さんとは大違い。ああ、あそこに停めてあるおんぼろ自転車。隊長も来てるんだ。まあ、あの人はお金が無いから家で寝るくらいしかすること無いから仕事してるんでしょうけど」 


 助手席から降りたアメリアが隣に止まっている白い高級セダンを見ながらそう言った。


 アメリアが言うようにハンガーの奥のバイクが並んだ駐輪場から少し外れた場所に古ぼけた自転車が放置されていた。


「あれ、ゴミじゃなかったんですね」


 誠はいつもおいてある古ぼけた自転車を整備班の誰かが使い古して放置しているものと思い込んでいた。


「あれが隊長の通勤の足。『駄目人間』にはもったいないくらいだわ。歩けばいいのよ、歩けば」


 アメリアはそう残酷に言いのけた。




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