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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第四十三章 男子寮最後の日

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182/201

第182話 相容れない二人

「なんでオメエがいるんだよ。カウラ」 


 かなめは喫煙所のソファーに身を任せる。そして一言そう吐き捨てるように言うとタバコに火を点す。そのまま大きく息を飲み込み、天井に向けて煙を吐いた。


「私がいるとまずいことでもあるのか?」 


 そんなかなめの態度に苛立ちながらカウラがかなめの前に立った。


「ああ、目障りだね」 


 そう言いながらまたタバコを口にくわえる。明らかに不機嫌になるカウラに誠はおどおどしながらどうすれば間を取り持てるか考えていた。


「お二人とも……仲良く……できませんか?」


 誠の間の抜けたとりなしに二人は毒気を失ったようにうつむいた。


「突っかかってくるのは西園寺の方だ……私は意識などしていない」


「どうだかね……純情ぶって腹の底では何考えてんだか」


 カウラの強がったような言葉にかなめが即座にジャブを打ち込む。再び場は一触即発の状況に陥った。


「お二人とも……同じパイロットでしょ。シミュレータの訓練の時にコンビネーションが大事だっていつもクバルカ中佐が言ってるじゃないですか。仲良くするのも仕事のうちです」


 誠はどうすればこの場の緊張から逃れることができるか考えながら二人の表情を見比べていた。


「こいつと仲良く?できない相談だね。アタシは何を考えているか分からねえ人間は嫌いだ。カウラは無表情で何を考えているのかさっぱりわからねえ。だから嫌いだ」


 無茶苦茶な論理をかなめは展開する。誠も嵯峨のような言行不一致型の何を考えているか分からないタイプの人間は苦手だったが、不器用で感情表現が苦手なだけのカウラをそのことで嫌うかなめには少し腹を立てていた。


「西園寺さん。そんな言い方は無いんじゃないですか?カウラさんは……」


 誠はこの後、嵯峨親子の事を話題に出してカウラをかばおうと思っていたのだが、そんな誠の肩にカウラは手を当てそれ以上しゃべらないようにと合図した。


「私は考えたことはすべて口に出しているつもりだが?もしそれが分からないなら西園寺には理解力と言うものが欠けているだけだ」


 冷酷にカウラがそう言うのを聞いて誠は自分が自分の言葉でカウラをかばうべきだったと後悔した。


「理解力が欠けている?なんでそんなことが言えるんだ?アタシの脳はネットとつながってる。必要な知識はすべてネットから引用できる。だから理解力に欠けているなんてことは有り得ねえ!理解力に欠けてるのはオメエの方なんじゃねえか?カウラよ」


 カウラの余計な一言がかなめの瞬間核融合炉の感情に火をつけていた。


「ネットにあることがすべて真実とは限らない。ネットとつながっているから理解力に優れているなんて言うのは貴様の幻想だ」


 相変わらず無表情のままカウラはそう言ってかなめの言葉の間違っているところを冷静に指摘した。


「要するにアタシと喧嘩がしたいんだろ?オメエは。良い度胸じゃねえか。買おうじゃねえか」


「そんな事は言っていない。私は事実を指摘しているだけで……」


 いつまで続くか分からない二人の口喧嘩を聞くに堪えなかった誠が二人の間に入った。


「二人とも、仕事が有るんですよ!作業に戻りましょうよ」


 誠はとりあえず穏便に場を和ませようと優しい調子でそう言った。


「神前が言うなら仕方がない」


「まあ、アタシはあらかた荷物は運び終えたからな。アメリアの手伝いでもしてくるか」


 カウラは自分の部屋に、かなめは大荷物の搬送が続いているアメリアの漫画の入った段ボールを積んだトラックに向って歩き出した。


 なんとか場を収めることができたことに誠は安堵のため息をついた。



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