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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第三十九章 女大公殿下の住まいへの道

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第161話 ご機嫌なかなめと物持ちの良いアメリア

「みんな!今日はよくやってくれた!今晩は月島屋で引っ越しの前祝だ!」


 食堂でそうめんを食べ終えた掃除に関わった一同に向かって、機嫌の良いかなめはそう叫んだ。


「それはそれは、毎度ごひいきに」


 月島屋の女将、家村春子は食器をかたずけながらほほ笑んだ。


「そう言えば荷物とかは良いんですか?昨日の今日の話でしょ?必要最低限の荷物くらい用意しとかないと困りますよ」 


 誠は食べ終わったというように番茶を飲んでいるかなめに尋ねた。


「まあ、アタシはベッドと布団くらいかな、持ってくるのは。それより、こいつはどうするんだ?」 


 かなめが指差した先、そうめんをすすっているアメリアがいた。


「まあ、一度には無理っぽいし、さっきかなめちゃんが言ったようにトランクルームとか借りるつもりだから。テレビがらみの一式と漫画くらいかなあ、とりあえず持ってこなきゃならないのは」 


 軽くそう言うアメリアだが、アメリアの所蔵する漫画の量の多さは誰もが知るところだった。


「おい、あの量の漫画を運ぶ気か?いくらここがコンクリ造りの建物でも床抜けるぞ」


 冷やかすかなめだがアメリアは表情を変えずに言葉を続ける。 


「私は漫画が無いと寝れないのよ。それに全部持ってくるつもりも無いし。安心して、本棚一つくらいあれば平気だから」 


 そう言うとアメリアはめんつゆを飲み干した。


「ご馳走様。ちょっとパーラ、コーラまだ?」 


 黙ってパーラがアメリアにコーラを渡す。アメリアは何も言わずに受け取ると、一息でコーラを飲み干し、空いたグラスをパーラに向ける。


「あのね、アメリア。私まだ食べてないんだけど」 


 恨みがましい目でパーラはアメリアを見つめた。


「大丈夫よ、そうめんならまだあるから」 


 箸を置く春子の優雅な姿を見とれていた誠だったが、わき腹をかなめに小突かれて我に返った。


「俺はもう良いや。パーラさんもっと食べてくださいよ」 


 オレンジジュースを飲みながら島田も箸を置いた。


「そうね、あのアメリアの部屋を片付けに行くんだものね。それなりの覚悟と体力が必要だわ」 


 サラはそう言うとニコニコしながら急いで麺をすすっているパーラを眺める。


「なによその言い方。まるでアタシの部屋が汚いみたいじゃないの!」 


 誰もが思ったことは家事をまるでしないかなめの部屋よりはアメリアの部屋の方がきれいだろうと言うことくらいだった。


「汚いのは部屋じゃなくてオメエの頭の中だもんな」 


 何も言わなければ自分が標的にされると察したのか、かなめはそう言ってアメリアを冷やかした。


「なによ!掃除一つまともにできない人に言われたくないわよ!」


「なんだよやるか!」


 ここですぐ喧嘩になるところがアメリアとかなめらしいと誠は半分呆れながらそう思っていた。



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