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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第三十章 ひと夏の経験を終えて

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125/201

第125話 誠の女性の趣味の話

「ふうん、そう。かなめと誠君がマブでラブラブねえ」 


「まあ仕方ないんではないか?神前は胸が大きい女が好きなようだからな」 


 誠はかなめの腕からすり抜け、振り向いた。そこにはアメリアとカウラが腕組みをして立っている。


「おお、いたのか。聞かれちまったら仕方がねえな。そう言うわけだ。諦めろ、カウラ。それとおばさんにも興味ないみたいだから。アメリアも駄目だな」 


「西園寺さん!」 


 かなめはサングラスを外してアメリアとカウラをにらみつける。誠は半泣きの状態でおろおろとしていた。漂う殺気に誠は少しずつ後ずさりする。一ヶ月間、彼女達の部下をやってきたのは伊達ではない。


「どうされましたの?誠さん」 


 不思議そうな視線が茜から誠に注がれている。


「おい、神前!何とか言えよ!」 


 誠のシャツの襟首をつかんでかなめが迫る。


「力で脅すなんて下品ね」 


「西園寺の行動が短絡的なのはいつものことだ」 


 かなめを責めているはずの言葉だが、アメリアとカウラの視線は冷や汗を拭っている誠に向けられている。茜は落ち着いた表情で誠の肩に手を当てる。


「お父様がおっしゃっていた通りですわね。あの誠さんがモテモテだって……」 


「こいつがモテモテ?ちげえよ!ちょうどいいおもちゃなだけ!」 


 そう言うとかなめは誠に荷物を投げつける。


「茜さん。席は用意してあるから、誠君は補助席ね」 


「クラウゼ少佐、お気を使わせてしまったみたいで」


 茜はそう言うと歩き始めたアメリアとカウラの後ろに続いた。


「それ持ってもっときびきび動け!行くぞ神前」 


 そう言うとかなめ達は誠を置いてバスに向かって早足で歩き出した。足元に転がるかなめとアメリアのバッグが置き去りにされている。


「まったく、いつもこうだ」 


 そう愚痴りながら誠は二人の分の荷物も一緒に担いで駐車場の一番奥に止めてあるバスへ急いだ。



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