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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第二十五章 海に来たからには泳ぐ

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第104話 泳げない二人

「かなめちゃんは身体が身体だから海に沈むから泳げないのは知ってるけど、神前君はどうなの?泳ぎは」 


 アメリアが肩にかけていたタオルをパラソルの下の荷物の上に置きながら言った。誠の額に油の汗が浮かぶ。


「まあ……どうなんでしょうねえ……」 


 誠の顔が引きつる。カウラがその煮え切らない語尾に惹かれるようにして誠を見つめる。


「泳げないのね」 


「情けない」 


 アメリアとカウラの言葉。二人がつぶやく言葉に、誠はがっくりと頭をたれる。


「気が合うじゃないか、誠。ピーマンが嫌いで泳げない。やっぱり時代は金槌だな」 


「自慢になることか?任務では海上からの侵攻という作戦が展開……」


 説教を始めようとするカウラをアメリアがなんとか押しとどめる。 


「カウラちゃんそのくらいにして、じゃあ一緒に教えてあげましょうよ」 


 アメリアはいいことを思いついたとでも言うように手を叩いた。 


「アメリア……アタシはそもそも水に浮かないんだけど……」 


 口答えするかなめをアメリアが無理やり引っ張っていく。


「じゃあ私がかなめちゃんに教えてあげるから……面白そうだし」


「人をおもちゃにしてそんなに楽しいか?え?」


 明らかに不服そうにかなめはそう言った。


「じゃあ私が神前に教えよう」 


「カウラ……人の話聞けよ」 


 かなめがなんとか逃げようとするが良いおもちゃが見つかったアメリアの聞くところでは無かった。


「かなめちゃん、いい物があるのよ」 


 そう言うとアメリアは小夏が残していった浮き輪をかなめにかぶせる。かなめの額から湯気でも出そうな雰囲気を醸し出す。誠はすぐにでも逃げ出したい衝動に駆られていた。


「おい、アメリア。やっぱ埋める!」 


 逃げ出すアメリアに立ち上がろうとしたかなめだが、砂に足を取られてそのまま顔面から砂浜に突っ込む。


「あら?砂にも潜っちゃうのかしら?」 


「このアマ!」 


 とぼけた顔のアメリアを追ってかなめが走り出した。


「あいつは放っておこう。行くぞ神前」 


 そういつもの通り淡々と言うと、カウラは誠を連れて海に向かった。



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