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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第二十四章 楽しい昼食

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第101話 誠とかなめとピーマンと

「いらっしゃい!いいところに来たわね!」 


 紫色の夏向けのワンピースを着た家村春子が誠達を迎えた。


「肉あるか?肉!」 


 いつも通りの姿に戻ったかなめは、すばやくテーブルから箸をつかんで、すぐにアメリアが焼いている牛肉に向かって突進する。 


「みっともないわよ、かなめちゃん。誠ちゃん!さっき技術部の男子が作った焼きそば出来てるから……食べたら?」 


 アメリアにそう言われてテーブルの上の紙皿を取ると奥の鉄板の上で焦げないように脇に焼きそばを移している菰田の隣に立った。


「どんどん食べてくださいねー、材料は一杯買ってあるんで」


 先ほどまで失態ばかり見せてきた菰田が得意げにかなめに向けてそう言った。


「結構な量買い込んだじゃないか……今回昼のバーベキューの予算はそんな量買えるほどなかったはずだぞ。オメエは金が絡むと役に立つんだな」


 かなめは菰田から焼きそばの乗った皿と箸を受け取りながらそう言った。


「まあそれが仕事なんで!それに、野球部のマネージャーを長く務めさせていただいてますから……試合の度に用意する飲み物とかも安く手に入るルート、見つけたんですよ」


 菰田にツッコミを入れるとかなめは誠の皿に焼きそばを盛り分ける。


「ピーマンが有るじゃねえか……菰田、さっき言ったのは取り消し!オメエはマネージャー失格」 


 そう言うとかなめは自分の皿からピーマンだけをより分けて誠の皿に乗せた。


「好き嫌い言うな!体に悪いぞ!」


 串焼きの肉にタレを塗りながら遠火であぶっているカウラがそう言った。


「僕もピーマンはちょっと……」


 誠はそう言って困ったような表情で意見してきたカウラに目を向けた。


「神前……お前、ピーマン苦手なのか?」


 焼きそばを啜りながらかなめはそう言って笑みを浮かべる。


「基本的に嫌いなものはあまりないんですけど、ピーマンはあの苦みが苦手で」


 仕方なくかなめが乗せてきたピーマンを無理して口に運びながら誠はそう言った。 


「そうか!テメエもピーマンは嫌いか!気が合うじゃねえか。ピーマン好きな奴にろくな奴はいねえからな!」 


 かなめの冗談がカウラを刺激する。


「西園寺。それはピーマンが好物の私への当てつけか?」 


 カウラのその言葉に、かなめがいつもの挑発的な視線を飛ばす。


「誠ちゃん!お肉持ってきたわよ。食べる?」 


「はあ、どうも」 


 アメリアが当てつけのように山盛りの肉を持ってきた。誠はさっと目配りをする。その様子をかなめが当然のようににらみつけている。カウラは寒々とした視線を投げてくる。 


「島田君達、ちゃんと荷物番してればいいけど。彼にはさぼり癖があるから」 


 そんな状況を変えてくれたアメリアの一言に誠は心の奥で感謝した。


「ああ、アイツ等ならちゃんと荷物番してるだろ。釘は刺しといた」 


 アメリアから皿を奪い取ったかなめが肉を食べながらそう言った。


「小食のサラはあの程度で良いけど、大食漢の島田君があの程度の量でお腹一杯になるわけないじゃない。誠さんは結構食べるから、肉が足りなくなっちゃうわよ。誰か代わってあげられないの?もう用意できてるんだから」 


 春子がそう言うと、きれいにトレーの上に食材を並べた物を人数分作っていた。


「じゃあアタシが代わりに番して来るよ!」  


 母親の言葉を聞いて小夏が元気に駆けていく。


「気楽だねえ、あいつは。所詮は中学生。ガキってことか」 


 かなめはビールの缶を開けた。かなめは元々泳ぐ予定がないのでかなめの分だけビールが用意されていた。


「それが子供の凄いところよ、ああこれおいしいわ」 


 焼きそばをつまみ食いをしながらアメリアがそう言った。


「カウラ、その肉の塊よこせ!」 


 突然のかなめの言葉にカウラはめんどくさそうに振り向く。


「全部食べるんじゃないぞ」 


 かなめの口元の下品な笑みを見て、カウラはタレをつけながら焼いている肉の塊を遠ざける。


「呼ばれました」 


「アメリア!ごめんねー。ちょっといろいろあって」 


 島田が仏頂面を浮かべて浮かれた調子のサラに続いてやって来る。誠が想像するところ、いい雰囲気まで行ったところで小夏が邪魔に入ってぶち壊しにされたのが気に食わないらしい。


「島田さん達、こっちにとってあるわよ」


 春子が鉄板の端にある肉と野菜の山を島田達に勧める。 


「さあ食え食え!」


 いかにも自分が作ったかのようにかなめが笑顔で肉を二人に勧めた。


「自分は何もしなかったくせに……」


「カウラ。何か言ったか?」


「いや別に……」


 いつも部隊で繰り広げられているかなめとカウラのやり取りがここでも繰り広げられるのを見て誠はただ苦笑いを浮かべるだけだった。


「食ったな……ちょっと餓鬼と代わって来るわ……神前も来い」


「僕もですか?僕はもう少し食べたいんですけど」


 一通りのメニューを食べ終えたかなめがそう言って誠の肩を叩いた。午前中に激しい運動をしただけあってまだ空腹を満たしきれていない誠は勝手なかなめに文句を言いたかったが、かなめの言うことには逆らえない奴隷根性が身についているので黙って従った。


「そうね、小夏ちゃんあんまり食べてなかったものね。でも誠ちゃんまだ食べたそうじゃないの……誰か他に信用のおけそうな人でかなめちゃんを監視できる人立候補して!」


 コンロの脇でトウモロコシを食べていたアメリアがそう言うものの、かなめの機嫌を損ねると何をされるか分からないので誰一人手を挙げなかった。


その様子を見て満足そうに笑うとかなめは強引に誠の腕を引っ張った。


「分かりましたよ!行きます!」


 誠はそう言ってかなめについて行った。


「まだ食べたりないのに……」


「アタシは十分食った。オメエもあれだけ食えば餓死はしねえ」


 無茶な論理を振りかざすかなめには何を言っても無駄なのは誠も分かっていた。


 そのまま二人は堤防の階段を下りて浜辺に降り立つ。


「外道!遅いぞ!それに神前の兄貴は食い足りないって顔してるぞ。全く人の事を考えない外道だなお前は」 


 小夏はそう言って不機嫌そうに立ち上がる。


「交代だ。とっとと食って来い!」 


「わかったよ。神前の兄貴、兄貴の分の肉は残しておきますんで」 


 すばやく立ち上がって敬礼すると、小夏はそのままアメリア達のところへと急いだ。




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