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【コミカライズ】たとえこの愛が偽りだとしても  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売


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閑話

いつもお読みいただきありがとうございます!

側近たちによるボーイズトーク?笑です。

好評だったらまたこんな感じのお話を書きますね!

クリストファーが帰宅の途についたのを見て、他の側近たちは目配せしあった。アートは先に帰ったのでこの中にはいない。

ボスのエリアスはメイファアウラと親交を深めているのでこの部屋にはいない。


「よし。クリストファーが帰った。あれを開けよう」

「あいつ、結構飲むもんな」

「たまにはこういうことがないとな。やってられない」


ある者は引き出しから隠していた酒を取り出し、ある者は人数分のグラスを用意し、またある者はチーズを器用に切り分ける。


「何に乾杯する?」

「残業に?」

「冗談やめてくれ」

「じゃあメイファアウラ王女殿下に?」

「いや、あの人キョーレツだよな!」

「姉を池に突き落としたんだろ!?」

「何よりもびっくりするのはあの話し方だろ」


乾杯はどこへやら。グラスを手にした者から酒を飲み始めている。


「クリストファーは結構飲むから分かるんだけどさ、なんでアートもいない日に酒盛りするんだ? あいつあまり飲まないだろう?」

「分かってないなぁ、お前。アートは美人でお金持ちな婚約者がいるから俺たちの悩みなんて分かんないんだよ」

「そーだなー。フライア嬢だよな~、いいなぁ~」

「気が強そうだけど美人だもんなー。侯爵家で安泰で羨ましい」

「あー、俺も可愛い婚約者欲しいなぁ」


あっという間に瓶は空になった。

今度は誰かがクッキーを持ってくる。


「これ、エリーゼ様がくれたやつ。クリストファーに渡してくれって言われたけど、忘れてたから食べちまおう」

「あー、クリストファーの非常食な」

「それにしても王女殿下いらっしゃっても全然忙しさが落ち着かないから、エリーゼ様の言った通りだったな~」

「クッキーいただきます。あ、うまぁ」

「えー、俺も食べる。ってかエリーゼ様のクッキー食べてアシェル殿下に殺されないよな?」

「は、なんで?」

「え、ヘビの毒とかで?」

「ありえる」

「いや、アシェル殿下は嫉妬しないだろ~」

「なんだろう、これ。ジンジャークッキー? 腹に沁みる~」

「なんか分からんけど、うまい。パサパサしてないし」

「アシェル殿下って怒ったとこも見たことないもんな~」

「バター多めなのかな?」

「分からん。あ、お前食いすぎだろ」


クッキーの感想とアシェルに対するイメージが入り混じる。ちなみにアシェルはパサパサでもなく、バター多めでもない。


「でも婚約者いてもあの王女殿下みたいだったら俺、無理だ。きっと絶対尻に敷かれる」

「きっと絶対ってどっちだよ。アートだって敷かれてるだろ」

「でも、エリアス殿下のお相手ならあの王女殿下しかいない」

「確かに。何ならクリストファーもきっと尻に敷かれる」

「こう考えるとエリーゼ様みたいな人がいいなぁ」

「おい、馬鹿。アシェル殿下に聞かれたらどうすんだよ! あの人どこから現れるか分からないんだ」

「大丈夫だ、カエルやトカゲやらがいないところにあの人は出没しない」

「それもそうか」

「草むらからいきなり現れたり、窓から外に出ようとしたりしてるもんなぁ。俺こないだびっくりして書類ばらまいちまった。一緒に拾ってくれたけど」


アシェルの存在、エリアスの側近たちの間では若干ホラーでミステリー。


「それにしてもエリーゼ様、よくあの殿下と付き合っていけるよな」

「アシェル殿下ってカエルの話しかしてないんじゃないか?」

「よく二人で池の周りを散歩してるな」

「俺、こないだアシェル殿下がエリーゼ様の髪を楽しそうに三つ編みしてるの見た」

「あ、それは俺も見た。あとは手つないでた。憧れの恋人つなぎってやつだ」

「健全! めっちゃ健全!」

「純愛って感じ」

「いいよな、いやらしくなくって」

「二人でお茶会の時はよく食べさせ合ってるよな」

「なんでお前そんな見てんの?」

「エリアス殿下に報告したら嬉しそうにしてるからな」

「ふっふっふ。それなら、俺はこないだキスしてるとこ見たぞ!」

「マジ!? クリストファーに言うなよ!」

「あー、妹のラブシーンの話は聞きたかないよな」

「クリストファーのシスコン度合いがわかんないもんな」

「どっちからキスしてたんだ?」

「うわ、それ聞くのかよ!」

「アシェル殿下からしてた」

「え、キスしてたってことはアシェル殿下って男色じゃないの?」


根強いアシェル男色疑惑。


「さすがに……男色はもうないんじゃないか?」

「相手ってゼインか?」

「ないだろ」

「うん、ない。ないない。多分一部の女だけだよな、広めようとしてるの」

「もうさ、アシェル殿下とエリーゼ様は一緒にいたらもう熟年夫婦みたいな落ち着きだからさ」

「俺には初々しく見えるぞ? 付き合いたてみたいな」

「穏やか~な感じだもんな」

「いいよな、あの感じ。一緒にいるのが自然!みたいな」

「エリアス殿下と王女殿下はどうなるかな」

「混ぜるな危険!だな」

「取り扱い注意だな、いや爆発?」

「でもあの王女殿下ならまた令嬢たちがうるさくなるんじゃないか? エリアス殿下にふさわしくない!とかって」

「きっと王女殿下にぶったぎられるだろ」

「いや、池に落とされるんだろ」

「うん、安心だな」

「だな」


酒はなくとも話は進む。

適当なところで側近たちは話を切り上げ、各々書類に戻っていった。


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