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頭痛と吐き気がないって素晴らしいですね!
次回はエリーゼに戻ります。
「エリーゼちゃんとスチュアートが接触したって。母上が仕組んだみたい」
エリアスがネコを存分に追いかけまわした後。ゼインから見たら、あまりにネコに嫌われすぎていて筋トレでもしているのかと思ったくらいだ。あれほど、どこのネコにも嫌われるのはもはや才能ではないのか。
影からの報告書を受け取ったエリアスは、予想通りだったのか笑みを浮かべている。
「動くとは思ってたけど、スチュアートを使うとはね」
「スチュアートとはどんなことを?」
先ほどまで眠るカエルの様子をつぶさに観察していたアシェルが、珍しく真面目な返答をしている。やはり婚約者のこととなるといつもと違うのだろうかと、ゼインはちょっとだけ嬉しくて涙ぐんだ。気分はもう身内というか親戚のおじさんである。
「あの騒動の話がメインだね。なんであんなことしたのかとか。普通に話して終わったみたいだよ。スチュアートも軟禁状態で自分と向き合って反省したのかな」
「エリーゼが逆恨みされて危害加えられていないならいいんだけど」
「そこは大丈夫。本当に喋っただけみたい。それに逆恨みしようにもエリーゼちゃんとスチュアート、そんなに接点なかったでしょ。アシェルが会わせないようにしてたし?」
エリアスは意味ありげな視線を送る。ゼインは会わせないように手を回していた一人であるものの、アシェルの成長?にうっかり涙ぐみそうになった。
「エリーゼちゃんも結構強くなってきたんだからそんなに過保護にしなくってもいいんじゃない? そろそろカエルみたいに籠から出して放し飼いにしてみたら~?」
ゼインの涙はエリアスの身も蓋もない例えで引っ込んだ。
「母上の狙いがまだ分からないからね」
「あー……母上がスチュアートのためにやったことなのか、それともエリーゼちゃんに騒動のことを思い出させるためにした嫌がらせが失敗したのか。難しいねぇ。ほんと何がしたいんだろうね、あの人」
「案外、僕と兄上への不満を晴らしてるだけかもしれないし」
「その可能性もあるね。性善説を信じてるわけじゃないけどさ、どうして図々しい人間ってどこまでも図々しいんだろうね。さっきのルルといい、母上といい。母上がやってるのが嫁いびりなら余計にそう思うんだよね。アシェルのこと今更ながら自分の所有物とでも思ってるのかな? スチュアートだけ溺愛してたのに」
「気持ち悪い事言わないでよ」
「嫁いびりならメイメイがやってきたらメイメイのこともいじめるだろうから、分かりやすいな」
「メイメイって誰だっけ?」
「やだなぁ、アシェル。俺の婚約者だよ。愛称だけどさ。名前はメイファアウラ・ワイマークね。本人が長いし呼びにくいからメイメイって呼べって。いい加減覚えてくれないとおにーちゃんは悲しいよ」
ゼインは婚約者の名前を「メイファーラ」だと覚えていたので、すかさず脳内で訂正する。
「あの国では同じ言葉の繰り返しは蔑称じゃなかった? メイメイだとマズイんじゃない?」
「本人の希望だよ。異母兄弟たちにいじめられてそんな風に呼ばれていたけど、うちの国に来て記憶を塗り替えたいんだって」
「そっか」
話を聞いているだけで我の強い婚約者が来そうだとゼインは身震いした。




