あとがき
え~、「World End をもう一度」、完結でございます。ここまで完走できたのは読んで下さった皆様のおかげです。本当にありがとうございました! で、これで終わるのもアレなので、少し作品について語ってみようかと思います。
今作をどこで終わらせるかは、ちょっと悩みました。ラストがなかなか明確には決まらなかったわけです。最終的にはああいう形になったんですが、話の中ではむしろこれから始まりそうな雰囲気なのに、作品としては終わらせるのが、果たして良いのか悪いのか。ただ続けるにしても主人公は裏を知り尽くしているわけで。ここらで切るのがちょうど良いかな、と思った次第です。
今回のコンセプトというかとっかかりというかは、「迷宮をどう現実社会に落とし込むのか」みたいなものでした。異物であるはずのそれを、どうやって社会に受け入れさせるのか。そんなところが出発点、のはずでした。
それがねぇ、なぜかそこへ至るまでのお話の方が圧倒的に長くなっちゃって。いやでも実際そんなモンな気はします。つまり、いきなり世界に迷宮が現われたとして、我々はそれを受け入れるしかないのだとしても、そこに至るまでの過程には我々が知らないとしてもそれなりのストーリーというかナラティブがあるということ。そういうバックグランドをちゃんと書かないと、作品としての説得力がないような気がするのです。
で、今回はそういう部分を作品に織り込んでいきたいなと思って頑張ったわけです。別の言い方をすると、ストーリー展開のなかで設定を明かしていきたかったわけなのです。設定だけ書き連ねてもそれは設定集でしかないわけで。それは物語ではないだろうと思うのです。
ただそれをするためには、ストーリーはストーリーとして成立していなければならないわけです。成立していなければ「コイツ何書いてんの?」って話になりますから。ストーリーとして成立させつつ、徐々に設定を明かしていく。もしくは辻褄を合わせていく。上手くできたかはご覧の通りです、はい。
これはどう関係しているというわけでもないんですが、あるプロの作家さんの話で、「調べたことの八割は捨てる。残った二割で書く。それが小説としての軽さになる。調べたことを全部書こうとすると、読者は資料をドンッと渡された様な感じなってしまうから」というようなことをおっしゃっていて、「なるほどなぁ」と思いました。
当然新月はそのレベルには全然達してはいないわけなんですけど、「小説としての軽さ」という表現は印象に残りましたね。調べたことや設定的なモノを全部出せば良いってわけじゃないんだ、と。まあそういう解釈をしたわけです。もっともそれを作品に活かせているかは別問題なわけですが。
で、話は全く変わるんですけど、上だと迷宮って書いたのに、作中だと迷宮なんですよ。これは最終章のタイトルと関係しているんですけど、オペレーション:ダンジョンだと賢明なる読者の方々にいろいろバレてしまうのではないかと。苦肉の策でラビリンスにしたんですね。だから自分のなかでも書いていてちょっと違和感があったりもしました。
じゃあ章タイトル別のにしろよ、って話なんですが。でもあれ以外に思いつかなかったんですよねぇ。オペレーション:ラビリンス、つまり次元回廊迷宮化計画のことです。これが作品としても肝ですからね。でもまあ、出口があると言う意味では、ラビリンスでも悪くないのかな、と最近は思っています。まあそこにはアリスが待ち構えているワケなんですがw
あと、今回は登場人物が少なかったですね。まあ意図的に少なくしたってのもあるんですけど。主人公があんまり人と関わるタイプじゃなかったってのもあるんですけど、それが良かったのか悪かったのか。ただ世界観が大きいワリにストーリーの広がりが小さかったかなとは思っています。反省点です。
とはいえこの世界観でキャラを多くすると、収拾が付かなくなるって言うのも経験上……。だからこそあくまで主人公中心にやった部分はありますね。それでもこれだけ長くなったんですから、ある意味で英断だったかも。本当に話を書き始めるのは簡単でも、話を収めるのは難しいと思うのです。
キャラで言うと、早瀬紗希。彼女はちょっとかわいそうなキャラだったかな、と思います。どういう事かと言うと、彼女は最初からフラれることが決まっていたキャラでした。彼女の告白を断って、主人公はいっそうアナザーワールドへのめり込んでいく。そういうつもりで出したキャラでした。
だから作者として罪悪感みたいなものはあったわけです。だからというのもヘンな話ですけど、みんなに好かれるキャラとして書いてあげたいな、と。その辺は結構意識してましたね。いただいた感想とか見ていても、そこは合格点かなと個人的には思っています。
それから今作では「一章三〇話」というのにもこだわって見ました。一話ごとの長さをだいたい揃えるってのは前からやっていたんですけどね。章の長さまで揃えるってのは初めてでした。
とはいえきっかけは偶然です。第一章がちょうど三〇話だったので、キリがいいのでじゃあ次も狙ってみようか、みたいな。意外とやれる感じで、自分でもこんなに揃えられるとは思っていませんでした。
まあ、最終章は長くなっちゃいましたけどね。最終章の二五話目くらいから「やっべー。これ三〇話に収まらねぇわ」ってなって。そこで選択を迫られるわけです。つまり最終章だけ三〇話以上にするのか、もう一章書くのか。さあ、どっち?
判断がつかないまま続きを書いて、「あ、これもう一章分は無理だな」となって、最終章は三〇話以上ということになりました。まあこの作者は最終章が長くなるのがデフォなので。ある意味当然の結果でございます。
それから最後の後書き。結構続けているはずなんですけど、まあ苦労する。パッと出てくるときは本当に少ない。自分のユーモアのセンスの底の浅さというか、そういうものを思い知らされますよね。
今作だと、モンスターさんにも後書きにご出演いただいていましたけど、これは要するに登場キャラが少ないからです。つまり主人公の出番ばかりが多くなってしまう。それだと作者側も結構大変なので、モンスターさんにご出演願っていたわけです。これこそ本当に苦肉の策というか。まあ新たな引き出しを作ったと、そう思うことにしておきます。
グダグダ書いてきましたが、このへんにしておこうかと思います。今作を読んで下さった読者の方々、感想やレビューを下さった方々、丁寧に誤字脱字の報告を下さった方々、本当にありがとうございました!
それでは、新月乙夜でした!
作者「あとがきに後書きは必要か否か、それが問題だ」




