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【祝!2200万アクセス突破!】転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す  作者: エルリア


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200/1767

200.転売屋は様子を伺う

ベルナの所に間違った手紙が投函されてから二日。


俺は予定通り大人しく店番をしていた。


オークション用の品は準備してあるし、お歳暮用の仕込みも終わった。


なのですることと言えば庭の土いじりと倉庫の整理、後は店番だ。


「あれ、シロウさんが店番なのか。」


「ダン、久々だな。最近どうしてたんだ?」


「毎日毎日隣町との往復だよ、いい加減飽きてきたが安全に稼げるんでまぁ文句はない。」


「リンカも喜んでるだろうな。」


「おかげさんで。個人的にはもう少し収入を増やしたいんだがなぁ。」


「おい、まさか。」


「お察しの通りだ。」


孕ませ・・・って言ったら失礼だな。


そうかリンカは報告出来たのか。


「マスターには言ったのか?」


「あぁ、リンカの口から報告してもらった。で、すぐ呼び出された。」


「うへぇ、ご苦労さん。」


「別に何も言われてないぞ、ただ無理はするなと言われただけだ。」


「子供の為に無茶をして怪我でもされたらたまらないからなぁ。」


「くれぐれも気をつけるよ。」


「もし俺にできることがあったら言ってくれ。」


「その時は頼りにさせてもらうよ。」


子供が生まれたらお祝いしないとなぁ。


すっかり忘れてた。


「で、今日はそれだけじゃないんだろ?」


「噂で聞いたんだが、ヤバイのに目をつけられたって?」


「なんだよそっちの耳にも入ったのか?」


「まぁな、でもワザとなんだろ?」


「ご明察。」


俺とダンはお互いにニヤリと笑った。


そう、これはワザとだ。


あの手紙をもらった翌日、すぐにレイブさんと羊男に報告を入れた。


二人の反応はやっぱりって感じだったなぁ。


一先ず二人から情報を仕入れてみたが未だ手掛かりは無し。


だが、ビアンカが標的であるという情報を追加で伝えるとレイブさんがハッと何かに気付いた。


「今、街中が金貸しの噂で盛り上がってるぜ。正体を見極めたら金貨5枚、捕まえたら金貨10枚だもんな。盛り上がらない方がおかしいだろ。」


「おかげで俺は店にカンヅメだけどな。」


「外に出て殺されるよりはましだろ?」


レイブさんが気付いた情報を元に犯人探しが始まったわけだが、個人でやると消される可能性がある。


そこで、噂好きの冒険者に今回の件を面白おかしく教えて噂を流させた。


冒険者を狙った金貸しがいて、そいつが俺を狙っている。


もし犯人を見つけたら金貨5枚、捕まえたら金貨10枚を俺が払うということになった。


それを聞いた冒険者、というか街中の人間は大いに盛り上がり、自称探偵の皆さんが色々と探し回っているというわけだ。


「まぁ、そうだな。」


「俺も一枚噛みたい所だが消されるのは御免だからな、大人しくしとくよ。」


「そうしてくれ。そうだ、ハーシェさんに店に来るように伝言頼めるか?」


「わかった、今日の夕方会う予定だから伝えとく。」


「よろしく。」


土産にレレモンをいくつか持たせてダンは出て行った。


再び店が静かになる。


「御主人様、シープ様が来られていますがよろしいですか?」


「あぁ。」


ダンが出て行ってすぐにアネットが扉から顔だけ出して教えてくれた。


現在この店は普通に立ち入ることはできなくなっている。


入り口で身分証を提示し、武器を預けた人のみ中に入ることを許されている。


外で待機するのは冒険者ギルドの職員。


そしてアネットだ。


「どうもシロウさん。」


「忙しいのに悪いな。」


「いえ、仕方がありません。これもこの街で悪さをさせない為ですから。」


「何かわかったか?」


「色々と情報はもちこまれますがどれも偽情報ばかりで、有力な情報はありません。」


「そうか・・・。」


情報提供先はギルド協会になっている。


この店でも構わなかったのだが、そうすると不特定多数がここに来ることになりその中に犯人が忍び込んでくる可能性もある。


なのでギルド協会を窓口にして、随時俺に情報を流してもらっているというわけだ。


「冒険者相手の金貸し、うわさでは聞いていましたがまさか本当に居るとは思いませんでした。」


「ビアンカの様子は?」


「今の所いつもと変わらない感じです。でも本当にいいんですか?保護しないで。」


「保護すると向こうが何をしてくるかわからないだろ?申し訳ないが彼女はエサだ、自分が追われている状況でも彼女を狙うのか、それとも・・・。」


「シロウさんを殺しに来るのか。」


「金を貸すのは簡単だ。だが、金を渡して彼女が助かり俺だけが死ぬってのはどうもな。」


「自分で稼いでくれるといいんですけどねぇ。」


「その為に冒険者ギルドも色々と動いてくれているそうじゃないか。嫁に感謝しないとな。」


正攻法で金儲けをするしか彼女が助かる道はないという事で、優先的に実入りの良い依頼をこなしてもらっている。


ダンジョンに潜るだけじゃなく錬金術師としての依頼もだ。


この辺は街の錬金術師にも事情を説明して快諾を貰っている。


ダンジョンに潜った時に当たりをひければ・・・。


でも残念ながら今のところその報告は受けていない。


「今の報酬状況は?」


「金貨3枚って感じかな。この分で行くと月末までに15枚は稼げるだろうけど・・・。」


「足りないなぁ。」


正攻法で終われば万々歳。


でもそれで難しい場合は、金を貸して助ける事になるだろう。


「そうなんですよねー。」


「それまでに犯人が捕まればいいんだが。」


「時期が悪いですよね。」


「オークションに合わせて不特定多数が出入りしているからなぁ。怪しい奴ばかりだ。」


「還年祭りも通常通り行ないます。」


「それを悔やんでも致し方ない。俺達はやることをやるだけだ。」


「レイブさんが色々と聞いて回っているようです、そちらの情報を待ちましょう。」


「だな。」


「あ、これ嫁からです。外に出られなくて運動不足だろうからって。」


羊男が出したのは一本のゴム紐。


縄跳びでもしてろって?


「お気遣いどうも。」


「では私は戻ります、もう一度言いますがくれぐれもお気をつけて。外出、そして食事にも。」


「さすがに毒はないだろ。」


「わかりませんよ。アネットさんがいますから解毒は問題ないと思いますが、下手な物は口にしないようお願いします。」


「好きな物も食べられないとはねぇ。」


「文句は犯人にお願いしますね。」


「へいへい、わかったよ。」


羊男を見送り、再び店に静寂が・・・。


「御主人様・・・。」


「レイブさんだろ、通してくれ。」


「畏まりました。」


羊男とレイブさんで事前に打ち合わせしてくれたらいいんだけど、微妙に仲が悪いんだよなぁあの二人。


最初はそうでもないと思ってただけど、親しくなればなるほど微妙な違いがよくわかる。


おそらくレイブさんはあまりギルド協会と関わり合いたくないんだろうな。


あまり親密になると、癒着だ何だと言われてしまう。


人の命を売買する商売だからこそ、そういう部分に敏感なんだと思う。


「こんにちはシロウ様。」


「すみませんこんな所まで来てもらって。」


「状況が状況ですから、進展はありましたか?」


「残念ながら犯人の見当もついていません。そちらはいかがですか?」


「今錬金術師を欲している顧客について、裏の繋がりから探ってもらっています。もしビアンカさんを欲している人間が分かれば・・・。」


「そこから犯人が導き出されると。」


「可能性の話ですが。」


「引き続きよろしくお願いします。」


「かしこまりました。ですがもし期限までにお金がたまらなかった場合、どうされるおつもりですか?」


そこが問題なんだよなぁ。


一応考えてはいるんだけど、それで犯人が納得・・・するはずないよなぁ。


「これは私の考えですが、犯人は手を出すなと言っています。これは他人がという事ですよね?」


「私もそう考えています。」


「あくまでも自分で金を用立てて、返済すれば犯人も納得すると。」


「納得するしかないでしょう。まぁ、かなり厳しい状況ですが。」


「足りないのは金貨15枚。ぶっちゃけてききますが、錬金術師って高いですか?」


「素質に寄りますね。」


「ちなみにビアンカさんは?」


「中の中って所でしょうか。」


「つまり普通と。」


高くもなく安くもない。


なんとまぁ微妙な。


「それなりに仕事はできますし、ダンジョンにも潜れます。ですがその程度なのです。」


「難しい仕事が出来るわけでもなく強い冒険者でもないと。」


「そういう事です。」


「ちなみに売り出すのならばいくらですか?」


「この街で売り出すのならば金貨40枚という所ですね。」


「錬金術師が3人もいますからね、新規で商売を起こすのは難しい訳ですか。でも他の街ならもう少し高いですよね?」


「他の街でしたらよくて金貨50枚、いえ45枚でしょう。」


そこから逆算されるのは・・・。


「せいぜい金貨20枚って所か。」


「良くお分かりですね。」


「ギリギリかぁ。」


「ちなみに私は金貨18枚しか出しません。」


「厳しいなぁ。」


「私も命は惜しいですから。」


残るは本人次第ってことか。


「どうもありがとうございました。」


「また何かわかりましたらご連絡に上がります、それとこちらを。」


「これは?」


「外出しないとなると色々と大変でしょう。気晴らしになればと思い持参しました。」


そう言って手渡されたのは・・・。


『精豪の秘薬。これを使うと三日三晩ハッスルし続ける。ただし、その後三日三晩使い物にならなくなるとか。最近の平均取引価格は銀貨5枚、最安値銀貨3枚、最高値銀貨10枚。最終取引日は7日前と記録されています。』


レイブさんは俺をどうしたいんだろうか。


俺は苦笑いをしながら受け取るしかなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 2月に別の方も報告されてますけど、145話でリンカから妊娠兆候の話を聞かされてエリザ以外のメンツとマスターには伝わってるので、ここでシロウの反応は違和感ですね
[一言] 「リンカも喜んでるだろうな。」 「おかげさんで。個人的にはもうすこし収入を増やしたいんだがなぁ。」 「おい、まさか。」 「お察しの通りだ。」 まさかもう孕ませ・・・って言ったら失礼だ…
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