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【祝!2200万アクセス突破!】転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す  作者: エルリア


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170.転売屋は薬を盛られる

イケメンジャスティスの話は想像以上だった。


いなくなったトライゾンは実は盗人で、これまでに何度も犯行を重ねていたそうだ。


手口はいたってシンプルで、今回のように買い付けに同行して先に荷物を持って帰るといって馬車ごと逃走し、それを別の場所で換金してからまた同じ手口で護衛の仕事を請ける。


普通なら簡単に指名手配されそうなものだが、その辺は詳しくないので割愛する。


ようは、それを繰り返しながら色々な場所を転々としていき、今回俺の依頼を受けることになったようだ。


もちろん今回も同じ手口で石材を持っていこうとしたが、俺がそれを断ったのと、時化があった為逃げるタイミングを逃してしまった。


そこまでは良い。


奴が誤算だったのはナミル女史の登場だ。


まさかここの一番偉い人物が直々に挨拶に来るとは思っていなかったんだろう。


だから朝一番に遭遇した時にあんな顔をしていたんだな。


この街でも犯行を重ねており、しかもナミル女史直々の依頼で盗みを働いたらしい。


そりゃ連れて行かれもするわ。


イケメンの話ではそれなりの処罰を受けることになるんだとか。


間違いなく見せしめに使われることだろう。


女豹を怒らせると怖いんだぞと、街の住人に知らしめる為に。


ま、俺はビビらないけどな。


「とりあえずこんな感じだ。」


「色々大変だったのね。」


「すまんな、連絡できなくて。」


「ご無事なら問題ありません。」


「とか何とか言って一番ソワソワしてたじゃない。」


「エリザ様なんて迎えに行こうとしてたじゃないですか。」


「そ、それは・・・。」


恥ずかしそうにモジモジとするエリザ。


なんだかんだ言ってみんな心配してくれたようだ。


「とりあえずそんな感じだ、今からギルド協会に納品してくるから先に寝ててくれ。」


「一緒に行こうか?」


「納品しに行くだけだ、それ以外はまた明日にするよ。」


「それがよろしいかと思います。」


「お風呂の準備しておきますね。」


「では私は食事の準備を。」


「戻ってきたら覚悟しなさいよね、こんな美人三人も待たせたんだから。」


「自分で言うなよな。」


ま、美人だけども。


街に戻ってすぐに店に戻ると、夜遅くにもかかわらず三人は俺の帰りを待っていてくれた。


エリザは文句を言い、アネットは声を出して喜び、ミラは無言で抱きついてきた。


とりあえず順番に抱きしめてから事の流れを報告し、今に至ると。


「待たせたな。」


「よろしいのですか?」


「アンタも早く休みたいだろ?さっさと終わらせよう。」


「後三日ほどここに滞在する予定ですので別に構いませんが・・・。」


「闘技大会に出るのか?」


「優勝者は出場が義務付けられていまして、三連覇するまでは解放されないんです。」


「ちなみに今年は?」


「もちろん三連覇目指して頑張ります。」


まさかの優勝候補ならぬ昨年の優勝者が横にいた。


イケメンで闘技大会の優勝者とか、どんだけ恵まれてるんだよ。


女選びたい放題って奴か?


「ちなみにエリザとは?」


「エリザさん・・確か優勝候補の一人でしたね。昨年のは三回戦で当りました。」


「で、こてんぱんにしたと。」


「面白い戦い方をする方ですね、相手を良く見ているかと思いきや思い切りのいい攻撃もしてきます。引っ掛けに弱いのが玉に瑕でしょうか。」


「本人には言わないでおくよ。」


「お知り合いなんですか?」


「ちょっとな。」


エリザに全賭けするにはコイツが一番の敵。


とはいえここで何か出来るわけもなくするつもりもない。


その辺は自分で何とかするだろう。


コレはエリザの戦いだ、俺は外で応援するだけだ。


ギルド協会の前に到着すると、先に向わせた二台から荷物が降ろされていた。


「シロウさん、それにジャスティス様まで。」


「シープ様ご無沙汰しております。」


「ナミルさんはお元気ですか?」


「おかげ様で次の闘技大会を楽しみにしていると、言付かっております。」


「今年は良い選手が集っていますから楽しみにしてくださいね。さぁさぁお疲れでしょう、シロウさんは中へどうぞジャスティス様は三日月亭へご案内します。」


「ですが・・・。」


「後は話をするだけだ、護衛に感謝する。」


「ではお言葉に甘えまして。」


三連覇のかかった大切なお客様だ、もてなすのも羊男の仕事ってね。


中へ入るとニアが申し訳無さそうな顔をして待ち構えていた。


「おいおい、戻ってきて早々酷い顔だな。」


「この度は本当に申し訳ありませんでした。」


「別に、アンタが悪いわけじゃないそんな事もあるさ。」


「次回からは素性も含めてよく調べてからご紹介させてもらいます。」


「そうしてくれ。で、納品したいんだが生憎おたくの旦那は大事なお客様を連れて行ってしまったんでね。誰に頼んだら良いんだ?」


辺りを見渡すも営業時間外なので誰もいない。


っていうかこの二人も普通はこんな時間にいるべき人じゃないんだが。


「それなら私が引き継ぎます。明細書を拝見しても構いませんか?」


「これが仕入れの明細と、残金だ。」


「・・・石材や武具はともかくよく食料とお酒をコレだけ集められましたね。」


「あの女豹にたかられたんだよ。」


「その分の代金もこちらに回してかまいませんよ?」


「まぁ、納品先を探す手間が省けたって部分もあるから今回は別に構わない。食料と酒は外の馬車だ、宜しく頼む。」


「今日の件につきましては改めて夫からご連絡があると思います、ありがとうございました。」


「闘技大会まであまり日がないんだし、そっちも早く帰って休めよ。」


「そうさせてもらいます。」


とりあえずコレで引継ぎは完了だ。


依頼料なんかはまた明日羊男が連絡してくるだろうからそれまでゆっくり休むとしよう。


闘技大会まであと少し。


銀髪イケメン男をぎゃふんといわせる為にもエリザには頑張ってもらわなければ。


家に戻った俺を待ち構えていたのは、大量の食事とエリザ秘蔵の酒。


それと怪しげな薬だった。


いや、アネットが作ってるんだから怪しくとも何ともないんだが・・・。


「コレを食う前に飲めと?」


「危なくありませんよ?」


「分かってるんだが効果は教えてくれないのか?」


「教えたら飲んでくれそうにありませんので。」


「それを聞いたら余計飲みたくないんだが。」


「男でしょ、ちゃちゃっと飲みなさいよ。」


「折角の料理が冷めてしまいます。」


せかすエリザと泣き脅しをしてくるミラ。


よっぽど俺に飲ませたいらしい。


う~む・・・。


飲まないという選択肢は無さそうだ。


俺は意を決して薬を飲む。


水と共に胃に落ちていくのが分かった。


「飲んだわね。」


「飲みました!」


「では、後は効果を待つだけです。」


「なぁ、飲んだんだからいいかげん教えてくれないか?」


「ダメです。」


そうですか。


席に着くとミラが肉をとりわけ、エリザが酒を注いでくれた。


あれ?


アネットは?


「すぐ戻るわよ。」


「お待たせしました!」


どうやらこの一瞬で二階に行っていたらしい。


手にはなにやら布のようなものが握られていた。


「私達も後で取りにいかなきゃね。」


「でもまずは食事にしましょう。」


「そうですね。」


ささっと後ろに隠してアネットも席に着いた。


う~む、わからん。


分からんが胃の中がポカポカしているのと何か関係があるのだろうか。


「ではいただきましょう。」


「いただきま~す!」


豪華な食事に上手い酒、そして美人が三人。


たまの一人も良かったがやっぱり美人がいると張り合いが違うな。


心なしか美人達の目線がいつもよりも鋭いような気もするが・・・。


その理由に気付いたのは食事が終わろうかという頃だった。


うとうととしていた様でハッと我に帰ると、酒が回ったのか少し世界が揺れている。


グラスを取ろうとしたが空振りしてしまった。


「ちょっと、大丈夫?」


「少し飲みすぎたようだ。」


「今日はもう寝たら?」


「そうだな、明日もあるし今日は寝るか。」


エリザに肩をつかまれ二階へと上がる。


触れている部分が妙に温かく柔らかい。


そういえばアネットとミラは何処にいるんだろうか。


二階は薄暗くテーブルに手を添えながら寝室まで移動する。


なんだろう、良い香りがするぞ。


お香か何かだろうか。


「服、脱がしますね。」


ベッドに腰掛けると、耳元でアネットがそう囁いた。


「いや、そこまでしなくても。」


「いいですから、ご主人様は何も気にしなくて。」


「そのままどうぞお眠りください。」


反対側からミラの声がする。


ぼやける視界を動かすと、そこには裸のミラがいた。


いや、何かを身に着けているようだが良く見えない。


「この薬、効きすぎじゃないの?」


「おかしいな、こんなに効くはずじゃないんですけど。」


「でもまぁ、こっちは元気よね。」


「なぁ、お前達一体何を・・・。」


「いいからさっさと楽になりなさい。」


エリザが前から俺の頭を抱く。


柔らかな胸を押し付けられ、呼吸が出来ない。


あわてて顔を上げると正面に妖艶な顔をしたエリザの顔があった。


「私達を心配させた分、たっぷりと堪能させてもらうから。」


「覚悟してくださいね、ご主人様。」


「宜しくお願いします。」


三方向から女の温かさと柔らかさを感じる。


謀られたと気付く前に、俺は意識を失っていた。


翌朝、俺のベッドで幸せそうに寝息を立てる三人に仕返しをしたのは言うまでも無い。


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