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18、地下二階のボス

 地下二回攻略は中々難を極めた。


 どうやらこの階は基本的に一本道らしく、部屋から部屋へ一つのドアだけで繋がっている。

 そしてそこに待ち構える敵がまたいやらしい。


 まず最初の部屋にいるのは、スケルトン三体とスケルトンアーチャー二体。しかもスケルトンアーチャーは入口からは確認できず、スケルトンが背を向けておびき寄せようとする罠が張られている。


 だがこれはネタが分かれば楽に攻略できる。現に俺は無傷で倒せていた。


 そして次の部屋では、スケルトン四体が待ち構え奇襲を仕掛けてきた。


 俺はこれにパニックになりながら部屋へと潜りこみ、次々矢を放たれる中一体ずつ仕留めていった。

 最初の奇襲は運良く矢を避けられたが、最終的には二度矢で穿たれた。しかしまだ生きている。


 次の部屋も中々やばそうだな……と思いながらドアを開けると、その予想通り、スケルトン三体とスケルトンアーチャー二体が待ち構えていた。

 構成こそ最初の部屋と一緒だが、こちらは陣形が違う。正面にスケルトン三体が陣取り、その後方にアーチャーが控える形だ。


 必然、スケルトン三体と先に戦うことになり、その間にアーチャに撃たれるという不利な戦況を向かえる。

 もうここは開き直ってゴリ押しだった。あれこれ考えてもどうしようもない。俺が先に死ぬかこいつらを全滅させるかの勝負だ。


「うらあぁぁっ!」


 やけくそになりながら突っ込み、剣を振るいの大乱戦。バカ正直に攻撃を喰らう必要はないと、左右前後にローリングしてできるだけ攻撃を回避しながら、一番近い敵に攻撃するという滅茶苦茶な状況だった。


 しかしそれでもこれまでの戦闘経験が活きたのか、三度攻撃を受けただけで敵を全滅させることができた。ついでにレベルも3に上がった。


 もうスケルトン程度なら俺の敵ではないのかもしれない。そう勝ち誇りながら、部屋の中に落ちていた体力回復ポーションをぐびぐび飲む。


 飲み終わって一旦落ち着いた後、俺は次のドアへと向かい――その異様な意匠を見て、硬直する。

 それは、黒い扉だった。扉全体が禍々しい黒色で、ところどころ赤黒い血の染みがついている。


 地下一階にも赤いドアがあったが、あれよりも更にやばそうな雰囲気が漂っている。


 おそらく、この先には強敵が待ち構えている。誰でも分かるそんな予感を抱きながら、しかし入らないという選択肢はなかった。

 俺はこの地下迷宮アンブロシアの檻を攻略しなければいけないのだ。どれほどの強敵が待ち構えていようとも、先に進まない選択肢はない。


 ドアを開ける為、手を伸ばす。押して開くタイプのドアらしいがかなり重く、両手を使って全力で押し上げる。

 錆びついた音を立てながらゆっくりドアが開き、その中へと踏み込んだ。


 ……そこは、妖しい緑色の光がちらつく空間だった。先ほどまでの地下洞窟のような雰囲気が一切無い。まるで牢屋のように見える。

 床の端に置かれているのは燭台。この緑色の光はそこから発生しているようだ。


 奥には黒いもやが見える。そこへ近づいていくと、段々もやが晴れてその奥にいる何者かの姿が見え始めていた。


 そこにいたのは……座り込む骸骨だった。

 これまでのスケルトンとは違う。豪奢な鎧を着こんだ、大柄の骸骨。その手には、金属製の打撃武器である巨大なメイスが握られている。


 虚ろに窪んだ瞳に、緑色の光が灯る。その異様な目が俺を見据えた。


「おお……我が主に仇名す愚者が現れたか……」


 ギシリ、と音を立て、その骸骨が立ち上がった。その背はゆうに俺の二倍近くある。巨大なメイスはまるで鉄柱のようだ。


「ならば我はまた戦おう。愚かなる人間に贖いを与えよう……」


 その言葉は、どうも俺に向けていっているようではない。その骸骨は俺をはっきりと見据えながら、しかし、どこか意思を感じ取れなかった。

 まるで、俺ではない誰かと戦おうとしているかのようだ。


 そして俺の視線は、その威圧感ある巨大な骸骨のはるか後方へ。

 そこには……茨に包まれる少女の姿。紫色のツインテールが茨に絡めとられ、意識無く目をつぶっている。


 かつてのアルティナと同じく封印されている女神だ。

 だが封印される女神へと向けられた俺の意識は、轟音を聞いて巨大な骸骨へと再び移動する。


「……愚かなる者よ……絶望を知れ」


 威嚇するように地面をメイスで叩き砕いた巨大な骸骨……名前すら分からないが、奴が強敵だという事は嫌でも分かった。


 剣を構えて警戒する俺の頭の中に、女神アルティナの声が響く。


『ああ……どうして彼がここに……!? 気を付けて下さいリック様。彼の名はクロウラー。魔王の腹心の部下の一人です!』

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