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17、地下二階攻略

 地下一階で軽くスケルトンを狩りレベルを改めて2にした俺は、再び地下二階へとやってきた。


 地下二階は一階と同じ見た目、雰囲気だが、最初の部屋から複数のドアがあった一階と違い、次の部屋に続くドアは一つだけ。


 この先には、俺が初見殺しにあったスケルトン三体とスケルトンアーチャー二体が待ち構えている。

 恐る恐るドアを開けると、やはり前のようにスケルトン達が部屋の奥にいた。


 あいつらがこちらに背を向けているのは罠だ。ああして無防備を装って侵入者を部屋の中に招き入れ、部屋入り口近くで角待ちしているアーチャーが不意打ちをする。初見ではまず引っかかるいやらしさだ。


 しかしネタがバレれば対処はしやすい。しかも今回は遠距離攻撃を用意してきたのだ。


 俺の作戦はこうだ。このスケルトン達が待ち構える部屋には入らず、部屋の一歩前から魔法【ファイアーボルト】を背を向けているスケルトンに向かって放つ。

 それが当たったスケルトンがもしこちらに向かってこない場合、そのまま魔法で仕留める。もし向かってくる場合は近接攻撃で仕留める……という単純な作戦だ。


 もしかしたら、スケルトンに攻撃した時点で部屋の中のスケルトン達がこぞって俺に向かってくる可能性もあるが、そこはドアという狭い通路によって一体一に仕向けることができる。


 まずこの作戦で問題ないはずだ。失敗したらどうしようと考えると心臓が少しドキドキするが、信じてやってみるしかない。

 よし、早速一発魔法を放ってみよう。


 ……と思ったところで、どうやって魔法を放つのか知らないことを思い出した。


「アルティナ、魔法ってどうやって使うんだ?」

『……リック様。それは地下へ赴く前にまず聞いておくべきだと思います』


 返す言葉もない。


『魔法の使い方は、スキルを授かる時と似たようなもので、魔法名を頭で念じると放たれます。手の平、あるいは武器を対象に向けながら放つのが一般的ですね。あと、口頭で魔法名を言いながら放つ方法もあり、この場合は少しばかり威力が上がります』

「念じた場合と口で魔法名を言う場合で威力が変わるのか?」

『はい。より詳しく言うと、念じる場合は無詠唱魔法、口頭の場合は詠唱魔法と分類されており、口頭の場合は魔法名の前にその魔法独自の詠唱を追加することで更に威力が増します。詠唱魔法は放つまでリスクがある分、威力が増えるという感じですね。余裕がある時は詠唱、無い時は無詠唱と使い分けるといいかもしれません』


 魔法には口で言って発動する方法と、念じて発動する方法があり、前者は威力が増す分発動までの時間がかかる。更に魔法独自の追加詠唱を行うことで更に威力が増す。ちょっとややこしいがまとめるとこうだろう。


 ひとまず初めての魔法なので、口頭で発動してみようか。追加詠唱は無しだ。


「【ファイアーボルト】!」


 剣先をスケルトンに向けて魔法名を言い放つと、剣の先端から炎が生まれた。

 それは矢の形となり、スケルトン目がけて一気に射出される。

 炎の矢が風を切って翔ける。一直線にスケルトンの背骨を貫いた。


「ギ……!」


 スケルトンの上体が傾ぎ、そのまま倒れる……と思いきや、奴はゆっくりと俺へ振り向いた。


 ……斬撃一発で倒せるスケルトンだが、魔法一発では倒せないようだ。遠距離攻撃な分、近接攻撃より威力が弱いのか……はたまた俺に魔法の才能が無いのか。多分両方かもしれない。


 一気に俺へとヘイトを向けたスケルトンは、ガシャガシャ足音を立てて向かってくる。その背に二体のスケルトンが続いてきた。

 どうやら手前の壁際に控えているアーチャーの方は反応していないらしい。


 なら何も問題ない。スケルトン三体同時撃破はすでに体験しているし、しかも俺はドアの手前で待ち構えているから一体ずつ相手にできる。


 骸骨だけあって脳がないのか、自ら不利な位置へと向かってくるスケルトン三体へ次々剣を閃かせる。一閃、二閃、三閃。一振りで一体のスケルトンが散り、三回も振るうと全員倒せた。


 次は中のスケルトンアーチャーだ。ここはもう勢いで攻めるしかない。


 部屋の中に踏み込み、まずは右手のアーチャー目がけて走り弓を構える暇すら与えず切り下ろす。

 耐久力はスケルトンと同等、あるいはそれより低いかもしれない。どちらにせよ一撃で撃破できた。


 そのまますぐに背後を振り向き、弓で俺の背を狙っていたアーチャーへ対処する。

 俺が振り向いたと同時に、スケルトンアーチャーは矢を放っていた。風を切り疾風のように翔ける一矢。それを切り払うような技量は俺には無い。


「うおぉおぉっ!」


 なりふり構わず、横に転がるようにして無様に回避。すぐさま剣先をスケルトンアーチャーに向け、【ファイアーボルト】と念じる。


 スケルトンアーチャーが次の矢をつがえる前に、俺のファイアーボルトが当たる。すると奴の骨の体が急に燃え盛り、そのまま崩れ落ちていった。

 【ファイアーボルト】は10パーセントの確立で炎上ダメージを与えられる。今回運良くそれが決まったのだろう。


 【ファイアーボルト】は消費マナ1。スケルトンから得られるマナは3。スケルトンアーチャーは4らしい。二度使ったものの、マナはプラスなので問題ない。

 遠距離攻撃に乏しい今、ファイアーボルトはがんがん使った方がいいだろう。


 初見殺しという因縁を払拭した俺は、意気揚々と次の部屋へと向かった。今回もドアは一つだけなので選択の余地はない。

 次の部屋を開けると、そこには……スケルトンアーチャー四体が待ち構えていた。


「え? お、おい……」


 呆気にとられていると、アーチャー四体が先制攻撃とばかりに矢を次々放ってくる。


 俺は驚きと共に部屋へと転がり込み、スケルトンアーチャー四体との乱戦を開始した。

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