11、スケルトン三体へのリベンジ
ついに俺はあの赤いドアの部屋の前へとやってきた。
この先にはスケルトンが三体待っている。
いったい何回あいつらに殺されてきたことだろう。
でも今の俺には女神アルティナがついている。
アルティナと絆を結んだことで、ただの村人だった今までとは比較にならない強さになっているはずだ。
剣も炎の魔法効果が付いていて、レベルも上がり、準備は万全。
意を決してドアを強く開け放ち、中へと踏み込む。
とたん、待ちわびていたとばかりに中にいたスケルトン三体が、その眼球の無い暗く窪んだ目の部分を俺に向けた。
そしていっせいに俺の元に駆け出し、剣を振り上げる。
これだ。この同時攻撃がどうしようもなくて、これまでの俺は殺されてしまったのだ。
前方、右、左からの三か所同時攻撃。それこそ歴戦の戦士ならこの状況に対応する術があるのだろうが、ろくに戦闘経験もない俺にはそんなもの存在しない。
できるのは、殺されるのを覚悟でスケルトン一体に反撃するだけ。
しかし今の俺には防御結界がある。マナを消費して受けるダメージを軽減し致命傷を避けるこの結界なら、生き残れる可能性がある。
アルティナの力を信じ、俺は覚悟を決めて一歩踏み込んだ。
狙いは正面のスケルトン。容赦なく本気でけさ斬りを叩きこみ、まずは一体を両断する。
しかし、やはり左右の攻撃はどうしようもない。
剣の鋭い刃先が俺に迫り、両肩に叩きつけられる。
瞬間、走る激痛。鈍器で思いっきり肩を殴られたのにも似た痛み。
そう、鈍器だ。刃物で切り裂かれた痛みじゃない。
防御結界のおかげで、刃を弾けたのだ。これなら戦える。致命傷じゃない。
ズキズキと肩が痛み、動かすのも辛い。しかし俺は気合でごまかし、剣を翻して左側のスケルトンの頭部を断ち切った。
そしてすぐに振り向き、最後の一体に切り込む。スケルトンもすでに剣を斬り下ろしていた。
ほとんど同時に互いの刃が叩きつけられる。俺の剣はスケルトンの骨で構成された体を切り裂き、スケルトンの剣は俺の胸元で弾かれていた。
勝った……勝てたんだ。
終わってみれば、圧勝だった。いや、本来なら致命傷を三発喰らっているのだが、アルティナとの絆で得た能力、特に防御結界のおかげで勝つ事ができたのだ。
『見事な勝利でございました。おめでとうございます』
見守っててくれたアルティナの声を聞き、張りつめていた緊張の糸が解けた。
「ふぅ~……」
安堵感で腰が抜け、思わず座り込む。
スケルトン三体程度に、この激闘だ。先が思いやられる。
しかし、それでも俺は勝った。このアンブロシアの檻という迷宮を進むのは、不可能ではないのだ。
スケルトン三体を倒したおかげか、部屋の中に黒い煙がわきだした。
驚いて退くが、煙はすぐに消え去る。それと同時にスケルトンの死体も無くなり、代わりに部屋の中には階段が生まれていた。
それも二つ。一つは地下への階段で、もう一つは上へ登る階段だ。その先はどちらも黒い霧に包まれている。
地下に行く階段は分かる。でも、上へ行く階段は? まさか地上に出れるのだろうか?
その俺の疑問が伝わったのか、アルティナが答えた。
『上への階段は、私が居る聖堂に繋がっているようですよ』
なるほど、上への階段は帰還する為の階段か。
となると、やはり地下へ進むしかない。スケルトン三体を倒した勢いのまま、地下二階も攻略しよう。
結果的には圧勝だったということもあり、若干俺の気は大きくなっていた。
そのまま地下二階への階段へと踏み込んだ。




