1566年−2
誤字報告ありがとうございます。
織田軍の6隊が勝竜寺城外に布陣する岩成隊に襲い掛かる!
お互いの弓隊の攻撃が始まった!
ただ兵数の差と練度の差がハッキリと現れる。矢数と射程距離の違いだ。
弓隊が敵方を圧倒!敵方に早くも動揺の見えると。
「槍隊、かかれぇぇぇ!」
柴田様のかかれの大声が戦場に響く!
弓隊が掴んだ先手を生かして早くも槍隊を戦線に投入すると、各隊もそれに続けとばかりに槍隊を投入して行く。
敵将の岩成殿も流石歴戦の猛者で部隊の動揺を一喝で落ち着かせて槍隊を投入、近接戦闘が始まる。
その頃、小一郎は織田本陣で落ち着きがなく座っていた。
殿や重臣方は伝令がもたらす報告と、戦場に響く声で織田軍有利な状況を把握しているが、戦の経験がほとんど無い小一郎には状況が把握出来ないからだ。
「これ小一郎、心配はいらん我が軍が有利じゃ」
「はぁ、しかし・・・」
「お主は心配性じゃのう」
佐久間様に嗜められるが心配なものは仕方がない。
「張子房殿にも苦手なことがあったとは?」
平手様の言葉で“ワハハハ”と本陣に笑いまで起こった。そこまで余裕があるのだ。
そして前線の諸将は手応えを感じている。自分の意思通りに采配通りに動くからだ。
三好軍と四つに組んで戦っているが余裕がある。
一方の三好軍の采配は岩成殿が出し惜しみなく部隊を投入して兵数で劣るも必死で食らい付いてなんとか互角の戦いをしているのが現状ではあるが、半刻・一刻と時間が経つにつれて徐々に徐々に押し込まれて行くのであった。
「あとを頼む!」
蜂屋殿が立ち上がった!
「さぁ皆さん、獣になりましょう!」
「我に続けぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
蜂屋殿率いる手勢二百人が抜刀して突撃して行く!敵方にできた僅かな綻びを目指して!
柴田様も蒲生様も気が付かない程の僅かな綻びではあったが、蜂屋隊の部隊が突撃がこの戦の潮目を変えた。この突撃に柴田様と蒲生様が反応したのだ。
「「蜂屋隊に遅れるなぁ、突撃!」」
蜂屋隊に一拍置いて、柴田隊と蒲生隊が突撃を開始!岩成隊に襲い掛かった!
綻びに突撃した蜂屋隊の蜂屋様は先頭で目の前に現れる敵を斬り伏せながら岩成隊の陣深くに食い込んで行くのだ!
蜂屋隊の突撃を見た岩成殿は”イカン“と叫び立ち上がったが何も出来ずに陣扇を強く握り締めた。
すると、間髪入れずに蒲生隊・柴田隊の突撃が襲いかかり岩成隊の前線が崩壊、部隊は大混乱に陥った。混乱した部隊など立て直す事など出来ない、岩成殿は部隊に撤退を指示を出すと本陣の最後の直営兵200人を二つに分けて、自身は一番近くにいた柴田隊に、もう一隊は蜂屋隊に突撃を敢行するのであった。
岩成隊をズタズタに切り裂いた織田軍であったが、最後のとどめは刺せなかった。
恐ろしい速さで突撃していた柴田隊と蜂屋隊が横槍を喰らい、突進力を失ったからだ。その後、混乱する部隊の殿を務めてなんとか軍の崩壊を食い止め撤退する。また織田本陣からも撤退命令が出た為に兵を引いたが、初戦は織田軍の圧勝であった。
その後、岩成隊は山城国の確保を諦め残兵を率いて撤退したのである。
殿はこの後の動きも早かった!
山城国の国人領主に使者を送り織田家に降伏を促した。そして大半の国人領主は降伏を選択したが、物集女氏だけが敵対したが、織田軍がいつもの24時間の攻撃を敢行!あっさりと落城し一族は滅んだのであった。
その頃、小一郎は・・・
「服部殿、よろしくお願いします」
今回の大勝利を摂津・和泉・河内に広げて、心理的に追い詰める作戦を展開する。
噂話で民の間に、もう三好家はダメだと思い込ませる為に、今回の戦の勝利を大々的に広げるのだ。
後は勝手に尾鰭背鰭がつく事だろう。
こんな噂が広がれば、三好家は徴兵にも苦労をしだすはずだ。誰も負戦に駆り出されたくは無いからだ。そうして見えない所から三好家を苦しめて行くのである。
「じゃあ、行って来ます!」
「気をつけてな」
親方と木造殿達と一緒に山崎の関所の建設を頑張っていたのだが、面談の為に後を任せて京に向かう。
「面をあげよ」
「はっ」
親しい仲にも礼儀ありである。殿と関白様は非常に馬が合うが正式な面会である為に礼儀作法に則っているのである。
「織田殿、久しいな」
「はっ」
久しぶりの再会に嬉しそうである。
「其方は・・・確か・・・き・・きの・・・」
その程度である、あれだけ飲み食いさせたのにと思いながら。
「木下小一郎にございます。ご無沙汰しております」
深々と頭を下げていると。
「おぉぉ、そうだったな、其方の作ってくれた料理をまた作ってくれるか?「はっ、喜んで」では、期待しておこう」
そこからは、関白様が殿の話に華を咲かせて話終わるのを待ってタイミングを計り関白様にお伝えする。
「申し上げます。
帝と関白様に献上品をお持ちさせて頂きました」
「ホホホホ、良き心掛けじゃな」
関白様の言葉を待ってから、桐の箱を二つ御前にお持ちした。
「関白様、尾張変碁を考えた、小一郎の新作です。私にもまだ献上されて無いのです」
殿がそんな事を言いながらも、関白様は桐の箱を開けると木の棒が大量に入っていた。
そう、オセロの次はジェンガである。
遊び方を説明した後、関白様と殿と小一郎の三人が必死になって遊んだのは秘密である(笑)
ひとしきり遊んだ後に・・・
「関白様、殿、ご提案があります!」
そこにはダークモードが発動した小一郎がいた。雰囲気が全く変わった小一郎に“ギクッ“と動揺する関白様だが直ぐに立ち直る。さすが海千山千の公家の世界を生きる男である雰囲気がガラリを変わり冷たい視線が小一郎を襲う。さっき迄のフレンドリーな雰囲気は消えていた。
そして、殿はしたり顔でこの顛末を見守っていた・・・
「うむ、申してみよ」
「はっ、では申し上げます。
足利幕府継承不能に付き、日ノ本の政を一新したいと思っております!」
関白は咄嗟に扇子で顔を隠した。しかし小一郎は見逃さなかったハッキリと動揺した関白様の顔を。
「この日ノ本が出来てから政の中心に足利家がずっといたわけでは御座いません、約230年ぐらいです。
その前は?源頼朝公が鎌倉で幕府を開いておりました。決して室町幕府が今後も永遠に続かなくても構わないのです。
今後は、帝を中心とし公家と武士が共に日ノ本の政を相談して決めていく議会制の導入をご提案させていただきます!」
・・・
・・・
「付きましては、まず畿内より三好勢力を一掃する為に、朝廷の討伐命令を頂きたく思います!」
両手をつきながら鋭い視線と鋭い言葉でその場を支配した小一郎は関白様に決断を迫った・・・
まずは、三好家を畿内から追い出さない事には、何時まで経っても室町幕府を再興しようとするだろう。山城国を支配下に置き圧力を掛ければ帝も認めない訳には行かない、平島公方にはそれだけの力が・・・いやそれだけの血筋が存在しているからだ。三好家が朝敵となれば三好家を援助する者も朝敵となり討伐対象になる。そりだけでも効果は絶大だ。そして三好家も滅ぼすつもりはない。時が経ち足利将軍を弑逆した事を誤りだったと認めて帝に詫び、帝のお許しがあれば議会に参加して共に日ノ本の政を推し進めたいとも思っているのである。
「関白様」
「・・・・・・」
口元を扇子で隠し平常心を演じようとしているが、何時もの"ホホホホ"とはぐらかす言葉も出てこない。
頭の中はフル回転している事であろう。
「関白様、如何思われますか!」
「・・・・・・」
助けを求めるように殿を見るが、(無理だよ)首を振る殿。
ダーク小一郎がグイグイと関白様を追い込んでいく!
「関白様!」
「・・・よ よ よきにはからへ・・・」
「はっ、かしこまりました!」
なんとか言葉を絞り出しゼェゼェ言っている関白様に、ダークモードを解除して小一郎が涼やかに座っている。
これで一番の問題を越えたからだ!
「では次のご提案に移ります」
ビック!!!と反応する関白様だが、まぁまぁと殿が落ち着かせて次の都復興計画の草案を提示、建物の補修や難民の対応に、公家が山城国北側に領地を持ち自分で運営する話など多岐にわたる話を詰めて小一郎は帰って行ったのであった。
「織田殿、お主は恐ろしい家臣を召し抱えておるな」
「あやつは、我が張子房ですから!」
この度の事で、木下小一郎=織田家の張子房と朝廷にも認知されたのであったが、今回の事を独断で許可した為に後日走り回った関白様が居たのは秘密である。
なお、翌日に今度は山科様の所にお邪魔して、尾張積木を献上したことを付け加えておこう!
つづく。




