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天使と悪魔の日常譚  作者: ウバ クロネ
【第21章】鋼鉄女神が夢見る先に
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21−18 明らかにマジカルちっく

「コーデリア、それ……凄いな?」

「ほほ……そうですか? ハーヴェン様の得物に比べれば、可愛いモノでしょうて」


 プランシー探しは嫁さんにお任せし、俺は陽動も兼ねてラディウス天使達のお相手をしているものの……一緒に戦ってくれている怠惰のナンバー2の勇姿に、尻込みしっ放しだ。


(いや……! そっちも全然、可愛くないぞ……!)


 コーデリアがキセルの代わりに取り出したのは……扇と呼ぶにしても、あからさまに物騒な得物。デカさも異様ならば、中骨は禍々しい何かの金属で黒光りしていて、雰囲気も異常。しかも、コーデリアが回転するたびに周囲に衝撃波と火の粉が舞うんだよ……! そんでもって、スパッとラディウス天使達をこともなげに抹殺するんだよ……! ナニコレ、超怖い! 優雅に見せかけて、完璧に刃物じゃないか! 見た目からして凶悪なコキュートスクリーヴァよりも変に優雅な分、却ってタチが悪いぞ、それ!


「セイッ! ハァッ‼︎ ふふ……普段から体を動かすのは、よろしゅうございますね。体が軽いのも、武器のキレが良いのも、偏にリッテルの美容運動の賜物というものです」

「そ、そうなんだ……?」


 あの美容運動(正しくは筋トレ)にそんな隠れた効果があったなんて……! 掛け声も、身のこなしも、キレッキレだよ! しかも……同僚の怠惰の皆さんもおっかなびっくり、腰引けてるよ⁉︎ リッテルさん、明後日の方向に影響力大!


(って、今はそんな事を考えている場合じゃなくて! とにかく……デカディウスになる前に、全部撃ち落とさないと。でも……俺はそんなに頑張らなくても、大丈夫そうか? これは……)


 今までの戦いの中で分かっていることと言えば。グラディウス本体を止めない限り、ラディウス天使達が際限なく湧いて出てくるという事と、こちらの戦力に応じて柔軟に体制を変化させるだけの知性はあるという事。そして攻撃魔法の効果は薄いが、武器での物理攻撃は通用する事。しかも、武器のエレメント効果はそのまま通るみたいなので……追加効果もキッチリ乗るっぽい。


(だから、この場合は炎属性の武器は効果が高いと見て良さそうだな……)


 相手のボディが金属(大元はロンギヌス)だからなのかは、定かではないけれど。コーデリアの鉄扇による炎属性のエレメント効果は、しっかりとラディウス天使達を斬殺するついでに、溶解までして見せる。……そこまでされると、再生も叶わないのだろう。スクラップにされる以上に焼却処分された彼女達は、成す術もなく跡形もなく溶けていった。

 いや、それ以前に。この威力を前にしたら……水属性の俺ですら、エレメントの優位性ごと一気に溶かされそう。


「しかし……随分と執拗な相手ですね。……こうもキリがないと、嫌になります」

「そうだな。だけど、魔法はテンで効かないもんだから。一気にお片付けもできなくて……って、コーデリア?」

「でしたら……武器で一気に畳み掛ければ良いのですね?」

「えっ? ……エェッ⁉︎」


 嫌気が差したという割には、コーデリアが明らかに不穏なセリフを嬉々として吐く。そうして、いかにも妖艶な紅色の口元をニヤリと曲げると、片腕で軽々と鉄扇をグルンとひと回し。ファサと鉄扇を全開にして見せた。そして……!


「ウオッ⁉︎ いやいやいや、待って! マジで待って!」

「ほほ……慌てるハーヴェン様もかわゆうございますね。ですが、ご安心を。この凰華焔扇が煽ぐのは、ただただ敵のみですからに……!」


 確かに、武器での攻撃であれば通用する。しかも、コーデリアの炎属性は突貫性も十分だ。その上、味方側の攻撃ともなれば、頼もしいことこの上ない……ハズなんだけど。


(近くにいるだけで熱いんだけどッ! 何、この反則技ッ⁉︎)


 扇を広げたせいかは、分からないけれど。攻撃範囲は完璧にメチャクチャ、そんでもって威力は更にえげつない。武器での攻撃にしては明らかにマジカルちっくなビジュアルに、物理攻撃って何だっけ……と、ヘナヘナに萎れる俺がいる。

 ……うん。この調子ならば、俺は今まで通りに頑張っていれば良さそう。いや、出る幕すらもうないかも知れない。


「……そこかッ⁉︎ 待てッ!」

「おっ?」


 合体する猶予さえ与える事なく、(主にコーデリアの活躍で)あらかたラディウス天使達を制圧できたか……と思っていたのも、束の間。俺の右耳に、普段から聞き慣れている嫁さんの声が響いてくる。何かを追いかけている様子から察するに……きっと、彼を見つけたに違いない。であれば、彼女の前を飛んでいるラディウス天使達がターゲットと見て、ほぼほぼ間違いないだろう。


「悪い、コーデリア! ルシエルがプランシーを見つけたっぽいんだ。だから……」

「終いまで言わずとも、よろしゅうございます。ここは我らに任せて、さぁさ、愛しい嫁御の所へお行きなさいな」

「うん、ありがとな。それじゃ……こっちはよろしく頼むよ!」

「承知ッ!」


 コーデリアはいつもながら、話が早くて助かるな。ここはお言葉に甘えて、俺は嫁さんの元に参上した方が良さそうだ。なにせ……コーデリアさえいれば、こっちは超安泰で大丈夫っぽいし。怠惰のナンバー2が相当な切れ者だったことは知っていたけれど。……まさか、こんなにも強いだなんて、思ってもみなかった。しかも、普段から運動を欠かさないときている。

 そもそも……怠惰って一体、何だったっけ? 俊敏かつ怜悧なコーデリアを前にすると、怠惰の概念が崩れていくのは、絶対に気のせいじゃないよな……。

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