表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/144

12-6

明日香は近くの公園のベンチに座り、自販機で買ったホットコーヒーで手を温めていた。


白い溜息が何度出てきても、それは明日香の中の霧ではないらしい。



明『…私は、何がしたいのかな…。』



慎一を想えば想うほど、自分の情愛の方向性を見失う。


咲抹殺を達成した暁に、明日香が得るものは何なのか。


それを考えては、明日香はさっき眺めていた慎一の笑顔を思い返した。




望むのはあの笑顔であって、悲しみに暮れた顔ではない。





それは分かっているのに。



明「はぁ……。」




明日香は更にため息をつくと、ようやくコーヒーを開けた。



火傷しないよう慎重に一口すすり、おまけにもう1つため息をする。







「南 咲は一國堂でバイトしてるのか…。よし、早速抹殺作戦を練りにかかるか。」


明「!?」



すぐそばに、あまりに自分とリンクする独り言を聞いた。



思わずその方を見ると、手帳に何か書き込んでいるワクワクした表情の女が、近くのベンチに座っていた。


ちなみにそれが女だと分かったのは服装からで、顔も声もむしろ青年に近かった。



明『咲を抹殺…? この人も咲のことを……?』



と、女はさっさと手帳をしまい、立ち上がった。





反射的に、引き留めようとして声が出ていた。



明「あ、あの…!」


女「ん?」


明「あ……えっと………」



明日香はもう呼び止めてしまって後には引けず、単刀直入に言った。



明「わ、私も! 南 咲を殺したいんです!!」




女はそれで独り言を聞かれていたことに気付き、一瞬激しく動揺したが、明日香が敵ではないと判断したらしく、すぐ落ち着きを取り戻した。


しかし、すぐ受け入れられるほど明日香を信じてもいなかった。



女「咲を殺すのは私の仕事だ。アンタたち一般人にどんな事情があるか知らんが、巻き込むわけには―――」


明「私はただの一般人じゃない! 咲が大嫌いでしょうがないの! あなた殺すんでしょ? 私も殺したいんだから、手伝うくらいさせてよ!」



明日香は「一般人」という言葉で、自分の事情も知らずに一蹴されたように感じ、ムキになってついいつもの口調に戻っていた。


無茶苦茶な理屈だが、女は余裕たっぷりに笑った。



女「まぁ、手駒は多い方がいいからね。手伝ってくれるってんなら協力させてやらないこともない。アンタ、名前は?」


明「五島 明日香。咲の同級生よ。」


女「同級生を殺すのか。よっぽどの事情なんだな。」



女はまた少し笑いながら、明日香を手招いた。


明日香が女に近づくまでに、女は自己紹介を終えた。



翔「私は麻池 翔。鬼灯族殲滅協会の会員だ。」




第12話 完


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ