8-6-2
そのままの勢いで誰よりも早くバスに戻ってきた明日香は、何とか息を整え、頭の中を整理した。
一緒に走らされた実も、さすがにバテていた。
明『あぁ…、何でこんなことに……。南には避けられるし、車大混乱になってたし…。……ん?』
明日香はそこで、重要なことに気付いた。
明『南たちにみかん避けられたの、アイツの合図がずれてたからじゃん!!!』
とそこへ、守がやはり息を切らしてやってきた。
守「ひどいよ2人とも、僕置いて……」
明「お前だ―――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!」
明日香は叫びながら守をビシッと指差した。
いきなりのことで守は息も絶え絶えにうろたえる。
守「な、何が…?」
明日香はスッと立ち上がり、大股でドシッ、ドシッと守に近づいた。
明「お前が! 合図を! しっかりやってりゃ! こんなことには!!」
明日香は「ならなかったんだッ!!!」と叫びながら守の腹に垂直にパンチを入れた。
文字に表現できない声を出し、守はよろよろとひざまずいてその場にうずくまった。
実『……守。』
実は明日香に気付かれないように親指を立てて守にささげた。
明『……このままじゃ終われない。南め、絶対殺してやる…!』
明日香は決意を新たにしてこぶしを強く握った。
手の平に食い込む爪の痛さで、「そろそろ爪切ろう」とも決意したのはまた別の話である。
第8話 完




