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明「ちょっと! アンタ何勝手に帰ってんのよ!」
明日香はカブトムシの間に入るや、実の所に足を踏み鳴らして近づき、言い放った。
実はうるさそうに、うっとうしそうに答える。
実「だってお前また殺せなか…」
明「バレなかったからいいの!!」
実はいちいちつっかかる明日香が面倒くさくなってきていた。
しかし、言うとまた怒って面倒くさそうだったので、それ以上の反抗はやめておいた。
そんな実の考慮などにはまるで気づかないまま、明日香はたたみかける。
明「どーすんのよ!? 結局何の成果も挙げられずに1日目終わっちゃったじゃない!」
実「いや、お前があそこでモタつかなけりゃ全部終わってたと思うんだが。」
実は半ばツッコミのような速さで答えた。
明「私のせいだって言うの!?」
実はもはや呆れ顔だ。
そこへ、明日香の後ろからずっとハラハラしながら様子を見ていた守が何とか間に入った。
守「ま、まぁまぁ…。まだ明日も明後日も、チャンスはあるよ。」
明日香は一瞬守をにらみつけ、すぐに目を逸らして思考をめぐらした。
明「じゃあ明日までに南 咲を始末する方法を考えること。いいわね!?」
しばらくしてそれだけ言い放つと、明日香はすぐに女子のスペースへ戻っていってしまった。
守「あ、ちょ、ちょっと待っ……行っちゃった…。」
明日香がいなくなってすぐ、実は愚痴をこぼした。
実「ったくよぉ、せっかくの修学旅行まで潰すかね? 普通。」
守「とにかく早く作戦を練らないと…。」
実は立ったままおろおろする守に、座るよう手で促しながら言った。
実「慌てない慌てない。まずはメシだ。腹が減っては戦はできねぇからな。」
守はそこで、目の前に配膳されている夕食を見下ろした。
守「うぅ…。それは確かに……。」
そのままへなへなと座った。




