表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/144

7-4

さて、下校の時間。


昨日と同じように咲についていく明日香。


昨日と違うのは、棒を携えていることだった。






明日香が"安部公房の「棒」"と聞いて思いついた考えとは、ズバリ「棒でぶっ叩く」である。






明『バレないように後ろから近づいて、あのすました後頭部に1発キメてやる…! ひひひ…』



明日香は偶然拾った汚い棒を、力強く握りしめて不敵な笑みを浮かべる。


咲は依然感付いている様子もなく、風に髪を泳がせながら歩いているだけだ。



明『私の尾行術をもってしても標的に肉迫するのは至難の業…。でもアイツ結構ボケボケしてるし、気付かれずにこの棒のリーチに入れさえすればこっちのものさ!』


顔に差す影の度合いがどんどん悪者のソレに近づいていく。



今は、下手をすれば慎一以上に咲だけを考えて行動していた。


明『学校からも大分遠ざかったし、そろそろね…。』


明日香は遂に、「次の電柱から次の次の電柱まで」を犯行現場に決めた。



危なげなく次の電柱に到達。



隠れて様子を見ることもなく、そのまま咲の後を追う。




棒を構え、距離を詰める。










そして、射程圏内に入った。










明『天誅!!』


棒を振りかざしたところまでは迷いがなかった。



しかし、棒を振りかざしてすぐ、また何かが明日香の脳裏をよぎった。













明『……待って、私がやってるこれって、誰がどう見ても犯罪よね? もしこいつがこれで死んじゃったら、私って殺人犯? …いや、死ななくたってれっきとした通り魔じゃん。傷害罪じゃん。ムショ入りじゃん。周りは普通に民家が建ってる。見られてる可能性もある。……見られてなくても、現代の技術ならすぐに私にたどり着くんじゃ…? 私もうこの時点で傷害未遂だし…。いやだ、こんな女のために、何で私が懲役を科せられなきゃ……』
















あくまで棒は構えたまま、その体勢で固まっている間に、咲は普通に歩いて「次の次の電柱」を通り過ぎていた。




明「あ……」


明日香もようやく正気を取り戻し、散々ためらったのに、無意識のうちにまた咲を追いかけようとした。






その時だった。



















?「何やってんの?」



















明「ビャアッ!!!」



あまりに不意打ちの呼びかけに思わず悲鳴が出て、サッと振り返って棒を構えた。






見ると、赤目高校の制服を着た男子が2人、驚いた様子で立っている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ