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7-3

明『朝はダメだったけど、それも許容範囲内、次はこれでアイツを地獄に叩き落としてやる!』


明日香は業務用サイズの一味唐辛子を持って、廊下に立っていた。


今は昼休み。


もちろん咲の弁当に混入させるためのものである。



しばらく見張っていると、咲と慎一が同時に教室を出た。




明『今だ!』




バッと教室に入り、咲のカバンを探す。






しかし、見つけてすぐ、計画は頓挫した。


咲のカバンが置いてあるところでは、4つの机をくっつけてグループができており、想定していなかった"あと2人"がそこにいた。


つまり、咲の弁当には留守番がついているのだ。



これでは到底バレずに唐辛子を入れるのは不可能。


明日香はガックリ来ながら教室に戻った。













――――――――――――――――――――――












机に戻り、購買で買ったジャムパンを食べながら次の作戦を考える。


明『せめて弱点が分かれば…。』



明日香は咲のことを知らなすぎた。


そしてそれを調べるために聞き込みをする勇気も出ない人見知りであった。


口のはたにジャムをつけたままで、腕組みをしてぶつぶつ言いながら、どうにかして咲を痛めつける作戦を考える。



しかし、もはや思いつくのは靴を隠すとか、靴を別の人のと入れ替えるとか、靴関連ばかりだった。


下駄箱は誰にも見られずに作戦を遂行できる唯一の場所だったからだ。


だが靴関連で最もダメージが高そうな「画びょうを入れる」を踏み留まってしまった今、もはや靴をどうにかして咲にダメージを与える策は残されていない。




明『…こうなったら、帰り道ね。帰りに1人になったところでなら何かできるかもしれない。』


明日香は帰宅中に狙いを絞り、作戦を考え始めた。













――――――――――――――――――――――












「……ぅ ……とう! 五島!」


明「ッ!?」


叫ばれる自分の名前に気付いてようやく、自分が寝ていることに気付き、飛び起きると国語担当の土井(どい)先生が目の前に立っていた。


土「授業始まってるぞ。シャキッとしろ。ジャムついてるし。」


そう言いながら、明日香に謝る隙も与えずに教科書で明日香の頭を軽く叩き、教卓のところへ戻っていった。


周囲で生まれたくすくす笑いに死ぬほど恥ずかしくなり、明日香は涙目になりながらジャムを袖でふき、頭を押さえて土井を睨んだ。



とうの土井は全く気付かずに教科書のページを指定する。



明『くそ~~~、ドイツ野郎、私をさらし者にしやがって…。』


いらだちながら明日香も教科書を開くのに従った。


土「え~、今日から新しい所に入る。安部公房の「棒」だ。」




明「!!」




その時、明日香の頭に何かがひらめいた。



明『これだ…!』


明日香はにわかに放課後が待ち遠しくなった。



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