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7-2

明日香は早速行動を開始した。


朝咲を待ち伏せて同じように尾行し、下駄箱の位置を確認。


靴の中に画びょうをびっしり仕込んでおくという作戦だ。




昨日咲の家は確認したので、待ち伏せるのはそれほど難しくない。


車の陰に隠れて見張っていると、しばらくして咲が部屋から出てきた。



明『随分余裕持って登校するんだな…。早めに来てよかった。』


ちなみに現在の時刻は7:30。


咲の家から学校までは徒歩10分。


予想以上に早い出発ではあったが、明日香は6:30からスタンバっていたので何も問題はない。



明日香は咲の背中を追って、バレないようゆっくりと歩き出した。












――――――――――――――――――――











明日香の尾行術は、確かなものである。


後ろで電柱から電柱へと素早く移動する明日香に、咲は全く気付く様子がない。


明『早く出る癖に寄り道をするわけじゃないのか。第一こっちは寄り道できそうなトコなんか何にもないし…。』


明日香が真剣な面持ちで咲を観察していると、ふと咲が立ち止まった。


すかさず明日香は手近のポストの陰に隠れる。




咲はその場にしゃがんで、何かを持ち上げた。


黒い毛玉のようなそれは、どうやら猫らしい。


人馴れしているようで、咲に抱き上げられても平然としている。


明『猫だ、可愛いなぁ…。…ていうかあいつ、何猫と見つめ合ってんだろ? 猫好きなら撫でろよ! 喉んトコ撫でてやれよ!! ほれ! もう!』



明日香が一人変な点でエキサイトしている間、咲はただ猫を見続けた。


猫が首を動かすのが、まるで恥ずかしがっているように見えるほどだ。




と、急に咲が何かを否定するように首を横に振り、猫を置くと、そのまま少し早足で学校へ向かい始めた。


明『あ、急にスピード上げんな…!』


明日香も慌てて追い始めるが、不覚にも例の猫と目が合ってしまった。






明「……。」






明日香は一瞬立ち止まったのち、その場にしゃがみ、咲がしなかった分を補う勢いで猫の喉を撫でた。












――――――――――――――――――――












学校に着いた。


明日香は猫を愛でていた分離れた咲との距離を縮めるために少し走ったので、汗をかき、息も上がっている。


しかし、無事咲に気付かれることなく学校に着き、同時に咲の下駄箱を確認することができた。



明『よし、この時間ならまだ誰も来ないだろうし、今のうちに画びょう仕掛けちゃえ! 早く来たことが裏目に出たな、転校生、覚悟しろ!!』


明日香は咲が階段を上がっていったのを確認し、カバンから画びょうの箱を取り出した。



蓋を開け、いざ靴に画びょうを入れようとした時、ふっと脳裏に何かがよぎった。












明『………もし、これを転校生が誰かにチクったらどうなるんだろう? 犯人捜し? 全校集会??



















…もし………私がやったってバレたら……………。』












明日香は画びょうを持ってしばらく固まった後、額ににじみ出る冷や汗を無視して画びょうをカバンにしまい込み、さっさと教室に向かった。



ついでに咲がこんな時間に来て何をしているのかを3組の教室に確認しに行くと、咲は花瓶の水を取り替えていた。




明日香は色んな敗北を感じ、教室に戻って机に突っ伏し、涙をのんでふて寝し始めた。




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