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その後、結局会員の目立った動きも見られず、ついに最終日となった。
最終日の主な日程は小樽市散策。
つまり、土産物を見たり美味しいものを食べたりするだけのものである。
しかし、それだけにいつ何処から会員の攻撃が来るか全く予想できない危険もはらんでいる。
咲たち4人は例のごとく一緒のグループだったので、常に周囲を警戒し、なるべく同じ場所には留まらないようにすることにした。
最初に入ったのは、ガラス製品を扱う大きめの店だった。
ここでは男子2人が警戒し、女子2人は買い物を楽しんだ。
咲「綺麗なグラスですね~。」
木「あ、雪だるまのカップだ! 可愛い~!」
咲「色んなのがありますね!」
慎・勇『できるだけ早く決めてくれ~!』
慎一と勇気が緊張で弾けそうになった頃、咲たちはやっと買い物を終え、店を出た。
警戒を続ける2人をよそに、早くも緊張感の薄れた咲と木葉は地図を広げた。
咲「次はどうしますか?」
木「凍れ館っていうのがあるらしいからそこ行ってみようよ!」
慎「そっちは変なヤツとかいたか?」
勇「いや、特には…。そっちは?」
咲「えっと、縛れ館、縛れ館…」
木「あ、ここじゃない?」
咲「凍れ…あ、しばれってこう書くんですね。へ~。」
慎「大丈夫だ。」
咲「そんなに遠くないですね。」
木「よし、行こう!」
勇「気ぃ抜くなよ。」
2組の会話が錯綜する中、4人は着実に縛れ……凍れ館に向かっていく。
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慎一と勇気も警戒を続けながら土産を買い、昼食はラーメンを食べた。
木葉はもっとおしゃれなものがいいと言ったが、これだけは頼むと2人の男に泣きつかれ、承諾するしかなかった。
"男の空きっ腹を満たすラーメンは、砂漠を彷徨い行く旅人にとってのオアシスのようなものである"とは、かの有名な哲学者、マルクス・アウレリウス・アントニヌスの言葉だっただろうか。
慎一と勇気は暗黙のうちに咲と木葉に警戒を任せ、ラーメンをむさぼり食った。
大盛りを頼んだはずの2人は普通盛りの咲たちより早く食べ終わり、そこから警戒を交代した。
咲と木葉も食べ終わると、店内で次の行き先を決めることに。
慎「時間的にもあんまり集合場所から遠くには行けないな。」
木「戻りがてら行けるところかぁ。」
勇「俺はもう戻ってもいいくらいだけどな。土産も買ったしさ。」
慎「そういえばやけにいっぱい買ったな。」
勇「部活の後輩にさ。」
慎「ああ…。」
咲「私も何かいろいろ買っちゃいました。珍しいものが多くて。」
木「じゃあ…、もう戻る? 特に行きたい所がないなら無駄にうろうろするのも危険だし。」
慎「そうだな。途中に何か気になるトコがあったら寄りゃいいさ。」
方針が決まり、4人は店を出た。




