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6-3

咲は昼食終了後のバス車内で、3人に自分の考えを話した。


木「なるほど…。案外的を射てるかもしれないわね、それ。」


慎「ていうか咲、カレー苦手だったんだ…。」


勇「もし狙ってやったんだとしたらねちっこいヤツだな。じわじわ仕掛けてくんじゃん。」


木「うちの担任(かつひと)先生はどうかしら?」


慎「先生は多分違う。咲が転校してきた翌日に、咲のレベルに合わせた宿題をわざわざ用意してくれたんだ。それに、担任(たんにん)だというのに修学旅行でようやく仕掛けてくるってのはさすがに慎重過ぎやしないか?」


木「…確かに。咲ちゃんは来た翌日に風邪引いて休んだんだから、慎一君が持ってったっていう書類を、慎一君に任せずに自分で持っていって自宅で……ってこともできたわね。」


咲は木葉の言葉で鳥肌が立った。


勇「でもさ、今日の昼をカレーにした人が誰か先生に聞きゃ一発で分かんじゃねぇの?」


慎「それもちょっと危険だな…。担任(かつひと)先生が完全に白とも言い切れないから、下手に聞いたりして、感付かれてると感付かれたら…。」


木「会議で決めたとしたら誰が提案したかなんて覚えてないかもしれないし。」


勇「そっか……。う~~~~ん……」



3人の会議は延々続いた。



咲は黙って聞いていたが、ふと周りに違うクラスの生徒がいることに気付いた。


それどころか、ほとんど違うクラスの生徒で席が埋まっている。


咲は意を決して3人の話に割って入った。


咲「あの。」


慎「ん、どうかしたか?」


咲「周りにいるの、このクラスの子じゃないですよね?」


勇気が少し笑って言った。


勇「だって次は体験学習だから、このバスに乗ってるのは俺らと同じヤツ選んだヤツらだよ。」


咲はそう言われてようやく、以前複数ある体験学習から好きなものを選ぶ機会があったことを思い出した。


しかし、その時内容がよく分からなかった咲は、慎一たちに任せっきりにしていたので、これから自分が何をするのかは把握していない。



咲「私たちの体験学習って何でしたっけ?」


木「ソーセージ作りよ。咲ちゃん喜ぶかなあと思って。」


咲『双生児…? 何だろう…、1対の子供の人形作ったりとかかな?』



咲は結局内容が分からなかったが、木葉たちの自分を想う笑顔に濁りはない。


それで咲も、会員への不安と同時に、未知の体験学習への期待も膨らませ始めていた。




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