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6-2-2

咲は保健の犬飼先生と店の外に出た。


犬「酔い止めは飲んだの?」


咲「あ、はい…、朝に…。」


犬「じゃあ今また飲むのは控えた方がいいわね。そこのベンチに座りましょうか。」


犬飼が指差すベンチに腰掛け、涼しい風が頬を撫でるのを感じながらため息をついた。



咲『まさかここに来てカレーとは…。ああ吐き気がする……。』


実は鬼灯族の人間にとって、カレーは毒物なのである。


使われているスパイスのどれかが原因なのだろうが、ともかくそのにおいだけでも十分気分を悪くしてしまうのだ。



咲『あ~あ、何か私、こんなんばっかり。慎一くんたちにも心配かけちゃうし…。』



咲は店内から聞こえてくる賑やかな声を羨ましく思った。


自分もあの中に混ざれたら、きっと楽しいだろうなという淡い羨望。



犬「何か飲む?」


ずっと会話がなかったのにいきなり話しかけられて、咲は一瞬焦った。


咲「あ、いえ、大丈夫です。」


犬「そう。私ちょっと水飲んできていいかしら?」


咲「はい。」


犬飼がベンチを立ち、店に入っていく。



その間にも咲は思考を取り戻していた。


咲『それにしても、もし弱点がカレーだって会員にバレたらヤバいよね。ここはあくまで酔いがひどいっていう風を装って……ん?』





咲の頭に、ふとある考えが浮かんだ。



もし鬼灯族の弱点がカレーだと既にバレていたとしたら、昼食にカレーを選んだのが会員である可能性が出てくる。







そして、そうであるなら――――――







咲『まさかこの学年の会員って…先生の中に!?』



実際、高校生よりも大人の方が会員である可能性は高い。


それに、立場上行動が慎重になってもおかしくはない。









犬「お待たせ。」


咲「!!」



咲は犬飼が戻ってきて思わず身構えてしまった。



犬「…? どうかした?」


咲「あ、いえ、何でも…。」





もはや犬飼が会員でないとも言い切れない。




咲は早く慎一のところに行きたかった。



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