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5-5

バス車内。


一行はホテルに向かっていた。



咲は、とうとう寝ることで酔わないようにする技を身につけ、寝ていた。


バスに揺られてはいるが、その寝顔は平穏そのものだ。



慎一もやっと安心して、しかし少し寂しく感じながら咲を見ていた。


窓側の席に座っているため、引き続き夕陽が咲の寝顔を神々しく照らしている。



慎『まぁ、咲が酔って気分悪くなってるよりはいいか。』



西洋画を思わせる美しさに魅了されつつ、自分も寝ようかと慎一が鼻から大きく息を吸い込んだ時、バスが少し急なカーブを曲がった。


遠心力で窓側に体が引っ張られて、全員が踏ん張った時、咲だけは無防備に寝ていた。



そして、そのまま頭を窓に強かに打ち付けた。



ゴンという鈍い音が響いたが、慎一にしか聞こえなかったらしく、他の人たちはそれぞれの話を続けている。


咲は咲で、全くリアクションを起こすことなくすやすや眠り続けていた。


慎『…大丈夫なのか?』


慎一はしばらく様子をうかがったが、咲に異変は見られなかったので、気にせず寝ることにした。



その後、揺れるたびに咲は窓に頭をぶつけ、やはり目覚めないのであった。













―――――――――――――――――












ホテルに着いた。


主要な旅行カバンは大きいので、既にホテルに送られている。


そのため、バスを降りた生徒はすぐにホテルに入っていった。



慎「咲、起きろ、着いたぞ。」


咲「う~~~ん、あと5分…」


慎「あと5分もしたらバス引き揚げちまうよ。ほら。」


慎一が咲を揺すると、ようやく咲はゆっくりと目を開けた。


咲「…ん? あれ、ここは…」


慎「ホテルだよ。早くバス降りるぞ。」


咲「あ、そっか…。…なんか頭痛い…。」


慎『やっぱりか…。』


2人は遅めにバスを降りた。



降りたところですぐ勇気と木葉に合流した。


勇「遅ぇよ、早く行こうぜ!」


慎「ワリィワリィ。」


咲「お待たせしました。」


木「咲ちゃん、酔いの方はどう?」


咲「寝てたので酔いはしなかったんですけど、何か頭が痛いです。」


勇「大丈夫か?」


咲「はい、一応。」



咲は何度も頭をさすりながら、3人についてホテルへ入っていった。


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