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5-3

座る場所はクラスごとに決まっていて、その範囲内なら自由だったので、咲と木葉は隣同士の席に座った。



既にテーブルには蓋つきの小さいお重のようなものが置いてある。


木「何かしら?」


木葉はワクワクしていたが、痛みと酔いでグロッキーの極みに達していた咲は愛想笑いを浮かべるばかりだった。



咲『こんな時は、せめて牛肩ロース200gも食べれば少しはスッキリするのにな…。』



咲がおっかないことを考えているうちにいただきますの号令がかかった。



蓋を開けると、海鮮丼であった。


北海道ならでは、刺身やカニの切り身がのった、小さいながらも豪華な逸品である。


木「おお~、すご~い!」


咲「ほ、ホントですね。」


咲はまた慌てて愛想笑った。



横で木葉が先に一口食べる。


木「おいし~!! 咲ちゃん食べてみなよ!」


咲「は、はい…。」


咲はやっと箸を持った。


咲「ええい、肉であることに変わりはない!!」



半ばやけくそで刺身とご飯を口に運んだ。




咲「…………あれ? 美味しい。」


木「ねっ! さすが北海道の海の幸だね!」


咲『北海道は海産物が美味しいのか…。勉強になったな。』「そうですね。」



咲は魚といえば川魚しか知らなかったし、カニなどというのは見たことすらなかった(だから今もカニの切り身の正体が何なのか考えている)。


初めての海の幸は、山村暮らしだった咲には特に美味しく感じられ、痛みと酔いも多少まぎれた。



咲「…あれ、でもこれ、鮭ですよね?」


木「ん? うん、サーモンだよ。」


咲『さーもん?』「…鮭って川魚じゃ?」


木「あ、鮭は産卵の時に川を上るのよ。だから普段は海にいるのかな? 鮭ちゃ……咲ちゃんは今まで海のもの食べたことなかったの?」


咲「はい、魚は川魚ばっかりでした。海の魚も美味しいですね。」


食事のおかげで話も弾む。



咲はやっと心から修学旅行を楽しみ始めていた。





昼食の時間が終了し、再びバスに乗ると、咲はまた酔いのせいで楽しむどころではなくなってしまったのだが。



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