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4-5-2

ヤツが来るのを待つ間、咲の頭の中は色んな事が巡っていた。


咲『あの人本当にくるのかな…? ここに隠れてたら見つかんないかもしれない。……でも来た時のために、油断してたらダメだよね! えっと、相手を怒らせない程度に抵抗するような事? う~~~~~~~~~~~ん………難しいなぁ…。』


?「やっと見つけた。」


咲「ちょっと、早いよ。まだ何にも考えてな……え!?」


いつの間にか目をつぶって思案に暮れていた咲の耳に、例の女の声が聞こえた。



目の前には、ライフルを持った先ほどの人物が立っている。






その顔は、カラオケで咲が道を聞いた従業員であった。






咲「え? カラオケにいた人…!?」


?「ああ。表示があるのにトイレの場所を聞くなんて変だなと思い、調べてみたら抹殺命令が下ってる鬼灯族の1人だったってワケさ。」


咲『この人の声…聞けば聞くほど女性なんだけど、顔はいかにも青年…。結局どっちなんだろ? …でも、聞いたら怒られそう。怒らせちゃいけないし、まぁ今はどっちでもいっか。』



女? 男? は、咲が黙って神妙な顔を崩さないので、しびれを切らしてまた口を開いた。


?「観念したようだね。じゃ、大人しいままで死んでもらおうか。」


咲「!! …い、イヤです!」



咲の目には、既に女? 男? の背後に迫る慎一が見えている。


咲『もう少し…!』


?「大丈夫、一瞬で終わる…」


ヤツが銃を構えるのと同時に、慎一が鉄パイプを振り上げた。




そこで、勝ちを確信した咲は、つい慎一を見てしまった。




?「!」


そいつは咲の瞳の不自然な動きを見逃さなかった。



パッと振り返り、振り下ろされる鉄パイプをライフルで受け止め、慎一のがら空きの腹に蹴りを入れた。


慎「がッ……!」


咲「慎一くん!!」


たまらず慎一は腹を押さえてうずくまった。



?「ふぅ、ヒヤッとしたよ…。やるねェ、奇襲とは。」


慎「ぐっ……。」





慎一の中の正義感が、鉄パイプを握る力になっていた。












慎「…んのヤロ―――――――――――――!!!」












下から鉄パイプでアッパーのようにそいつの腹めがけて突きを繰り出す。



しかし、そいつはそれを受け流し、慎一を咲のいる方へ投げ飛ばした。





慎「ぐあっ!」


着地の際全く受け身を取れず、思わず声が出た。



咲がしゃがんで慎一を介抱する。


咲「慎一くん! 大丈夫ですか!?」


慎「うぐっ…クソ……。」



?「………おい。」



不意に女? 男? が、どすの利いた声になった。




咲・慎『…な、何だ……?』




殺気が、先ほどまでの比ではない。




慎『て、抵抗しすぎて怒らせたか? マズいぞ…この距離じゃ、一度構えられたら撃たれる前に止めるのは……』


?「誰が"野郎"だ!!!!!!!」



















咲・慎「…………は?」






?「"この野郎"だと? 私の名前は麻池(マイケ) (ショウ)!!! 正真正銘の女だッ!!!!!!!!!」



本気の表情だった。



慎『…いや、名前聞いても微妙だ。ていうか別に男だという確証があったから言った"この野郎"ではないし…。コンプレックスなのか?』


咲『……あ、じゃあスカートはいてたのも別に………。』



その場に、咲の納得、慎一の疑惑、翔の憤怒が交錯していた。



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