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土曜日、午前10時、コロネ前。
勇「あ、来た来た、お~~~い!」
勇気が慎一と咲が来たのに気付いて、呼びながら大きく手を振った。
2人も勇気と、その隣で小さく手を振る木葉に気付き、小走りで駆け寄った。
慎「オス。」
咲「お待たせしてすいません。」
木「良いわよ、私たちもさっき来たところだから。」
勇「早く行こうぜ。まずはボウリングだ!」
勇気が元気よく自動ドアをくぐるのに、あとの3人も続いた。
ボウリングは2階フロアにあるため、エスカレーターを使うのだが、咲がそれを見て目を丸くしていた。
慎「あ、咲はエスカレーターも初めて見るのか。」
咲「え…えすかれーたー? って言うんですか、これ? 階段が動くなんて便利ですね。さっきもガラス戸が勝手に開いたり……。人間の文明ってすごい……。」
と咲が目を輝かせている間に、勇気と木葉は上がっていってしまった。
慎「ほら、早く行こう。足元気ぃつけてな。」
咲「はい……おっと。」
かなり慎重に、2人もエスカレーターに乗る。
咲は"止まっているのに動いている"という未知の体験に、ニヤニヤを抑えられなかった。
ボウリング場に着くや、咲は「わっ」と声を上げた。
咲『ひ、広ッ! 何本も道が並んで…ん? ボールが転がってく…。あ、何か白いのをたくさん倒した! うわあうわあッ!!!』
慎「咲、こっちこっち。」
咲は驚愕と興奮で、返事もせずに手をバタバタと動かしながら慎一のところに来た。
3人は丸テーブルのところに集まっていた。
慎「ここに名前書いて。」
咲「はい。………?」
咲は自分以外の欄の記載に首を傾げた。
咲「あれ…、え、これ名前違いますよね?」
勇「別にニックネームでいいんだよ。ゲームで使うだけだから。」
咲『え、改竄しちゃっていいの? 登録用紙なのに??』
木「とりあえず咲ちゃんは簡単に"さき"とかでいいんじゃないかしら?」
咲「あ、分かりました。」
咲は言われるまま、"咲"とだけ記入した。




